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令和2年6月定例会一般質問 代表質問

○議長(土屋勝浩君) 次に、日程第2、一般質問を行います。

 まず、代表質問第1号、新型コロナウイルス感染症について、新生会を代表して佐藤論征議員の質問を許します。佐藤論征議員。

          〔20番 佐藤 論征君登壇〕

◆20番(佐藤論征君) おはようございます。朝からお褒めのお言葉を頂きまして、大変ありがとうございます。それでは、議長の許可を頂戴いたしましたので、新生会8名を代表し、新型コロナウイルス感染症に関しまして、検査体制、財政、情報発信、避難所における感染対策、市役所内の対策、資源循環型施設建設、公共交通、小中学校での対策について質問してまいります。

 まず初めに、検査体制について質問いたします。5月(第2回)臨時会において、医師会と調整し、県からの委託を受けて地域検査センターを設置するための予算4,733万5,000円が可決され、予算化されたところであります。現在、緊急事態宣言が全国で解除され、新規感染者数も一定程度抑制されている中ではありますが、今後経済活動が平準化していく中において、第2波の可能性も大変高いと考えられます。上田市では5月7日以降新たな感染者は確認されていない状況にあり、現在の状況下においては地域検査センターの検査能力で対応できるものと推察されますが、感染が再び拡大するような事態に陥った場合においては、採取対象者数が十分に足りるかは非常に不安なところであるとともに、多くの市民は自らが感染しているか否か、高く不安を抱く状況に陥ります。市民の不安を払拭する意味においても、さらなる検査体制の構築は非常に重要であることは言うまでもありません。

 そこで、1点目として、PCR検査数を増やすために、地元医師会と連携して独自にPCR検査を実施している自治体がある中で、市内の2か所に設置する地域検査センターは県の予算を活用していますが、市が単独で行う検査体制として位置づけているのか。

 2点目として、再び感染が拡大した場合に備え、市民の不安を軽減し、検査を受けやすくするには、通常のPCR検査や唾液によるPCR検査などの検査体制を構築する必要があると考えますが、見解はどうか。

 以上2点お尋ねいたします。

○議長(土屋勝浩君) 小林健康こども未来部長。

          〔健康こども未来部長 小林 一彦君登壇〕

◎健康こども未来部長(小林一彦君) おはようございます。PCR検査を実施する地域検査センターについてのご質問に答弁申し上げます。

 新型コロナウイルスへの感染を確認する手段でありますPCR検査は、感染者を特定し、適切な医療を提供するだけでなく、地域の感染状況を把握するとともに、感染の拡大、蔓延を防ぐためにも大変重要な検査となっております。しかしながら、当初の検査センターは主に帰国者・接触者外来での検査に限られていたことから、検査件数が少ない、あるいは感染が疑われる方の検査がすぐに行われない等の課題もございました。こうした状況を踏まえ、さらなる検査体制の確立が必要とのことから、厚生労働省は4月15日付でPCR検査を集中的に実施する機関、地域外来・検査センターの運営を都道府県、保健所設置市または特別区が医師会等に委託できる旨の通知をし、検査体制の充実を図るとしてきたところでございます。

 現在のところ、5月25日付で緊急事態宣言が解除され、新規感染者数も抑制傾向にはございますが、国の対策本部は検査体制の一層の強化、地域の関係団体と連携した地域外来・検査センターの設置等を迅速に進めるとともに、新しい検査技術についても医療現場に迅速に導入することを都道府県等に求めているところでございます。

 こうした状況を受けまして、長野県は4月補正予算で簡易診察及び検体採取を行う外来・検査センターを市町村や医師会等に委託する形で、県内20か所程度に設置する費用を予算化いたしたところでございました。上田市といたしましても、5月21日開催の市議会臨時会で関係経費をお認めいただいたことから、地元医師会のご協力をいただく中、併せて関係機関、そして上田保健福祉事務所、上田保健所等と連携した上田地域検査センターを先月26日に開設いたしました。

 この上田地域検査センターの概要についてでありますが、運営主体は上田市で、検体採取を行っていただく医師は上田市医師会から派遣いただき、毎週火曜日、木曜日及び土曜日の13時から15時まで、ドライブスルー方式で実施いたしております。検体採取は完全予約制で、地域の医療機関の医師が必要と認めた場合のほか、保健所への電話相談に基づいて問診等を行った結果、検査が必要と判断された場合も含めて上田保健所が取りまとめをしておりまして、1日当たり当面6人を上限としてございます。なお、費用につきましては、行政検査として全額県費を充てる方法としているところでございます。

 このように上田地域検査センターは、検査の可否の決定、実施の優先順位の決定などは医師の判断により行う必要があることや、検査機関に支払う検査費用を県に負担していただいていることから、ご質問の市が単独で行政検査体制の位置づけをということでよろしいかのご質問でありますが、市単独ではなく、医師会及び県と連携し、共同して運営する検査体制の位置づけとなっております。なお、2か所目につきましては、設置に向け現在調整中でございます。

 次に、通常のPCR検査や唾液によるPCR検査などの検査体制の構築についてのご質問でございますが、現在センターでは鼻の奥から採取する鼻咽頭ぬぐい液によりますPCR検査の方式を取っておりますが、ご質問にもございましたように、症状発症から9日以内の者について唾液を用いたPCR検査が可能となり、6月2日付で厚生労働省から通知がなされたところでございます。唾液を用いたPCR検査は、唾液を被検査者が自ら容器に入れ提出すればよいことから、飛沫感染のおそれが低く、より多くの医療機関で検体採取が実施されることが期待されるところでありますが、PCR検査自体の長野県の検査能力の拡充との関係がございますことから、今後も県として導入に向けての検討が進められているとお聞きいたしております。

 いずれにいたしましても、経済活動が順次再開されることに伴い、当地域においても第2波、第3波が到来することが予想され、また夏季に向けての熱中症、冬季に向けてのインフルエンザによる発熱患者の増加も予想されますので、医師会、上田保健所等関係機関と協議しながら、できるだけ市民の皆様の不安の軽減につながるよう、当地域の検査体制の構築に努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

○議長(土屋勝浩君) 佐藤論征議員。

          〔20番 佐藤 論征君登壇〕

◆20番(佐藤論征君) まず初めに、検査体制についてお聞きいたしました。

 次に、財政について質問いたします。まず1点目として、令和2年3月定例会において令和2年度上田市当初予算が成立し、その後新型コロナウイルス感染症が急激に感染拡大いたしました。国内では3月24日には東京オリンピックも延期となるなど、令和2年度上田市当初予算成立から新年度に入るまでの短期間で令和2年度を取り巻く状況は一変し、上田市においても新年度に入りイベントなどはほとんど中止を余儀なくされ、予算執行ができない状態に陥り、現時点でも秋までは中止あるいは見通しがつかない状況となっております。現時点において当初予算を抜本的に見直さなければならない事態に陥っているものと考えるところであります。また、この新型コロナウイルス感染症の影響に対応するため、予算をシフトしなければならないというのは言うまでもないことでございます。

 そこで、1点目として、新型コロナウイルス感染症による現在の情勢を考慮し、令和2年度の当初予算を組み替える考えはあるか。

 2点目として、上田市の財政調整基金については、これまで合併以降潤沢に積み立てられ、平成27年度には41億円ほどの基金残高となり、適正規模と言われる標準財政規模の10%を維持してまいりました。しかしながら、令和元年東日本台風災害等への対応でこれまで取り崩した結果、令和元年度末の残高で39億円ほどとなり、さらに新型コロナウイルス感染症対策として取り崩すこととなっており、適正残高を割り込む状況となってきております。令和元年東日本台風災害での甚大な被害、新型コロナウイルス感染症対策と立て続けに大きく市民生活に影響を与えた結果、財政調整基金を大きく取り崩す結果となっております。財政調整基金はどこまで取り崩してよいものか、あるいは今後基金を適正規模にするための積立てがどうなっていくのか、市民の関心が高いところであります。財政調整基金の性質上、残高ゼロとすることは無理であります。そこで、今後新型コロナウイルス感染症の収束が長引いた際、さらなる取崩しが必要となることも想定されますが、財政調整基金についてどの程度まで取崩しが可能と考えるか。

 3点目として、財政関係の最後の質問として市長にお尋ねいたします。まだ新型コロナウイルス感染症の収束が見えない中ではありますが、新型コロナウイルス感染症が収束した後、先ほど申し上げた財政調整基金を適正規模に戻すための財政運営から新型コロナウイルス感染症の影響による今後の歳入の落ち込みなど、今後財政運営は以前にも増して厳しい状況となることは顕著であります。市の財政運営に大きな改革が求められますが、市長の今後の財政運営方針をお尋ねいたします。

 以上3点についてご答弁願います。

○議長(土屋勝浩君) 山口財政部長。

          〔財政部長 山口 武敏君登壇〕

◎財政部長(山口武敏君) 財政に関する質問を頂戴いたしました。まず、経過から申し上げますと、令和2年度の当初予算編成時においては新型コロナウイルス感染症がここまで大きな影響を及ぼすことは予想できませんでしたが、1月6日に武漢市から帰国した日本で初めての感染者が報告されて以降、海外からの帰国者を中心に全国的な広がりを見せ、4月16日からは全都道府県に緊急事態宣言が発令される事態となっております。上田市におきましても感染の拡大を回避するため、開始から17回目となる上田城千本桜まつりを初めて中止にしたほか、第49回上田わっしょいや第33回信州上田大花火大会など様々なイベントにおいて中止または延期の決定がなされております。

 このように当初予算成立後の新型コロナウイルス感染症対策により予定されていた事業の執行が困難な事例も出てきておりますので、上半期の事業において当初予算の減額措置が可能なものにつきましては精査を行い、必要な事業の財源とする組替えなど、議員ご提案の調整が必要となるものと考えております。

 また、感染の状況が厳しい特定警戒都道府県との往来自粛や、公共施設等の閉鎖に伴い経済活動の停滞が余儀なくされているといった状況に加えて、個人市民税や法人市民税の税収にもリーマンショック時を上回る甚大な影響が及ぶものと見込まれておりまして、今後の市税等一般財源の減収を考慮いたしますと、不要不急な事業につきましても予算の減額を行うなど、見直しの検討が必要となってくるものと考えております。

 一方、新型コロナウイルスに関する経済対策及び感染予防等の事業につきましては、その緊急性、必要性に鑑み、国や県の補正予算の動向に留意しつつも、最優先に取り組んでまいります。

 続いて、財政調整基金についてご質問を頂戴しました。この財政調整基金につきましては、令和元年度において当初予算の財源として6億円、また甚大な被害をもたらした災害の復旧事業の財源として8億円、合計14億円の取崩しを予算計上してまいりましたが、国、県支出金や地方債等を最大限活用した結果、最終的には元年度末で2億円を取り崩したと、こういう状況でございました。これは議員の数字にあったとおりでございます。

 財政調整基金は、経済の不況や大幅な税収減による収入不足、あるいは災害の発生等により思わぬ支出の増加を余儀なくされた場合に備え、財源の余裕のある年度に積立てをしておくことが必要とされており、一般的に標準財政規模の10%程度が望ましいと言われております。普通交付税の不交付団体や財政運営に比較的余裕のある団体では、この標準財政規模に占める割合が25%を超える自治体もあり、市町村によってこの財政調整基金の規模には違いがございます。

 今回の新型コロナウイルスの対応に当たりましては、まずは国の経済対策や市税等の動向を踏まえ、安心できる市民生活の回復や社会経済のV字回復に向けた取組を最優先に、きめ細やかな財政運営に努めてまいりますが、どの程度まで財政調整基金の取崩しが可能かというご質問につきましては、現時点では令和2年度が2か月経過した段階でありまして、市税等の一般財源の動向がつかめない中で答弁は大変難しいという状況がございます。令和元年度末の残高が39億円となっており、令和2年度当初予算において6億円、また2号補正において1億7,800万円余の取崩しを予算化しておりますことから、これらを差し引いた予算上の財政調整基金の残高は約31億円となっております。

 このたびのコロナ禍が短期的に収まると仮定しましても、当初予算に計上した市税等の一般財源の減収は避けられないものと現段階では考えており、また10月から本格化します令和3年度の当初予算編成における一般財源の状況にも令和2年度の財政調整基金の調整が大きく影響いたしますことから、9月補正以降の調整においてどの程度の一般財源が必要となるかによっても財政調整基金の取崩しの可能額は変わってまいります。

 一方で、昨年の東日本台風による災害復旧のように大規模な災害が発生した場合などは、一時的に多額の一般財源の必要が生じますことから、こういった状況にも備えなければなりません。現段階におきましては、市税全体の基金の状況を踏まえますと、財政調整基金におきましては標準財政規模の5%、20億円程度の維持が安定的な財政運営の視点からも必要であるものと思われます。

 いずれにいたしましても、財政調整基金を全て取り崩すということは財政運営上適切ではございませんので、その緊急性や必要性に応じ残高が一時的には大きく減少する事態もあるということも想定されますけれども、平時におきましては標準財政規模の10%程度の残高を維持した財政運営を行っていく必要があるものと考えております。

 私からは以上でございます。

○議長(土屋勝浩君) 土屋市長。

          〔市長 土屋 陽一君登壇〕

◎市長(土屋陽一君) 今後の財政運営についての質問でございました。世界的規模による感染者及び感染地域の拡大によりまして、中国を含む東アジアでは一定の抑え込みができてきているものの、今なお新規の感染者数は世界全体で見れば増加しており、収束への道筋はなかなか見えてこないという現状でございます。

 こうした中、政府は全国に出された緊急事態宣言を5月25日に全都道府県で解除し、イベント開催や都道府県をまたぐ移動を段階的に緩和しつつあります。その後の首都圏や地方都市で発生しているクラスターについては、今後も接触者の特定を行い、感染拡大の阻止に向けて全力で取り組んでいく必要があります。上田市においても、住民の皆様、事業者の皆様、医療関係者の皆様のご協力により、5月7日以降は新たな感染者は確認されておらず、引き続き感染予防やいわゆる3つの密を避け、気を緩めることなく感染防止対策に取り組んでまいります。

 こういった状況を踏まえまして、今後の財政運営についてでございますが、5月に発表された国の月例経済報告においても、景気は新型コロナウイルス感染症の影響により急速な悪化が続いており、極めて厳しい状況にあるとしているとおり、当面は厳しい財政運営が続くものと見込んでおります。また、海外の経済状況においても、1月から3月期のGDPを見ますと、外出制限が発出された影響により大きく低下し、5月から経済活動が徐々に再開された国もありますが、4月から6月期はさらに大幅な落ち込みが予想され、日本においても厳しい数字になると見込まれております。7月以降については徐々に持ち直していくことが期待されていますが、不確実性が高いと考えられます。

 当市においては、昨年の東日本台風の災害復旧事業や市庁舎改築・改修事業など大型事業が予定どおり進んでおりますので、これらの着実な執行に向け鋭意取り組むとともに、不要不急の事業の見直しや財政改革など改めて再構築の視点に立ち取り組んでまいります。

 先ほど財政部長から説明がありましたが、令和2年度以降の市税等が減収となることが予想されておりますが、感染拡大防止に必要な施策、あるいは経済活動のV字回復に向けた取組において、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金、また財政調整基金の活用を視野に入れながら、市独自の施策も展開し、積極的な財政運営を行い、ワクチンや重症化を抑える治療薬が開発されるまでの間は、厚生労働省が示した新しい生活様式を徹底しつつ、市民の皆様の安心、安全な暮らしを守ってまいります。

 100年に1度と言われておりますこの災害を乗り切るためには、3つのステージを考えております。1つとしましては、感染症の抑え込みや予防、不安解消に向けた対策、生活者や子育て家庭への支援、事業者支援、続いて2つ目は、経済活動の再開、下支え、回復に向けた様々な施策、そして3つ目としまして、さらなる感染拡大や災害等に備えるための準備、新たな生活様式に対応した安心して暮らせる社会の実現、この3つのステージを踏まえながら必要な事業に取り組む一方、中期的に健全財政の回復、堅持を図ってまいりたいと考えております。

 私からは以上でございます。

○議長(土屋勝浩君) 佐藤論征議員。

          〔20番 佐藤 論征君登壇〕

◆20番(佐藤論征君) それでは、次に情報発信についてお尋ねいたします。市民の不安を払拭する取組として、感染拡大を抑制する取組としても情報発信は非常に重要であり、市民生活に一番近い市が発信することが効果的であると考えます。

 そこで、1点目として、国は感染の拡大を防止するために電話やオンラインで受診できる医療機関のリストを都道府県別に公表していることから、市も医療機関のリストを積極的に公表し、市民に周知すべきではないか。また、発熱など感染の疑いがあり、医療機関を受診しようとしてもかかりつけ医が発熱患者受入医療機関ではない場合があることから、発熱患者受入医療機関を公表すべきと考えますが、見解はどうか。

 2点目として、上田市は感染者や検査状況に関する情報は県が発信する情報を閲覧するようホームページ、メール配信サービスなどで市民に周知しており、市独自の情報発信はこれまで特に実施していない状況にあります。また、これまでに市内で感染者が発生した際は、様々な情報が錯綜したことにより、市民が必要最小限の外出にも不安を感じるとともに、誤った情報も拡散されておりました。市民の不安を解消するには感染者の情報や検査の状況、感染者の勤務先の企業や感染の疑いから発症までの間に受診した医療機関が公開した情報などを市が独自で集約し、情報発信すべきと考えますが、見解はどうか。

 以上2点お尋ねいたします。

○議長(土屋勝浩君) 小林健康こども未来部長。

          〔健康こども未来部長 小林 一彦君登壇〕

◎健康こども未来部長(小林一彦君) 最初に、電話やオンラインで受診する医療機関のリストを市民の皆様に周知すべきではないか、また発熱患者受入機関等公表すべきと考えるが、その見解についてのご質問に答弁いたします。

 厚生労働省は4月10日付の事務連絡におきまして、院内感染を含む感染防止のための時限的な特例的な措置といたしまして、初診から電話等を用いた診療により診断や処方をして差し支えないこと等を示しております。併せまして、このような診療を実施する医療機関を把握し、報告することを都道府県に求めておりまして、その報告に基づいた医療機関一覧表を同省の厚生労働省のホームページに公表いたしております。また、都道府県に対しましては、医療機関の一覧について関係団体と適宜連携しながら、住民の皆様や医療関係者への周知を図るといったことも求めているところでございます。

 しかしながら、一方でこの事務連絡の意図が各医療機関に必ずしも正確に伝わっていないといった面もございまして、電話等を用いた診療を実施しておいでになるにもかかわらず、一覧表に掲載されていない医療機関もあるとお聞きいたしております。

 また、市として発熱患者受入医療機関を公表すべきとの見解についての部分でございますが、発熱患者を診察している医療機関では、診察場所を別にしたり、時間を分けたりするなど様々な対処を行っておるとお聞きしておりまして、通常の診察より非効率とはなりますが、適切に診察を行っていただいていると、このように推察いたしております。

 一方で、発熱患者の診察をしていない医療機関の中には、ふだん通院されておいでになる患者の方の年齢層や持病等の状況によりまして、施設の構造、設備や人員体制が整わない等感染症対策が十分に取れないなどの理由から発熱患者の診察を行うことがなかなか難しい医療機関もあるとお聞きいたしております。

 課題といたしまして、発熱患者受入機関等を公表することは、その医療機関に患者の皆様が集中することも予想されるところでありまして、かかりつけ医としてふだん通院されている患者の皆様への影響も懸念されること、またこの医療機関に過度の負担といったことも懸念されるところでございます。また、発熱患者受入れがされていない医療機関ということも一方で明らかになりますので、先ほど申し上げたような様々な理由があるところでございまして、この一面だけをもってその医療機関が評価をされてしまうこともいかがなものかというふうに考えております。

 このようなことから、上田市が厚生労働省が公表している電話等を用いた診療を行っている医療機関の公表につきまして市民の皆様に周知すること、また当地域の発熱患者受入機関等を公表していくことにつきましては、今後改めて地元医師会、またそれぞれの医療機関への確認や協議が必要と考えております。

 次に、市独自の情報発信についてでございます。新型コロナウイルス感染症に係る有症状者への対応、情報発信につきましては、上田保健所及び上田保健所を所管する長野県が一元的に行っておるところでございます。患者が発生した場合は、県において行動歴の調査等を行い、濃厚接触者を確認いたしまして、必要な情報を県民に提供し、注意喚起を行っているところでございまして、市独自に調査いたしまして公表するといったことは大変難しい面がございます。ご理解をお願いいたします。

 また、ご質問にもありましたような企業等のご判断で従業員の感染の状況を公表されるところもございます。市といたしましては、その情報のみをもって情報集約し、市民の皆さんに責任を持って提供することができるのか、こういった面もございまして、難しい面があるというふうに捉えております。県が公表している事項等に準じた対応を市として行っていくことで対応してまいりたい、このように考えております。

 いずれにいたしましても、市民の皆様にはSNSでの憶測に基づく不確実な情報に惑わされることなく、また必要以上に個人や企業等を特定しようとしたり個人等の行動等を批判したりすること、またいたずらに不安をあおることのないよう、県から公表されている正しい情報に基づき冷静で慎重な行動を改めてお願いするところでございます。

 一方で、上田地域検査センター等市が主体となりまして実施している事業につきましては、可能な限り情報を提供申し上げ、市民の皆様の安心につながるよう今後努めてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。

○議長(土屋勝浩君) 佐藤論征議員。

          〔20番 佐藤 論征君登壇〕

◆20番(佐藤論征君) 次に、避難所における感染対策について質問を進めます。

 5月(第2回)臨時会において、指定避難所67か所における感染症対策に必要なマスク等衛生用品及び間仕切りパーティション等の購入費用1,000万円の補正予算が既に成立しておりますが、各自治会の公民館等の第一次避難場所241か所については感染症対策のための予算はこれまで計上されておりません。令和元年東日本台風においても第一次避難場所へ約1,300人もの方が避難されており、第一次避難場所の感染対策についても急務であります。そこで、第一次避難場所における感染対策はどうか、お尋ねいたします。

○議長(土屋勝浩君) 中村総務部長。

          〔総務部長 中村 栄孝君登壇〕

◎総務部長(中村栄孝君) 第一次避難場所における感染症対策についてお答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大が懸念される中、災害発生時において市民の安全を確保するために、避難場所を開設する際には3つの密の回避や衛生対策の徹底など、感染症対策に万全を期すことが求められます。上田市におきましては、国が示します避難場所における感染症への対応に関する留意事項を踏まえまして、市民向けに平時からの備えとして事前に準備すべきことや避難場所での注意点をまとめたものを本年4月に上田市のホームページに掲載して周知を図っているところでございます。

 各自治会の自主防災組織が主体となり開設、管理を行う第一次避難場所での感染症対策につきましては、市のホームページの掲載内容を踏まえる中で、感染予防のためのマスクや消毒剤といった衛生用品の使用をはじめ、過密状態を防ぐための避難者同士の距離の確保、定期的な換気や清掃など衛生環境の確保が必要と考えられます。

 市といたしましても、毎年度自主防災組織のリーダー向けのテキストとして作成しております自主防災組織活動マニュアルの中に避難場所開設時における感染症対策に関する項目を追加するとともに、昨年の台風災害を受けまして今年度から補助率及び上限額を引き上げました自主防災組織防災用資器材購入補助事業を活用した衛生用品の備蓄の推進や、自主防災組織間での災害時における備蓄資器材等の相互利用といった先進的な活動事例の紹介など、自主防災組織が避難場所の運営を行う際に必要な感染症対策を講じることができるよう引き続き支援をしてまいりたいと考えております。

 また、避難場所の過密状態を回避するためには、市民お一人お一人が事前にハザードマップを活用して、ご自宅にとどまることで安全の確保が可能か否かを確認することや、安全な親戚や知人宅等への避難など、避難場所への避難以外の選択肢を幾つか考えておくことは現状において必要不可欠であると認識していることから、国が示しました避難行動判定フローを紹介しながら、あらゆる機会を捉えて市民に周知してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

○議長(土屋勝浩君) 佐藤論征議員。

          〔20番 佐藤 論征君登壇〕

◆20番(佐藤論征君) 時間もありませんので、次に進みます。

 次に、市役所内の対策について質問いたします。1点目として、職員が感染した場合の対応はどうか。上田地域広域連合では消防職員が感染した場合、感染者が所属する消防署を閉署することとしておりますが、上田市では部内の執務室を使用停止にするなどの措置はあるのか。また、職員が感染した場合に公表はどこまで行うのか。

 2点目として、4月22日から5月31日まで実施された職員の在宅勤務について、第2波への備えや新しい生活様式に対応するため、今回の在宅勤務を検証し、在宅勤務のための整備を進めていくべきと考えますが、どうか。また、今回の在宅勤務実施に当たり大きく支障となった点、感染防止以外に業務上で大きなメリットとなった点はあるか。

 以上2点お尋ねいたします。

○議長(土屋勝浩君) 中村総務部長。

          〔総務部長 中村 栄孝君登壇〕

◎総務部長(中村栄孝君) 市役所内の感染対策についてお答えいたします。

 職員の新型コロナウイルス感染症への対応に当たりましては、新型コロナウイルス感染症に係る上田市職員対応マニュアルを策定いたしまして、感染を防ぐための各種予防策を講じるとともに、職員が感染した場合を想定して、市民生活等への影響を最低限とするための基本的事項を定めております。このマニュアルにおきましては、職員が感染した場合の対応としては、まずは感染した事実を所属長が速やかに総務課長等を経由し対策本部長である市長へ報告すること、そして本部長は対策本部会議を開催して、庁内における情報共有を図り、外部への速やかな公表を行うとともに、施設内における感染拡大防止策を講じるものとしております。

 防止策といたしましては、感染者が発生した所属においては、保健所が行う疫学調査に協力し、濃厚接触者となった職員を特定するとともに、感染した職員の公務等における行動履歴の確認と濃厚接触者の行動履歴等の把握に努めることとしております。また、保健所の助言、指導の下、窓口カウンター、机、椅子等の周辺環境の消毒を速やかに行うことと、状況によっては一定期間施設の一部または全部の閉鎖を行うこととしております。

 次に、職員が感染した場合の公表につきましては、市長による記者会見の開催、市ホームページ、SNSなどを活用した外部への情報提供とともに、来庁者への周知を行うこととし、公表に当たりましては、感染者の人権に最大限配慮の上、個人が特定できる表現は避けるものとしております。

 公表事項につきましては、長野県が公表しております事項に準じ、年代、性別、市町村区分までの居住地、それに加えまして所属や職種、症状や経過、そしてプライバシーに配慮の上で行動歴について公表することとしております。なお、濃厚接触者がいた場合には、濃厚接触者の状況についても公表することとしておりまして、そのほか勤務場所でのほかの職員の状況や消毒の状況、施設の閉鎖の有無など必要に応じ公表することとしているところでございます。

 次に、在宅勤務につきましては、職員の感染拡大防止とともに市民サービスの継続的な提供を確保するため、緊急事態宣言が出されている期間を中心とした4月22日から5月末までの間、全所属を対象に職員の出勤率がおおむね2割減となるよう実施したところでございます。在宅勤務に当たりましては、業務の遂行に支障がないことを前提に、セキュリティーの確保に十分配慮を行う必要があることから、個人情報を扱わない業務に限定して実施いたしました。実績といたしましては、在宅勤務や各種休暇等の取得も含め、職場の職員の削減率は21.7%となりまして、一定の成果はあったものと考えております。

 このような取組は上田市においても初めてでございまして、職場によって実施状況にばらつきが出るなど様々な課題も浮かび上がったところでございます。特にセキュリティーの観点からは、個人情報を扱う業務が行えないことによりまして、在宅でできる業務が制限されてしまうということがございます。こういったことから、次なる第2波、第3波に備えて、在宅でも職場のパソコンと同等程度の業務が行えるよう、セキュリティーが確保されたSIMカードを利用したネットワークへ接続できる環境の構築に向け現在検討しているところでございます。

 在宅勤務という性質上、職場における環境と全く同じ環境を整えることは難しいところではございますが、職員の業務が円滑に遂行できるよう引き続き検討するとともに、今後の感染状況によっては中長期的な対応として分散勤務を行うなど、業務の継続性の確保に向けた取組について検討してまいりたいと考えております。

 次に、感染予防以外の業務上の大きなメリットという点でございますが、先ほど述べましたように、今回初めての試みであったこと、また在宅では業務が制限されてしまうことから、なかなかメリットが見いだせないところではございます。しかしながら、今回の経験を踏まえて、各職場においては市民サービスの提供に真に必要な業務は何か、緊急時に必要な業務は何か、職員が感染した場合にどのように業務を継続していくか、こういったことに対して職員一人一人が考え、危機意識の高揚が図られたものと認識しております。

 緊急事態宣言が全国で解除されたとはいえ、次なる第2波、第3波も予想される中、今後も職員一人一人が緊張感を持ちながら感染予防に努め、市民サービスの継続性が確保できるよう努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

○議長(土屋勝浩君) 佐藤論征議員。

          〔20番 佐藤 論征君登壇〕

◆20番(佐藤論征君) 次に、資源循環型施設建設について質問いたします。

 資源循環型施設建設は上田地域広域連合が所管する事業でありますが、市長は2年前の選挙公約において資源循環型施設建設を最重要課題として位置づけ、市民は早期建設が土屋市長の下で大きく前進することを期待し、4年間の市政運営をお任せしたことから、あえて市議会一般質問においてお聞きいたします。

 今回の新型コロナウイルス感染症の影響により建設が遅れることは絶対にあってはならないことであります。そこで、資源循環型施設検討委員会での協議終了後に地元説明会等を行う予定でありましたが、新型コロナウイルス感染症による影響はあるのか、また施設建設に向けた今後の見通しはどうか、お尋ねいたします。

○議長(土屋勝浩君) 土屋市長。

          〔市長 土屋 陽一君登壇〕

◎市長(土屋陽一君) 資源循環型施設検討委員会では本年3月まで全9回にわたる協議を終了し、4月21日に広域連合長である私に協議結果報告をいただきました。今後は市といたしましても広域連合と連携して、地元自治会等の協力をいただき、検討委員会の協議結果と、それを受けた今後の取組方針について住民説明会を開催してまいりたいと考えております。そのため、去る5月28日には資源循環型施設建設対策連絡会の皆様に説明会開催に向けた協力をお願いさせていただき、調整を進めているところでございます。説明会については、新型コロナウイルス感染症に関する上田市主催イベント・行事及び施設運営についての当面の判断基準に基づき、3つの密を回避するなど万全の感染防止策を講じた上で、地元自治会とも協議の上、開催方法などを決めてまいります。

 また、施設建設に向けた今後の見通しについてはということでございますが、まずは先ほど申し上げましたとおり、地域住民の皆様へ説明会を通じて広域連合及び市の今後の取組方針をしっかりと説明してまいりたいと考えております。その上で、多くの皆様にご理解をいただくことで着実に今後の事業の推進につなげてまいりますので、議員の皆様におかれましてもより一層のご理解、ご協力をよろしくお願いいたします。

 以上でございます。

○議長(土屋勝浩君) 佐藤論征議員。

          〔20番 佐藤 論征君登壇〕

◆20番(佐藤論征君) 市長より答弁いただきました。任期中の公約実現に向けて、大変市民期待しておりますので、ぜひとも推進いただきますようお願い申し上げます。

 それでは、次に公共交通について質問いたします。5月(第2回)臨時会において、経営が悪化している旅館、ホテル業事業者への支援金の支給として1億2,380万円余が予算化されましたが、事業継続も危ぶまれる事態ということを考慮され上程された補正予算でありました。今後どういった業種にさらなる支援をしていくか、大変気になるところでございますが、その中でも市民生活に大きく関わる公共交通については、今回の新型コロナウイルス感染症の影響により大きな影響を受けているところであります。この影響により存続できない状況に陥るのは避けなければなりません。そこで、今後地域交通をどのように支援していくのか、お尋ねいたします。

○議長(土屋勝浩君) 藤澤都市建設部長。

          〔都市建設部長 藤澤 純一君登壇〕

◎都市建設部長(藤澤純一君) 公共交通への支援について答弁いたします。

 鉄道、バス、タクシーの公共交通事業者におきましては、市民生活に欠かせない重要な移動手段としての使命を果たすため、緊急事態宣言発令中においても運行を継続しておりましたが、学校、公共施設、商店等の休業や企業の出勤者削減、また首都圏との往来自粛による観光客や出張等の激減により、利用客数や運賃収入は大幅に減少しております。また、各交通事業者におきましては、感染症拡大防止対策として、車両の窓を開放し、十分に換気を行い運行するなど、それぞれで対策を徹底しておりますが、駅や車両の消毒作業や消毒液の配置、運転席との仕切りカーテン設置などの経費が大きな負担となっていることもお聞きしております。

 こうした中、事業者としての企業努力はもとより、国の持続化給付金や雇用調整助成金、各種融資制度等の活用により、乗務員等の雇用維持に努めながら運行継続を図っている状況にございます。今週中にも首都圏との往来自粛が解除され、徐々に社会経済活動が再開されることが想定されますが、以前の収益回復までには時間を要するものと考えております。

 市といたしましては、地方創生臨時交付金や国土交通省の補正予算を最大限に活用しながら、県の補助制度、補助事業とも協調し、まずは交通事業者の資金繰りを踏まえた緊急的な経済支援を行ってまいりたいと考えております。

 さらに次のステップといたしましては、感染予防のための3密回避に十分留意した運行を前提とし、利用客数や運賃収入のV字回復に向け、商工観光部と連携した消費喚起事業に取り組むとともに、例えばタクシーについては、利用者に対する新たなサービスの展開や現在のサービスの充実による利用促進策について検討してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

○議長(土屋勝浩君) 佐藤論征議員。

          〔20番 佐藤 論征君登壇〕

◆20番(佐藤論征君) それでは、次に小中学校での対策について質問してまいります。

 まず初めに、今後再び感染が拡大し、教職員や児童生徒及びその同居人が感染した場合の対応はどうか。休校や分散登校等を再度実施する場合の基準はどうか。また、基準を設ける際は学校の状況に応じて学校単位で設定するのか、あるいは市内統一の基準を教育委員会で設定するのか、お尋ねいたします。

○議長(土屋勝浩君) 峯村教育長。

          〔教育長 峯村 秀則君登壇〕

◎教育長(峯村秀則君) ただいま教職員や児童生徒及びその同居人が感染した場合の対応はどうかというご質問をいただきました。学校の教育活動を再開していくに当たりまして、文部科学省では学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアルや、新型コロナウイルス感染症に対応した小中学校における教育活動の実施等に関するQ&A等が作成されました。これらを参考として各学校において感染症対策に努めるように周知されております。長野県教育委員会におきましても、これらの通知を基に県立学校再開ガイドラインを作成し、県内の教育委員会に対しまして参考として対応するよう通知がございました。

 まず、感染が確認されたときの連絡、報告についてでございますが、教職員や児童生徒等の感染者が確認された場合は、医療機関から本人や保護者にPCR検査の結果が伝えられるとともに、保健所などに提出がなされます。この結果についての学校への連絡は、通常本人や保護者、保健所からの感染が判明した旨の連絡が入ります。そして、学校から上田市教育委員会へも情報が提供されることとなります。

 このような国や県のガイドラインを参考にいたしまして、児童生徒の感染が確認された場合の上田市教育委員会の対応といたしましては、該当児童生徒への学校保健安全法に基づく出席停止の措置を治癒するまで行うこととなります。また、保護者や同居人に感染が確認され、児童生徒が濃厚接触者になった場合においては、国が指定する2週間の出席停止とし、自宅等で健康観察を行うこととしております。感染者や濃厚接触者が教職員である場合には、病気休暇等の取得、在宅勤務や職務専念義務の免除等により出勤させない扱いといたします。

 次に、休校や分散登校等を再度実施する場合の基準についてでございますが、国の衛生管理マニュアルによりますと、児童生徒等や教職員の感染が確認された場合には、濃厚接触者が保健所により特定されるまでの間、該当校の臨時休業を実施することが示されております。これを受け上田市教育委員会としても同様な基準を取ることとしております。さらに、上田市教育委員会が定めた基準といたしまして、保護者や同居人に感染が確認され、児童生徒が濃厚接触者になった場合には、児童生徒の検査結果が判明するまでの間、該当校を臨時休業といたします。また、上田市においてクラスターの発生や感染者の濃厚接触者が特定できず、クラスターを形成するおそれがある事例が発生した場合等、地域の蔓延状況を踏まえ、上田保健所の助言、指導に基づいて臨時休業や分散登校を実施する場合がございます。

 次に、議員ご質問の基準を設ける際、学校単位なのか、上田市教育委員会で設定した統一基準なのかについてでございますが、学校関係者以外に感染した場合や学校関係者の家族が濃厚接触者の場合等様々なケースが考えられまして、全てを基準化することは難しいと考えております。現在、校長会と対応を検討しながら、臨時休業や分散登校を実施する基本方針を作成しております。

 いずれにいたしましても、臨時休業や分散登校を実施するに当たっては、上田保健所の助言、指導を受けながら、上田市教育委員会がその臨時休業等の必要性をケースに応じて判断してまいります。児童生徒や保護者に対しては、通常の登校が始まり、新しい教育活動を再開したことから、教育委員会の基本方針を丁寧に保護者の皆さんに説明いたしまして理解していただけるよう努めてまいりたいというふうに考えております。

 学校の教育活動を継続するに当たり、感染及びその拡大のリスクを可能な限り低減しつつ、児童生徒の学びを最大限保障していく学校の新しい生活様式を実践してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

○議長(土屋勝浩君) 佐藤論征議員。

          〔20番 佐藤 論征君登壇〕

◆20番(佐藤論征君) 教育長から答弁いただきましたけれども、先ほど丁寧にご説明という話がございました。学校がいつどういう状態になってしまうかというのが本当に保護者の皆さん不安に思っていたり、子供たちをもし休校になった場合にどうやってその間どなたに預けるのかということも考えたりですとか、あるいは定期券をいつ買っていいのか、定期券を利用している児童生徒についてはそういったことまで心配されている方までいらっしゃいますので、ぜひ丁寧に説明していただくようにお願いしたいと思います。

 それでは、次にオンライン学習について質問いたします。オンライン授業については、他自治体、私立の学校などにおいては既に実施された学校もございます。また、インターネット環境が整わない家庭に対しての支援なども様々に始まっている自治体もございます。この新型コロナウイルス感染症の影響でオンライン授業ができるか否かにより、地域間の学力差、教育格差が出ることが危惧されるところであり、上田市としては子供たちのためにそのようなことは絶対に起こしてはならないという思いでこの難局を乗り切っていかなければなりません。それには早急なオンライン授業に関わる環境整備あるいは代替手段の構築を早急に進めるべきであります。今定例会6月補正予算においてGIGAスクール構想推進事業として、小中学校内通信ネットワークの整備等の予算7億2,860万円が上程されており、整備推進が期待されるところであります。

 そこで、1点目として、教育委員会では今回のコロナウイルス感染症拡大によりオンライン学習の必要性をどのように捉え、現段階でどこまで検討、研究、調査を行っているのか。

 2点目として、各教科日頃の授業の様子や要点を動画で撮影し、授業の補習としてインターネット配信、市内のケーブルビジョンに協力を依頼し、ケーブルビジョンでの放映、DVDでの配布など、これらは早急に取りかかれる手段であると考えますが、早急に取りかかれる手段は検討できないか。

 3点目として、オンライン授業などに対応した授業を推進するため、国でも児童生徒に1人1台端末の導入を推進しております。現在のような緊急事態をも考慮し、短期間での導入を目指し安価なタブレットの導入を検討し、国庫補助を活用しながら早急な導入を検討するべきと考えますが、どうか。

 以上3点につきまして、新生会代表質問の最後の質問といたします。

○議長(土屋勝浩君) 峯村教育長。

          〔教育長 峯村 秀則君登壇〕

◎教育長(峯村秀則君) オンライン学習の必要性や具体的な検討や研究、調査の状況について申し上げます。

 学校のICT環境の整備につきましては、これまで昨年12月議会の中村議員、今年の3月議会の池上議員からのご質問をはじめ大勢の皆様からご質問、ご指摘をいただいてまいりました。ICT機器の整備計画につきましては、これまでは教育委員会保有の老朽化した施設等の整備計画との兼ね合いから、国の事業のICT環境整備5カ年計画や児童生徒に1人1台の教育用パソコンを整備するとは違った上田市独自の計画で機器の整備を進めていく考えでございました。

 しかしながら、今回の新型コロナウイルス感染症の拡大によりまして学校の休業が長期間に及び、児童生徒の学習の機会が損なわれたことから、早急にICT環境の整備を進める必要がございまして、今議会に補正予算を計上し、お願いするものでございます。

 臨時休業中の小中学校では教職員がドリルやプリントを家庭訪問して配布するなど、家庭でできる課題を提供し、次の家庭訪問のときに課題を回収し、評価やコメントを丁寧につけて児童生徒に返すなどをしてまいりました。また、休業期間が長期化してきたことから、教科書に沿った予習的な課題を教職員が手作りで作成し、自宅でも少しでも授業を進めることができるように努力してまいりました。例えば、家庭科では手作りマスクを作成する課題や、小学校図工ではこいのぼりの作成など、各学校で教職員が工夫した課題での家庭学習を支援する努力を重ねてまいりました。

 議員ご指摘のオンライン授業は、新型コロナウイルス感染症の第2波、第3波の起こり得る可能性があることから必要性が高いというふうに考えております。市内の全小中学校ではございませんが、休業期間中に家庭の児童生徒といかにつながって学習を継続していくか、試行錯誤を繰り返してまいりましたが、その中でオンラインを使った学習支援を幾つか行いましたので、事例についてご紹介申し上げます。

 1点目は、学校のホームページに動画を掲載し、児童生徒へのメッセージや家庭学習の補助、授業の動画等を各学校で作成し、掲載いたしました。動画などの容量の関係もございまして、最初は1校当たり15分程度のものでございました。学校からもっと配信したいという要望があったことから、約10時間の内容が掲載可能となるようにホームページのサーバーも増強いたしました。児童生徒からは担任の先生の顔を見て非常に喜んだ子が多かったということをお聞きしております。なお、県下の小中学校のホームページを確認してみますと、上田市の学校が一番多く動画を配信したこととなっております。

 2点目として、ウェブ会議のシステムのZoomを活用した学校がございます。児童生徒と学活などにおいてコミュニケーションを深めていくことを通して健康観察や日常生活の送り方の指導ができ、効果を上げた学校もございます。Zoomは比較的使い方が易しく、かつコミュニケーションが取りやすいシステムでございます。これまで各学校から選出された教職員による情報教育主任会という会を年4回ほど開催してまいりましたが、今年は新型コロナウイルス感染症の拡大防止のためにZoomを使用したオンライン会議を研修内容として位置づけ、6月下旬に開催する予定でございます。多くの教職員に参加してもらい、Zoomの安全性も研究テーマとして位置づけまして、研究を重ねてまいりたいというふうに考えております。

 続いて、授業の様子や要点を動画で撮影してインターネットの配信、市内のケーブルテレビ会社と連携して動画の放映やDVDの作成、配布などを行ってはどうかというご提案でございますが、これまでも上田ケーブルビジョンと丸子テレビ放送において県教育委員会が作成した授業を放映していただきました。この際、ケーブルテレビに加入していない家庭、または加入していない家族でもインターネットを通じて動画が見えるように対応してまいりました。現在、学校が再開し通常の授業が行われておりますが、毎時間の授業を撮影したり要点を加工して配信することは、1日に行われる授業数や翌日の授業の準備などから教職員が制作に関わる時間を割くことは大変困難であると考えます。せっかくのご提案でございますが、今後の参考にさせていただきたいというふうに思っております。

 続いて、児童生徒に1人1台の端末の導入を推進していることから、国庫補助を活用して安価なタブレットの導入を早急に検討すべきというご提案でございます。国が推進するGIGAスクール構想は、子供たちに予測できない変化を前向きに受け止めること、主体的に向かい合い、関わり合うこと、また自らの可能性を発揮し、よりよい社会と幸福な人生のつくり手となるための力をつけることなどが目的として挙げられております。

 当初国の補助事業は令和5年度までに児童生徒1人1台の端末を整備する予定で、令和2年度にまず校内ネットワークの整備事業を進めるスケジュールでありました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症により学校の休業が長期化に及んだことから、学習進度の遅れが問題となりまして、国は補正予算を計上し、児童生徒に1人1台の端末を整備する計画を令和2年度に前倒しいたしました。

 教育委員会といたしましても、国の補助事業を積極的に活用し、学校のICT教育の環境整備を進めてまいりたいと考えておりますが、国の補助要綱といたしまして、児童生徒に1人1台の端末の補助を受けるためには、まず校内ネットワークの整備を進めることが条件となっておりますことから、今議会においてそのための予算を計上し、審議をお願いするものでございます。

 いずれにいたしましても、今後も庁内関係課とも連携を深め、なるべく早い段階で児童生徒1人1台の端末の整備を予算として計上してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

○議長(土屋勝浩君) 佐藤論征議員の質問が終了しました。

令和2年3月定例会一般質問

○議長(小林隆利君) 次に、質問第11号、有害鳥獣対策と地域おこし協力隊制度の活用について、佐藤論征議員の質問を許します。佐藤論征議員。

          〔10番 佐藤 論征君登壇〕

◆10番(佐藤論征君) 本日最後の質問となりました。皆様かなりお疲れのようでございますが、しばらくお付き合いいただきたいと思います。

 それでは、議長よりお許しを頂きましたので、さきの通告のとおり、有害鳥獣対策と地域おこし協力隊制度の活用について質問をしてまいります。

 まず、有害鳥獣対策について質問を進めてまいります。私の所属会派新生会は、少し前になりますが、昨年の3月に政務活動費を活用し、小諸市の永続的な対策を目指す野生鳥獣対策の取組を視察させていただきました。小諸市では有害鳥獣対策を行う猟友会員の減少に対処するため、平成23年に市に専門員と狩猟免状を所有した市職員から成る鳥獣被害対策実施隊を結成し、有害鳥獣対策に取り組み、その取組の中から発生した問題解決に向け、猟友会に依存していた有害鳥獣対策から脱却し、捕獲従事者負担軽減捕獲報償費の増額を図るなどして、捕獲数を顕著に増加させました。

 一方、捕獲増加により当然のことながら捕獲報償金、個体処分費が増加いたしましたが、これに対処するため、平成27年度に小諸市野生鳥獣商品化施設を整備いたしました。この施設は、県の遊休施設を改修し、財源は地方創生交付金を活用して整備され、施設整備に併せ小諸市野生鳥獣商品化事業として、ペットフードの原料として鹿肉の加工、販売が開始されました。事業発足後もさらなる収益性の改善への取組は行われ、なおかつ施設では地域おこし協力隊員が活躍されております。昨年度は上田市からこの施設に10頭のニホンジカが持ち込まれ、上田市産ニホンジカペットフードとして商品化されたところであります。

 小諸市での先進的な取組を視察し、上田市の今後の有害鳥獣対策に非常に参考となることが多いと感じました。ただ単に同様の取組をするのではなく、近隣での取組を見ながら、上田市の地域性などにより、この取組を生かす観点で上田市の有害鳥獣の現状についても併せて質問してまいります。

 まず、有害鳥獣捕獲報償金についてです。1点目として、有害鳥獣捕獲報償金の捕獲個体別の単価と単価の推移はどうか。

 2点目として、平成30年度決算に係る成果報告書では、有害鳥獣対策ではニホンジカ、イノシシ、ハクビシンについては従来の捕獲報償金のほか、国の鳥獣被害防止緊急捕獲活動支援事業により、報償金を加算して捕獲対策の強化に努めたとしておりますが、具体的な加算の金額はどうか。

 3点目として、報償金支給対象として捕獲数に応じた支給以外の対象となる事項はあるか。

 4点目として、昨年度の報償金の内訳と近年の報償金の推移はどうか。また、報償金から有害鳥獣の捕獲の傾向をどのように分析しているか。

 5点目として、報償金の支給方法はどうか。

 6点目として、周辺自治体と比較した場合の1個体当たりの支給額はどうか。

 7点目として、上田市は有害鳥獣捕獲に対して報償金として支給しており、補助金などと違い補助要綱がないわけでありますが、報償金として支給している根拠は何か。

 8点目として、今後の報償金をどのような方針のもとで支給する考えか。

 以上8点お尋ねいたします。

○議長(小林隆利君) 工藤農林部長。

          〔農林部長 工藤 秀樹君登壇〕

◎農林部長(工藤秀樹君) 初めに、有害鳥獣を捕獲した際の報償金の単価と単価の推移についてお答えいたします。現在上田市ではニホンジカ、イノシシなどの大型獣については1頭当たり1万5,000円を、中型獣のうちハクビシンは1匹当たり4,000円を、タヌキ、キツネ、アナグマは1匹当たり3,000円を捕獲報償金として捕獲者の皆様へ交付しております。

 次に、報償金の単価の推移でございますが、平成18年3月の合併時には旧市町村単位に有害鳥獣駆除対策協議会が組織され、単価は協議会ごとに定められており、地区ごとに差異が生じておりました。このため、上田市統一の報償金額を定める必要があったことから、平成22年度に旧市町村ごとに組織していた協議会を統合し、新たに上田市有害鳥獣駆除対策協議会を設置、上小猟友会と協議、調整を踏まえ、ニホンジカ、イノシシの報償金を1頭当たり1万円とし、その後平成24年度にハクビシン、タヌキなどの中型獣の報償金を1頭当たり3,000円として追加してきたところでございます。その後、平成26年度から国の鳥獣被害防止緊急捕獲活動支援事業を活用し、現在の報償金の報償金額となっております。

 次に、国の事業を活用した報償金の具体的な加算額についてお答えいたします。鳥獣被害防止緊急捕獲活動支援事業の導入以前は、上田市が計画を策定するイノシシやニホンジカなどの大型獣の捕獲計画頭数は年間500頭でしたが、被害が拡大したため、平成27年度から捕獲計画頭数を年間1,600頭といたしました。これに伴い捕獲対策を強化する必要があったことから、鳥獣被害防止緊急捕獲活動支援事業を活用し、報償金の上乗せを実施し、捕獲を推進しました。報償金の加算額は、ニホンジカ、イノシシが5,000円、ハクビシンが1,000円となっております。

 次に、捕獲頭数に応じた支給以外に支給の対象となる事項はあるかにお答えしたいと思います。ニホンジカやイノシシなど獣類による被害のほか、カラスなどの鳥類による農業被害が発生している塩田地区と豊殿地区にそれぞれ1基ずつカラスおりを設置して捕獲を実施していただいており、この管理費といたしまして1基当たり年間15万円を支給しております。管理内容といたしましては、カラスおりの修繕などを含む維持管理やカラスを捕獲するための餌や水の補給、清掃、周辺の草刈り、捕獲したカラスの処分などとなっており、平成30年度はこのおりで158羽のカラスを捕獲しております。

 次に、昨年度の報償金の内訳、報償金の推移、捕獲の傾向をどう分析するかにお答えいたします。まず、昨年度の報償金の内訳でございますが、報償金の総額は2,588万3,000円、そのうちニホンジカが1,832万円余であり、約70%を占めており、イノシシが536万円余で約21%、ハクビシンなど中型獣が219万円余で約9%となっております。また、捕獲頭数につきましては、平成30年度実績でニホンジカが1,231頭、イノシシ356頭、中型獣が合計691頭となっており、市内においては報償金額、捕獲頭数共にニホンジカが大きな割合を占めております。

 次に、近年の報償金の推移でございますが、平成25年度は約1,000万円、平成26年度は約2,200万円、平成27年度は約2,400万円でございまして、平成28年度から30年度までの3年間は、各年共に年間総額が約2,600万円と高止まり傾向が続いております。平成26年度は25年度と比較いたしまして2倍を超える2,200万円となったわけでございますが、大型獣の捕獲頭数においても平成25年度は880頭だったのに対し、平成26年度は1,375頭と約1.5倍の捕獲を実施していただいております。

 報償金額が2倍、捕獲頭数が1.5倍を超える実績となった要因といたしましては、1つは国の事業を活用したことによりニホンジカ、イノシシの捕獲報償金が1万円から1万5,000円に引き上げられ、捕獲者の捕獲に対する意欲が高まったことが挙げられると思われます。また、平成23年度から25年度にかけまして集落を鳥獣被害から守る侵入防止柵の設置が進み、3年間で約80キロメートルが設置されました。これにより獣が侵入防止柵沿いを歩くようになり、その動きが把握しやすくなったことから、くくりわなによる捕獲が効率的に行われたことも要因していると考えられます。

 また、ここ3年ほど報償金が約2,600万円であることにつきましては、捕獲を担っていただいている猟友会員の高齢化や会員数が横ばいであること、現在の捕獲方法での限界などが考えられます。そのため、より多くの捕獲を目指すためには、猟友会員の若返りや新たな人材の確保、ICT技術などを応用した様々な捕獲技術の導入が必要な時期になっているものと考えております。

 次に、報償金の支出方法についてお答えいたします。現在市内には上小猟友会支部が8支部ございますが、支部ごとに毎月捕獲頭数を取りまとめていただき、捕獲した鳥獣の大きさや捕獲日時、雌雄の別、雌、雄ですね、雌雄の別などを記載した調査票に捕獲状況が分かる写真を添付した有害鳥獣捕獲確認書とニホンジカ、イノシシ、ハクビシンの場合は、捕獲の証拠となる尻尾を市に提出いただきます。市ではそれらの提出物により捕獲個体がそれぞれの別の個体であることを精査、確認した上で、上田市有害鳥獣駆除対策協議会宛てに報償金を交付し、その後協議会から上小猟友会の各支部宛てに交付されるという流れになっております。

 次に、周辺自治体と比較した1個体当たりの支給額についてお答えいたします。上小地域で1頭当たりの報償金を比較した場合、長和町ではニホンジカ、イノシシが1万8,000円、ハクビシン、タヌキなどの中型獣に対して報償金はございません。東御市ではニホンジカ、イノシシが1頭当たり1万6,000円、ハクビシン、タヌキについては、長和町と同じく報償金はなしとなっております。また、東信地域で見ると、佐久市はニホンジカ、イノシシが1万3,000円、ハクビシン、タヌキなど中型獣は報償金なし、小諸市ではニホンジカ、イノシシが1万8,000円、ハクビシン、タヌキなどの中型獣が2,000円となっております。

 東信も含めた周辺地域で比較いたしますと、ニホンジカやイノシシの大型獣の報償金の水準はほぼ平均的でありますが、周辺地域では中型獣の報償金を支給していない自治体も多い中、当市では中型獣の報償金も設定しておりますことから、幅広い捕獲についての支援ができているものと考えております。

 次に、報償金を支給する根拠についてのご質問にお答えをしていきたいと思います。他市町村では報償金について条例等で定めている自治体もございますが、上田市では報償金を支給する対象が上小猟友会に所属している捕獲従事者に限定されております。このため、報償金を交付することに関し必要事項を定めた上田市有害鳥獣捕獲報償金交付要領を平成26年度に制定し、これに基づき交付しているものでございます。

 次に、今後の支給方針についてお答えいたします。市では来年度から有害鳥獣駆除について新たに上田市鳥獣被害対策実施隊を組織し、捕獲従事者の皆様には特別職非常勤職員として捕獲に従事していただく予定になっております。これにより公務災害補償の対象となること、また狩猟税の全額免除などの優遇措置などあることなどから、安心して長く捕獲に従事していただくことができるものと期待をしているところでございます。

 なお、報償金につきましては、これまでどおり引き続き捕獲頭数に応じて交付していきたいと考えておりますが、平成26年度から鳥獣被害防止緊急捕獲活動支援事業を導入し、捕獲報償金が1.5倍になったことにより、捕獲頭数が大幅に増加した経緯がございます。報償金の増額が捕獲従事者の大きな動機づけになり得ますことから、今後も周辺市町村の状況も調査しながら研究してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

○議長(小林隆利君) 佐藤論征議員。

          〔10番 佐藤 論征君登壇〕

◆10番(佐藤論征君) まず、捕獲報償金についてそれぞれお答えを頂きました。また後ほど小諸市の関係でちょっと触れますが、上田市においても非常に捕獲報償金を上げたことによりまして、限界を迎えている中でも非常に費用がかかっているということをお聞きいたしました。

 それでは、次に有害鳥獣捕獲に対する支援についてお尋ねいたします。全国的に猟銃免許所持者が減少する一方、わな免許所持者については増えている状況にあり、上田市でも同様の状況であります。わなは種類によっては1回の使用で破損してしまうものも多く、非常に費用がかかります。上田市では捕獲おり、わな購入の費用を上田市有害鳥獣駆除対策協議会事業負担金として支給しておりますが、現在上田市内でも捕獲おり、わなが一部で足りず、融通し合っている状況でありますが、上田市での捕獲おり、わなの需要をどのように捉えているか。また、今後捕獲おり、わなに対する支援を厚くするべきと考えますが、見解はどうかお尋ねいたします。

○議長(小林隆利君) 工藤農林部長。

          〔農林部長 工藤 秀樹君登壇〕

◎農林部長(工藤秀樹君) 有害鳥獣捕獲の支援について、捕獲おりとわなの需要をどう捉えているかにお答えいたします。イノシシの捕獲に用いる大型の捕獲おりについては重量があることから、設置、運搬に制約があり、設置可能な場所が限定されるため、ここ数年は毎年3台程度を市で購入しております。1つのおりで複数頭の捕獲が可能なため、農地を集団で荒らす親子連れのイノシシなどの捕獲に適しているものと考えております。一方、くくりわなにつきましては1頭ずつの捕獲になりますが、捕獲おりに比べ設置場所にある程度自由度があるため、山林内の獣道などに仕掛けることができます。しかしながら、大型の個体がかかった場合、わなが破損する可能性が高く、くくりわなについては消耗品と考え、毎年100から150基程度を市が購入し、猟友会の各支部へ配布をしております。また、破損箇所によっては補修も可能なため、補修資材についても市が購入し、支給をしております。

 次に、捕獲おりとわなへの支援を手厚くすべきについてのお答えをしたいと思います。捕獲おりとわなは捕獲の重要な道具であるため、可能な限り支援を行ってまいりたいと考えておりますし、継続的な捕獲おり、わなの購入とともに、補修用の資材などについてもできる限り市で対応し、最新の捕獲機器の導入などについても検討してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

○議長(小林隆利君) 佐藤論征議員。

          〔10番 佐藤 論征君登壇〕

◆10番(佐藤論征君) 支援については可能な限り支援をしていただくというご答弁を頂きました。猟友会の皆さんのお力が非常に大きいところでありますので、できる限り支援をお願いしたいところであります。

 次に、上田市産ニホンジカペットフード事業についてお尋ねいたします。冒頭でも申し上げましたとおり、上田市は昨年度より上田市産ニホンジカペットフード事業を実施しており、昨年度はニホンジカを10頭小諸市野生鳥獣商品化施設に持ち込み、上田市産ニホンジカペットフードとして商品化しております。この事業に関して質問いたします。

 まず1点目として、今年度前期と後期でそれぞれ10頭のニホンジカを小諸市野生鳥獣商品化施設に持ち込み、上田市産ニホンジカペットフードとして加工する予定としておりましたが、昨年の東日本台風の影響で後期の10頭の持込みが遅れておりますが、今年度末の見込みはどうか。

 2点目として、小諸市では捕獲数を増やす対策を取ることにより捕獲数が向上すると焼却費用などの鳥獣対策費用が高騰することから、野生鳥獣商品化施設の建設に至りました。捕獲対策を強化している上田市としても、対策費用の高騰については留意しながら捕獲対策の強化を図らなければなりません。そこで、平成30年度から実施した上田市産ニホンジカペットフード事業について、これまでの実績から費用対効果はどうか。

 3点目として、小諸市では市内のニホンジカについてはほぼ捕り尽くした状態であり、現在では軽井沢町からも多く受け入れております。視察に伺った際には上田市からもさらに多くの個体を持ち込んでいただきたいとのお話でございましたけれども、上田市として今後小諸市野生鳥獣商品化施設への持込みについてどのように考えるか。

 4点目として、持込みに関しては、捕獲の状況にもよりますが、捕獲から1日ないしは2日以内ぐらいで持ち込まないと商品化ができないという制約があるとお聞きしておりますが、このような制約が持込み上の妨げとなっているのか。また、持ち込む場合のこの制約について上田市として対策を取れる見込みはどうか。

 以上4点お尋ねいたします。

○議長(小林隆利君) 工藤農林部長。

          〔農林部長 工藤 秀樹君登壇〕

◎農林部長(工藤秀樹君) ニホンジカペットフード事業について、小諸市へのニホンジカの持込みはどうかにまずお答えいたします。小諸市では野生鳥獣商品化事業を平成28年度から開始しております。事業開始当初、小諸市から上田市にニホンジカ搬入の依頼がございましたが、個体の処分費用など新たな財政負担が発生するなどの課題があったことから、参加を見合わせておりました。市といたしましては、小諸市への捕獲個体の提供で終わるのではなく、ジビエ振興の第一歩として市内で捕獲されたニホンジカの有効活用の見える化をしたいということで、小諸市とは引き続き協議を重ねてきたところでございます。

 上田市で捕獲されたニホンジカをペットフードとして加工、製造していただき、商品は上田市が販売する、いわゆるOEM、相手先ブランド製造という形での協議が調いましたことから、野生鳥獣商品化研究事業を立ち上げ、平成30年度から上田市産ニホンジカペットフードの委託製造、販売を始めたところでございます。

 昨年度は10頭のニホンジカを活用し、1袋30グラム入りのペットフード500袋を委託製造し、税込み1袋540円で販売いたしました。順調な売上げであったことから、今年度につきましては前期、後期に分けそれぞれ10頭ずつ計20頭のニホンジカを搬入し、1,000袋の製造を計画いたしました。前期分につきましては、昨年の7月に猟友会塩田支部のご協力を頂き10頭のニホンジカを小諸市まで搬入し、500袋を製造し、2月末までにほぼ完売しております。

 このような中、昨年の東日本台風により多くの林道が被災したことにより、後期分の個体を確保、搬入することができませんでしたが、猟友会武石支部のご協力によりまして2月後半から搬入を始めたところであり、3月中旬までには計画どおり10頭のニホンジカを小諸市へ搬入し、今年度の委託製造は完了する予定となっております。

 次に、ニホンジカペットフード事業の費用対効果についてお答えいたします。上田市産ニホンジカペットフードを製造販売する野生鳥獣商品化研究事業の平成30年度の収支でございますが、歳出は小諸市への製造委託費として個体の搬入費など約45万円で、歳入は観光会館売店での販売やふるさと納税の返礼品として活用いただき、売上げが約20万円でございました。収支は赤字でございますが、この事業はあくまで研究事業でありまして、この事業の目的の一つは捕獲個体の有効活用の見える化でもあります。先ほど申し上げましたように、現在は観光会館売店などでの販売が中心でありますが、より多くの皆様にご利用いただき、収支を改善していくため、さらなる販路の拡大が必要と考えております。このため、今後は農産物直売所や量販店での販売についても検討してまいりたいと考えておりまして、また現在「上田紅もみじジャーキー」と銘打って販売しており、売行きは堅調でありますが、新たな商品開発なども研究していく必要があると考えております。

 さらに、製造数を増やすためには、捕獲、運搬等について猟友会のご協力が必要となるため、今後も猟友会の方々などに有効活用への理解を深めていただくとともに、事業実施上の課題なども調査をしながら、有効活用に向けさらなる展開を研究してまいりたいと考えております。

 次に、小諸市は多くの個体を持ち込んでほしい意向だが、上田市の考え方についてお答えいたします。市内では年間約1,000頭以上のニホンジカが捕獲されている中で、ペットフードとしての活用は20頭と僅かな数量でありまして、市といたしましてもより多くの個体を活用していきたいと考えているところでございます。搬入頭数を増加することにつきましては、上田市ブランドのペットフードの販路拡大、小諸市へ支払っている加工委託料、上田市が現在負担している猟友会による搬入費用、猟友会サイドの捕獲体制の整備など検討課題はございますが、いずれにいたしましても捕獲個体の有効活用につながれば、市町村を超えての協力体制はむしろ推進すべきものと考えております。

 また、現在は小諸市との連携はペットフード中心でありますが、今後は人が食するジビエの連携についても事業展開ができるかなど、小諸市とは前向きに協議を重ねてまいりたいと考えております。

 次に、商品化には捕獲個体を速やかに持ち込む必要があるが、支障はあるか、またその対策についてお答えいたします。人が食するジビエについて厚生労働省が定めた野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針では、捕獲した個体は速やかに食肉加工施設へ搬入することとなっております。ペットフード利用につきましては、これほどまでの衛生管理は必要ありませんが、小諸市へ搬入しているニホンジカは主にわな猟によって捕獲された個体でございます。また、野生獣であることから計画的に捕獲できる保証はなく、猟友会の皆さんには毎朝わなを見回りしていただき、捕獲した個体は速やかに小諸市の施設へ搬入するなど大変なご苦労を頂いておりますことから、今後は捕獲から搬入までの効率的な仕組みを研究していく必要があると考えております。

 以上でございます。

○議長(小林隆利君) 佐藤論征議員。

          〔10番 佐藤 論征君登壇〕

◆10番(佐藤論征君) 小諸市との連携につきましてはまだスタートしたばかりであり、課題も多いようであります。今後の小諸市とのよい連携に期待するものであります。

 次に、先ほどもちょっと部長のほうから触れられておりましたが、ジビエの取組についてお尋ねいたします。お隣の長野市において、中条地区にジビエ加工センターを整備し、令和元年7月から本格稼働が開始されました。また、同市若穂地区においても野生鳥獣専用の食肉加工施設信州わかほジビエを若穂猟会が運営を行い、地域おこし協力隊が加わり、ジビエ振興による地域おこしを推進しておられます。全国的にもジビエ振興を推進している地域が多くなる中、上田市でも地域おこしも兼ねたジビエ振興の検討が必要ではないかと考えます。

 そこで、1点目として、ジビエ振興をどのように考えるか。

 2点目として、小規模で猟友会等に利用していただけるような有害鳥獣のジビエにも対応した解体施設の設置について、運営していただける団体との話合いをしながら検討は必要ではないか。

 以上2点お尋ねいたします。

○議長(小林隆利君) 工藤農林部長。

          〔農林部長 工藤 秀樹君登壇〕

◎農林部長(工藤秀樹君) ジビエ振興をどのように考えるかにつきましてお答えをいたしていきます。

 県内にはジビエ解体処理施設は33施設ございますが、このうち約20施設が南信地方に集中し、ジビエを食す文化が伝統的に根づいております。南信地方では捕獲した個体を安定的に供給でき、解体処理施設で加工し、販売していくといういわゆる川上から川下までの一貫したサイクルが確立されているということでございます。鹿などの野生鳥獣を地域の資源として有効活用できるかは、まずはその地域で需要が見込めるのか、具体的にはジビエ料理店の拡大や家庭での鹿肉料理の普及などを通じていかに需要を確保できるかということが一つの課題であると考えております。

 次に、供給について目を向けますと、品質の良い捕獲個体を安定的に提供できるかが課題と考えます。個体の提供については猟友会のご理解やご協力がなくては成り立ちませんので、安定的な供給の確保が2つ目の課題と考えております。ジビエの振興には安定的な供給と需要の確保が課題であり、これは上田市だけで解決できるものではございません。したがいまして、上小地域、さらには東信地域といった広域的な視点での取組が何より必要であります。このため、猟友会のほか、農業、林業関係者などを対象として、今後も研修会、先進地視察を開催するとともに、加工施設建設に対する国の支援策などの情報提供にも努めてまいりたいと考えております。

 次に、猟友会などが管理運営するジビエにも対応した解体施設の設置についてお答えいたします。さきにも申し上げたとおり、安定的な供給と一定の需要がないと加工施設の運営は成り立つものではございません。特に供給については猟友会の方が中心となるものでございますので、今後も猟友会の意欲のある方々を対象に加工施設について運営の意思があるかなどの情報の掘り起こしに努めていきたいと考えております。また、意欲ある団体などの皆様と情報交換を行いながら、ジビエ振興策について研究してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

○議長(小林隆利君) 佐藤論征議員。

          〔10番 佐藤 論征君登壇〕

◆10番(佐藤論征君) それでは、次に近隣市町村との連携についてお尋ねいたします。

 上田市産ニホンジカペットフード事業はまだ始まったばかりでありますが、これは先ほど申し上げましたとおり、小諸市との連携のスタートであります。ジビエに関しても近隣市町村とも連携が図れる可能性がございます。先ほど部長の答弁にも一部触れられておりました。有害鳥獣対策は単市で対策を講じるのは財源的な面からも厳しくなるのは明らかであります。近隣市町村との連携については財政面から見ても大変重要と考えますが、今後の近隣市町村と連携した駆除体制の確立をどのように考えるか、お尋ねいたします。

○議長(小林隆利君) 工藤農林部長。

          〔農林部長 工藤 秀樹君登壇〕

◎農林部長(工藤秀樹君) 近隣自治体と連携した有害鳥獣駆除体制確立の考え方につきましてお答えいたします。

 鳥獣の生息域は流動的であり、市町村単位での鳥獣対策では対応し切れない部分もありますことから、有害鳥獣駆除に係る広域連携は猟友会が中心となり、市町村境を越えて行っております。具体的には、青木村境の山林では猟友会青木支部と川西及び塩田支部が合同での一斉捕獲を実施しております。また、上小地域全体の一斉捕獲では、美ヶ原高原を中心とする国有林において上小4市町村の猟友会各支部が毎年合同で実施をしております。また、ジビエ振興の面からは、広域的な連携が財政的な負担軽減や個体の有効活用につながると考えます。第2次上田地域定住自立圏共生ビジョンにおいても、有害鳥獣駆除対策の推進としてジビエについて調査研究を進め、事業化を推進するとされておりますので、引き続き連携市町村や県などの関係機関と協力して進めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

○議長(小林隆利君) 佐藤論征議員。

          〔10番 佐藤 論征君登壇〕

◆10番(佐藤論征君) 近隣市町村との連携についてお尋ねいたしました。近隣市町村との連携については重要と考えていらっしゃるということのお答えだったと思います。また、よりよい連携についての取組を期待するところであります。

 それでは、次に地域おこし協力隊制度の活用について質問いたします。まず1点目として、地域おこし協力隊については地域からの要望に基づき募集を行っておりますが、小諸市では野生鳥獣商品化施設の円滑な運営が地域おこし協力隊の活躍が大きな力となっていますし、長野市若穂地区でも地域おこし協力隊が活躍されております。また、他の自治体においても有害鳥獣対策や地域の狩猟後継者として活躍されている事例も多くお聞きするところでございます。地域並びに猟友会などの関係団体へこのような地域おこし協力隊の制度、地域おこし協力隊の他地域での実績を紹介し、有害鳥獣対策に関わる地域おこし協力隊が必要かどうか検討していただくことが考えられないか。地域振興の観点からも有効と考えます。

 2点目として、午前中井澤議員から地域交通に関して運転手確保策として地域おこし協力隊の活用ができないかという質問ございましたけれども、有害鳥獣対策、地域交通対策だけではなくて、上田市の地域課題について地域おこし協力隊制度の説明を関係団体などと行うなどし、ある程度市主導で地域おこし協力隊制度の活用を推進することが有効と考えますが、どうかお尋ねいたします。

 3点目として、上田市においては地域おこし協力隊について平成27年8月から導入し、5年が経過しようとしておりますが、これまで地域で活躍してくださっている方、残念ながら地域に定着しなかった方様々でございました。この5年間近い実績をどのように分析し、これまでの総括と今後の地域おこし協力隊の活用の考えはどうか。

 以上3点につきまして、長きにわたり上田市民のために尽力されました小宮山市民まちづくり推進部長に私からの小宮山部長への最後の質問として答弁を求めます。

○議長(小林隆利君) 小宮山市民まちづくり推進部長。

          〔市民まちづくり推進部長 小宮山 剛君登壇〕

◎市民まちづくり推進部長(小宮山剛君) ありがたく答弁させていただきます。

 地域おこし協力隊制度の活用について3点ご質問を頂きました。まず、関係団体に地域おこし協力隊の活用を提案してはどうかとのご質問でございます。地域おこし協力隊制度は、都市部から人材を誘致し、地域で協力活動を行いながら定住、定着を図る制度でございまして、国の財政措置を活用して全国に浸透してまいりました。上田市は平成27年度からこの制度を導入し、地域の実情を把握している各所属において地域や関係団体からの要望をお聞きしながら必要性を判断した上で各地域での具体的な業務内容を提示するとともに、隊員が日々の活動の中から見いだした新たな業務も追加して行えるようにしております。

 議員のご質問にもありましたとおり、小諸市では野生鳥獣の商品化施設の運営を隊員が担い、また長野市では任期を満了した隊員がジビエ解体施設と自ら立ち上げたゲストハウスの運営を行うなど、退任後も定住し、引き続き活動していると伺っております。

 上田市で活躍する隊員の日々の活動につきましては市のホームページでも紹介しておりますが、今後さらに他地域で活動する隊員の有害鳥獣対策の状況なども地域や猟友会にも紹介し、事業の研究とともに隊員の活躍できる場について、有害鳥獣対策の担当課や猟友会などに意見を伺いながら検討を進めてまいりたいと考えております。また、有害鳥獣対策だけでなく、地域振興の観点からも全庁的に働きかけながら、各所属で制度が活用できるよう進めてまいります。

 次に、地域の課題解決に関係団体等が協力隊を活用することの見解についてでございますが、これまで地域協議会や住民自治組織、また農業や観光など課題解決に向けて取り組まれている関係団体からご意見、要望を受ける中で必要性を判断した上で隊員の募集、配属を決めてまいりました。隊員の熱意と行動力は地域に大きな刺激を与えるものと考えておりますが、団体の活動を維持するための臨時的な人の配置でないこと、地域の温かいフォローや組織的支援が欠かせないこと、また隊員、受入地域、行政の3者が良好な関係で隊員が活動を進められることが隊員が生き生きと活躍できる大変重要な要素でございます。今後につきましては、これらのことを十分理解いただく中で、議員おっしゃるとおり、地域振興の観点からも住民自治組織や各種団体などの活動の課題をお聞きするとともに、最長3年の任期満了後は地域に定住、定着が図られるよう、必要とする隊員の地域協力活動の内容を十分精査し、積極的に隊員の募集を検討してまいりたいと考えております。

 最後に、これまでの活動実績と今後の活用についてのご質問でございます。当市では平成27年度から地域おこし協力隊の制度を導入し、これまでに13人の人材を隊員に任命してまいりました。隊員に任命した13人の中にはご家族の事情や被災した地域の復興を支援したい、また上田に来る前に抱いていた展望と異なるなどということでお辞めになった隊員も残念ながらいらっしゃいます。3年間の任期を終了した後もNPO法人を立ち上げ、地域の新たな活力として活動している者や、個人事業主として起業し、引き続き地域に居住している先輩隊員が3人おりますことは、地域おこし協力隊の趣旨であります定住、定着につながり、一定の効果があったものと考えております。

 現在各地域で活動しております地域おこし協力隊員は、豊殿地域、川西地域、塩田地域、丸子地域に各1人で、現役の隊員は4人おります。それぞれの地域において地域振興し、地域課題の解決に向けて活動をしているところでございます。この4人の隊員のうち3人の隊員が令和2年度中に任期満了となります。任期満了後も地域に定着し起業することを目標に準備を進めておりまして、起業あるいは商店や農家の事業継承する際に要する経費として今議会の当初予算で計上させていただきました。これら特別交付税で措置される上限100万円の補助金の活用も含め、具体的な相談に対して市としても対応をしているところであります。

 隊員が任期満了を迎える地域では、これまでの活動と定住、定着することに対し高く評価を得ており、引き続き隊員の受入れについて強く要望があることから、一定の効果があったものと考えておりまして、後任の隊員の着任に向け募集も行っていく予定でございます。

 令和2年度から地域おこし協力隊員は会計年度任用職員に位置づけられ、年間40万円を上限とする期末手当相当額の支給が特別交付税措置されることから、市といたしましては、今後も地域おこし協力隊制度を活用しながら協力隊志望者に選ばれる新たな魅力ある活動内容について、関係団体等の意見をお聞きしながら設定してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

○議長(小林隆利君) 佐藤論征議員の質問が終わりました。

令和元年12月定例会一般質問

○議長(小林隆利君) 次に、質問第4号、市政について、佐藤論征議員の質問を許します。佐藤論征議員。

          〔10番 佐藤 論征君登壇〕

◆10番(佐藤論征君) それでは、議長より許可を頂戴いたしましたので、通告いたしましたとおり、令和2年度当初予算編成方針についてと消防施設の管理についてを質問してまいります。

 まず初めに、令和2年度当初予算編成方針について質問いたします。前定例会一般質問において平成30年度決算の結果をどのように令和2年度の予算編成に生かすかという私の質問に対し、従来からの取り組みの継続として、第二次総合計画の着実な推進、今年度の重点目標を踏まえ、実施計画事業、人口減少対策へのさまざまな取り組み、公共施設建設等従来からの継続事業の推進、あわせて上田地域広域連合の資源循環型施設の早期整備に向けて誠心誠意市民の皆さんのご理解をいただくことを最優先として取り組むとし、市民にとって真に必要な事業か、時代に合った事業か、さらに見直しが必要な改善点は何かという視点を持ち、監査委員からの指摘も踏まえ、既存事業のさらなる改革、改善、そして「上田再構築」に取り組んでいくと市長より答弁がございました。

 予算編成方針がまとまる前のお答えでしたので大枠での答弁になったと思いますが、令和2年度当初予算編成方針が10月9日に決定されましたので、予算編成に関し、もう少し踏み込んでお答えをいただきたくお聞きいたします。

 まず、前年度当初予算編成方針から今回の方針にも継続されている部分もございますが、令和2年度当初予算編成方針の重点分野として、「持続可能な社会の構築に向け事業の再構築を加速化」と題し、7つの分野を掲げられております。今回の予算編成方針に関し大きな表題を掲げ、重点7分野を掲げた項目ごとの具体的な根拠と市長の思いについてまず市長にお尋ねいたします。

○議長(小林隆利君) 土屋市長。

          〔市長 土屋 陽一君登壇〕

◎市長(土屋陽一君) 来年度の当初予算編成についてのご質問をいただきました。

 令和2年度の予算編成に当たりましては、10月9日に予算編成方針を定めまして、編成作業をスタートいたしました。しかしながら、12日から13日にかけまして上陸いたしました台風19号による甚大な災害が当市におきましても発生いたしましたことから、まずは災害復旧事業を最優先に進め、一刻も早い市民生活の正常化を指示したところであります。

 新年度の予算編成方針におきましては、災害発生前の国の動向や市政における重要課題を踏まえ作成した内容となっておりますが、1つ目の項目といたしましては、「SDGsを原動力とした持続可能な社会の構築、Society5.0の実現」を掲げております。近年持続可能な社会を構築すべく世界が一体となってSDGs、持続可能な開発目標の達成に取り組む機運が高まってきております。また、ソサエティ5.0は、内閣府の第五期科学技術基本計画において、我が国が目指すべき未来社会の姿として提唱されております。

 これまでの情報化社会、ソサエティ4.0に続く、「仮想空間と現実空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会」とされており、経済財政運営と改革の基本方針2019、いわゆる骨太の方針におきましても、ソサエティ5.0を地方創生に向けて日本全国で促進し、豊かで暮らしやすい地方を実現する手段となっております。

 また、SDGsは2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された2016年から2030年までの国際目標でありまして、「地球上の誰一人として取り残さない」との理念のもと、個人や組織の立場を超えて持続可能な地域社会の実現を目指すものであります。地方創生や個性ある地域づくりに資する課題の取り組みでもあります。こうした視点を取り入れながら、上田市まち・ひと・しごと創生総合戦略の実現につなげてまいります。このほか、地域特性を生かした上田ブランドの育成、発展や地域内分権の推進、地域の多様な人材の活用に向けても着実な推進を図ってまいります。

 次に、2つ目といたしまして、「AI、IoTなど最先端技術を活用した産業振興、行政サービスの効率化」についてです。現在上田市政策研究センターを初め全庁的な連携を図りながら、これら最先端技術の活用について研究を進めております。人口減少や少子高齢化が進む中、社会経済情勢の変化に的確に対応し、AI、IoTなどの最先端技術を積極的に活用し、地域の課題解決や経済の活性化、より効率的で質の高い行政サービスの転換に取り組んでまいります。

 3つ目は、「自然環境保全と循環型社会形成及び安全で安心して暮らせるまちづくり」であります。市政の最優先課題と位置づける資源循環型施設の建設に向けて、曲げることなく覚悟を持って取り組む決意で進めるとともに、引き続き関係者の合意形成を最優先に、安全、安心の確保はもちろん、将来にわたり圏域住民の暮らしを支える施設となるよう、ごみの減量、再資源化の取り組みをさらに進めてまいります。

 また、庁舎整備、地域自治センター改築・改修事業につきまして、市民の安全、安心を守る拠点施設として、耐震化や利便性の向上、地域コミュニティーの活動拠点として整備を進めているところであります。全国的にもこれまでの想定を超えるような自然現象や災害が発生する現状を踏まえまして、緊急性、必要性のあるインフラ整備等について対応を検討してまいります。

 次に、4つ目としまして、「健幸が実感できる上田の実現に向けた健康・福祉の増進」についてであります。健康な市民生活を支え、医療や福祉ともかかわりの深い食育の重要性を踏まえ、7月に食育推進プロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトを初め健康寿命の延伸を目的としたフレイル予防など、健康づくりへの関心がさらに深まるよう、市民一人一人が楽しみながら気軽に参加いただける取り組みを進めてまいりたいと考えております。また、地域医療の体制については、これまでの成果を生かし、さらに安定的な医療体制を提供していく取り組みを継続してまいります。

 次に、5つ目として、「子ども・子育て・教育支援、教育環境の重点整備」であります。昨年の記録的な暑さを踏まえ、ことしの年度当初は公立保育園、幼稚園の全園で、また夏休み中までには小中学校全校においてエアコン整備を完了し、稼働を開始いたしました。また、本年10月にスタートいたしました幼児教育・保育の無償化につきましては、国、県、市の負担について注視しながら、子育て世代の負担軽減に向けて多様なニーズに応えるべく、きめ細かな支援の充実に努めてまいります。このほか、統合保育園の建設や学校給食施設の整備に向けても計画に沿って進めてまいりたいと考えております。

 6つ目は、「郷土愛につながる学び・世代間交流の創出と人づくり」です。地域に誇りと愛着を持ち、地域課題の解決や人材の育成を目的に、それぞれのライフステージに合わせて実施し、地域の学び、信州学などを通じシビックプライドの醸成を目指してまいります。また、上田未来会議を実施し、人と人とのつながりの中で世代を超えて市民の皆様が連携し、協働して取り組んでいく事業を進めてまいりたいと考えております。

 7つ目といたしまして、「広域都市・姉妹都市間や長野大学等との連携による学園都市・国際文化創造都市づくり」であります。医療や産業、職員交流を初めとするさまざまな分野で定住自立圏中心市として連携協力を一層進展させるとともに、寧波市やブルームフィールド市郡、ダボス町、加えてイタリアとの国際交流のほか、鎌倉市、上越市、豊岡市、九度山町、練馬区といった姉妹都市、友好都市との連携協力、長野大学を初めとする関係する五大学との未来に向けた都市づくりを協働で進めてまいります。

 以上、7つの重点分野について概略を申し上げましたが、いずれにいたしましても新年度の予算編成に当たっては、台風19号による災害復旧事業を最優先に取り組んでまいります。また、「再構築」の視点に立ちまして、市が取り組むべき重点分野については、限りある財源を必要な事業へ効率的かつ効果的に配分するとともに、健全で持続的な財政運営に配慮し取り組んでまいる所存でございますので、よろしくお願いいたします。

 以上でございます。

○議長(小林隆利君) 佐藤論征議員。

          〔10番 佐藤 論征君登壇〕

◆10番(佐藤論征君) まず、市長より令和2年度当初予算編成についてご答弁いただきました。

 次に、今回示されております令和2年度当初予算編成方針は、先ほど市長のご答弁の中でも一部触れられておりましたが、台風19号で被災する前の予算編成方針でございました。現在当初予算編成の調整作業が進められている最中と拝察いたしますが、方針自体は方針として揺るがないものであろうかと思いますが、当初の目標値、もくろみについては軌道修正しなければならない部分もあろうかと思いますし、財政健全化の取り組みを幾分先送りしてでも被災以前の状況を早急に取り戻さなければならないと私は考えるところでございます。また、今定例会初日の市長提案説明において市長からは復旧、復興について、ビルド・バック・ベター、よりよい復興のもと取り組むとの説明があったところでございますが、今回の甚大な被災により後年度の財政にどのような影響を及ぼすかは市民の皆さんの関心も高いところであります。

 そこで、今回の台風19号の甚大な被害による当初予算編成への影響はどうか。特に令和2年度当初予算編成方針では行財政改革のさらなる推進と将来を見据えた持続可能な財政構造の確立が掲げられておりますが、この方針に影響はどうか、お尋ねいたします。

○議長(小林隆利君) 山口財政部長。

          〔財政部長 山口 武敏君登壇〕

◎財政部長(山口武敏君) 令和2年度の当初予算編成に関連して、台風19号による災害復旧事業が与える影響と行財政改革の取り組みへの影響についてご質問を頂戴いたしました。

 今回の台風19号では、上下水道や電力等のライフラインを初め、道路や橋梁、河川や頭首工などのインフラの損壊、また公共施設や民家等への被害が市内全域に及び、災害発生直後から生活基盤や交通機能の回復を目指し復旧作業を進めてまいりました。

 こうした復旧作業や被災者の皆様の生活支援等に必要な経費につきましては、まずは予備費で対応するとともに、10月13日付で一般会計で10億9,500万円余、公営企業会計で2億6,000万円余の専決処分を行いました。これに加えまして、一日も早い復旧を目指して必要となる経費につきまして、この12月議会以降におきましても切れ目のない予算措置を行ってまいりたいと考えております。

 10月13日付の一般会計の専決予算は、補正の規模が非常に大きかったことから、大幅な税収減や災害の発生により生ずる予期せぬ支出増に対応するために積み立てております財政調整基金から8億円を繰り入れることにより、災害復旧等に一時的に必要となる所要の一般財源を確保しております。

 こうした中、今回の災害では11月1日には長野県を含む1都13県が激甚災害の被災区域に指定されました。この激甚災害に指定されますと、災害復旧に係る財政支援として特別交付税の増額や国庫負担率のかさ上げ等の措置が見込まれますが、指定には個々の市町村ごとに行われることになっておりまして、国による災害査定に基づいて公共土木施設や農地、農道、水路、林道等、また公立社会教育施設といった区分ごとに一定の被害が生じた場合に激甚災害が適用されますので、この適用の状況に応じて今後の財政運営を進めていく必要がございます。

 また、今回の災害では上田市を含む全国14都県390の市区町村が災害救助法の適用を受けるとともに、長野県におきましては被災者生活再建支援法の適用を受けており、こうした国の支援を含め、今後予定されております国の補正予算の動向等にも留意が必要であろうと考えております。

 続きまして、今回の災害が令和2年度の当初予算に与える影響でございますが、現在今回の災害復旧事業の全体像がいまだ見通せない中で判断が難しい状況にありまして、予算編成方針に示しました将来負担の軽減に向けた取り組みにおきましては、市単独での災害復旧費がどの程度となるのか、またこの財源としての起債の発行状況及び起債の償還に措置される交付税の措置率等の要因、とりわけ所要の一般財源の規模、これによりまして影響の大きさが大きく変わってくるものと考えておるところでございます。

 これまでも本庁舎や地域自治センターの改修、改築等により起債の償還額が高い水準で推移していくものと見込んでおりましたが、新年度当初予算編成におきましては、今回の災害に係る一般財源の状況や起債の発行額の規模等を踏まえ、年末に公表されます地方財政対策や今年度の国の補正予算の動向により市の財源計画を修正しなければならない、こういった状況も想定されるところでございます。

 一方、災害復旧事業債の活用により一時的に起債の発行額は増加いたしますが、災害復旧事業債は後年度における元利償還に際して基準財政需要額に算入される率が高いという起債でございます。このため、借り入れ増による健全化判断比率への影響は限定的であるものと現時点では見込んでおります。

 次に、歳入面への影響でございますが、災害に伴う市民税への影響としまして、令和元年度分は被災者の皆様への減免などで数百万円ないし数千万円程度減少するものと見込んでおります。令和2年度分につきましては、台風19号での災害に係る雑損控除等の影響が見込まれるという状況でございます。

 最後に、経常的経費の抑制と既存事業の見直しでございますけれども、合併算定替えの影響による一般財源の減少につきまして、各課一改善の取り組みやシーリングによる経常経費の削減、ゼロ予算事業の推進等によって行財政改革に引き続き取り組んでまいりますが、災害復旧事業の規模によっては職員の配置等も含め、単独の新規の建設事業等について事業の先送りや内容を見直すといった対応をとらざるを得ない、こういった状況も考えられるところでございます。

 いずれにいたしましても、行財政改革のさらなる推進と将来を見据えた持続可能な財政構造の確立に向けましては、国、県が示す災害の対策パッケージや補正予算の動向を踏まえ、一刻も早い災害からの復旧、復興を最優先とした予算編成とする中で最大限の努力を図ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

○議長(小林隆利君) 佐藤論征議員。

          〔10番 佐藤 論征君登壇〕

◆10番(佐藤論征君) 当初予算編成方針についてお聞きいたしました。台風19号の影響による後年度の影響については、当然のことながら影響があるというお答えだったと思います。また、不確定な要素が非常に多いようでございますが、いずれにいたしましても今後さらに厳しい予算編成になってくると思われますが、ご答弁にあったように、まずは一刻も早い災害復旧、復興を最優先にした予算編成に取り組んでいただきたいと思うところでございます。

 次に、消防施設の管理について質問いたします。私は、平成28年12月定例会一般質問において、消防器具庫等、警鐘楼の管理について自治会へ譲渡していく方針については問題があるとの観点で今後の方針をお聞きいたしましたが、答弁では、合併協議事項として、これまでと同様に自治会へ譲渡していくとの答弁でございました。しかしながら、人口減少社会を迎え、自治会によっては自治会の予算も減少し、さまざまな問題がある中、譲渡した後の費用面の問題、あるいは自治会で所有することにより建築物の老朽化による倒壊等の危険性や倒壊などによる被害が自治会の責任あるいは周辺住民の責任が問われることも考えられます。合併から10年以上が経過する中で、社会情勢の変化、建築物の老朽化を考慮し、たとえ合併協議事項であったとしても、市民にとって何が大切なのかという観点を持って変えるべきことは変えていくべきであります。

 そこで、消防設備の管理の質問として、まず自治会への譲渡についてこれまでの状況についてお聞きいたします。1点目として、現在市の消防器具庫と警鐘楼は幾つあり、自治会と市の管理数はどのくらいになっているのか、また合併以降の譲渡の推移はどのようになっているか。

 2点目として、譲渡に関しては自治会によっては地縁団体として法人格を取得する必要や費用的な問題などさまざまな問題から譲渡に踏み切れない状況もお聞きしているところであり、譲渡が進んでいるように思えない状況にあります。現在市は自治会への譲渡を前提としている中で、合併から13年が経過し、譲渡が完了していない状況をどのように分析しているのか、また譲渡が進んでいない状況をどのように捉えているのか、以上お聞きいたします。

○議長(小林隆利君) 越消防部長。

          〔消防部長 越 浩司君登壇〕

◎消防部長(越浩司君) 消防施設の管理、譲渡の推移についてご質問いただきました。

 初めに、市が所有する消防器具庫等、警鐘楼の数でございますが、まず消防器具庫等につきましては、丸子地域、真田地域、武石地域におきまして、合併前に整備された88カ所、合併後に分団拠点施設として整備された分団詰所12カ所で、上田地域の消防団拠点施設の分団詰所17カ所と合わせまして合計117カ所でございます。上田地域の分団詰所以外の消防器具庫等は自治会が管理しており、正確な数は把握できておりませんが、約80カ所あるものと思われます。

 警鐘楼につきましては、市が所有するものは丸子地域、真田地域、武石地域の73基、上田地域の分団詰所に付随する9基でございます。自治会所有のものは正確な基数は把握できておりませんが、約100基存在しているものと思われます。消防器具庫等、警鐘楼それぞれの管理数につきましても同様の数でございます。

 議員からご説明のありました消防器具庫等や警鐘楼の合併後の調整方針につきましては、合併時は現行のとおり消防団の組織の見直しに合わせて3年をめどに上田市の例を基本に統一することとされてきましたことから、まずは分団拠点施設がない旧町村地域に分団詰所を建設することとし、平成28年度までに市内全てに分団詰所を建設いたしました。その後、市が所有する旧町村地域の警鐘楼と消防器具庫等につきましては、自治会の意向を確認し、不要とされた施設は解体撤去を、譲渡を希望された施設は必要な修繕を施し、譲渡の準備をしてきたところでございます。消防器具庫等は解体撤去が4件、修繕が26件、また警鐘楼につきましては、解体撤去が12件、修繕が8件で、いずれも譲渡が完了したものはございません。

 譲渡が完了していない原因でございますが、譲渡に向けての作業の一つとしては、土地の所有者の特定や測量など施設によりさまざまな手続が必要となりますが、古い施設においては所有者や土地の境界が不明な場合が多くあります。これらの手続に加えまして、施設管理者の特定や地元への説明など対応には大変多くの時間が必要な状況であり、こうしたことが譲渡の進まない原因の一つであると分析しております。

 また、譲渡が進んでいない状況につきましては、地域の防災に貢献する施設ではありますが、その管理費用など地域によって地元負担と公費負担のアンバランスな状態が発生しているなど、合併後13年が経過している中、さまざまな課題が山積していると捉えております。

 以上でございます。

○議長(小林隆利君) 佐藤論征議員。

          〔10番 佐藤 論征君登壇〕

◆10番(佐藤論征君) それぞれご答弁いただきましたけれども、譲渡に関してはそれぞれ問題があるということを把握していただいているという理解だったと思います。

 次に、警鐘楼についてお聞きしてまいります。警鐘楼についても、先ほども申し上げましたとおり、譲渡の方向で現在進められておりますが、警鐘楼については中でも大きな問題を抱えていると私は考えております。更新などで建てかえも余り見られない中、建設からかなり経過しているものも多いと思われ、保守についても明確な基準について定められておりません。安全性が確実に担保されるか非常に不安な部分がございます。また、自治会管理となっているものに関しては、台風あるいは豪雨など自然災害で破損等があった場合、予算的な問題から放置せざるを得なくなった場合、あるいは修繕の前に再び自然災害に見舞われた場合など、これが起因する周辺への損害などは瑕疵責任が問われる場合もあることが想定されます。

 そこで、まず3点お聞きいたしますが、1点目として、市内の警鐘楼は建設からどのくらい経過しているのか、市、自治会管理別にご答弁ください。

 2点目として、警鐘楼の点検と保守はどのように行っているのか、こちらも市、自治会管理別にご答弁ください。

 3点目として、近年の自治会管理の警鐘楼の修繕と修繕が完了するまでの期間はどうか。

 以上3点お尋ねいたします。

○議長(小林隆利君) 越消防部長。

          〔消防部長 越 浩司君登壇〕

◎消防部長(越浩司君) 警鐘楼についてご質問いただきました。

 警鐘楼の建設からの経過年数でございますが、市が管理する警鐘楼では管理台帳などに記録が残っている警鐘楼で最も古いものは昭和25年に建設され、約70年が経過している状況でございます。自治会管理の警鐘楼につきましては、詳細な把握はしておりませんが、消防の歴史や関係する文献によりますと、昭和20年から30年代を中心に現在のスタイルの警鐘楼が多く建造され、近隣住民への火災発生の周知や消防団員の招集等に活用されていたと考えられ、古いものでは建設からおおむね75年が経過しているものと思われます。

 警鐘楼の点検と保守でございますが、市が管理する警鐘楼につきましては、管轄担当課の職員や地元消防団の方が点検し、市の予算で対応しております。自治会管理の警鐘楼につきましては、主に地元消防団員の方による点検によるもので、改修等の費用は市の消防施設等整備費補助金などが活用されております。

 警鐘楼の修繕期間につきましては、修繕の内容にもよりますが、照明など軽微な装備の修繕では数日で終了するものから、施設の維持補修を目的としました塗装などは数カ月間かかる場合もあり、さまざまでございます。

 以上でございます。

○議長(小林隆利君) 佐藤論征議員。

          〔10番 佐藤 論征君登壇〕

◆10番(佐藤論征君) それでは、警鐘楼について引き続き質問させていただきますが、9月の台風15号の影響で千葉県市原市のゴルフ場の鉄柱が倒れ、住宅が壊れ、けが人も出た事故については報道等で皆さんご存じかと思いますが、当初ゴルフ練習場側では被害を受けた住宅の補償は行わない方針としておりましたが、先日経営者側は練習場の土地を売却して補償に充てる意向を示し、被災住宅についてはある程度補償のめどがついたものの、ゴルフ練習場の経営は当然のことながら存続できない状態に陥りました。撤去については当初から費用は出せないということとなっておりましたが、解体業者が無償で撤去することとなりました。法律上、災害による被害ということでゴルフ場側の責任ばかりを問えないようであります。これがゴルフ練習場の鉄柱ではなく、もし警鐘楼であったらいかがでしょうか。先ほどのご答弁では、もう70年が経過しているものがあるというお話でございました。本来住民の安心、安全のための警鐘楼が周辺住民に被害を与えてしまったり、不安な建築物であってはならないことであります。

 台風15号では、同じく千葉県において送電用の鉄塔も倒壊した被害も出ました。近年の災害は非常に甚大になっていることから、警鐘楼においてもきちんとした管理がなされなければならないと考えているところでございます。

 警鐘楼を所有する自治会だけに、自治会管理の部分だけでございますが、自治会に任せてよろしいものでしょうか。上田市民全体で警鐘楼を管理していかなければならないのではないでしょうか。問題提起をした上で、2点お尋ねいたします。

 まず1点目として、私が調査した限り、警鐘楼の倒壊などにかかわる保険はございませんでしたが、自治会管理の警鐘楼が倒壊などした際に適用となる保険等はあるのか、また保険への加入はしているのか。

 2点目として、自治会管理の警鐘楼が倒壊し、住宅などを破損した場合、自治会などの管理者または被災者が撤去などの措置を講ずることになるのか。

 以上2点お尋ねいたします。

○議長(小林隆利君) 越消防部長。

          〔消防部長 越 浩司君登壇〕

◎消防部長(越浩司君) 警鐘楼が倒壊した場合の措置等のご質問でございます。

 自治会管理の警鐘楼の倒壊等に適用する保険等の有無でございますが、市では自治会主催の運動会などによる事故が原因でけがをした場合などの補償となる自治会活動保険はございますが、自治会所有の建物などに起因する事故等を補償する保険はございません。警鐘楼の倒壊等に適用する民間の保険会社の保険等も今のところ確認しておりません。また、自治会の加入の状況についても同様でございます。

 警鐘楼の倒壊等による第三者への賠償等につきましては、原因が自然災害等によるものか、瑕疵があったものなのかなど状況により責任の所在に違いが生じてくるものと考えられますが、一義的には管理者が必要な措置を講ずることになるものと認識しております。

 以上でございます。

○議長(小林隆利君) 佐藤論征議員。

          〔10番 佐藤 論征君登壇〕

◆10番(佐藤論征君) 警鐘楼につきましては、通信網の発達などによりまして必要性の賛否もあろうかと思います。廃止の方向で進める考え方もあろうかと思いますが、台風19号では長野市において半鐘により避難する住民がいるなど、限定的な効果にはなるかもしれませんけれども、半鐘の必要性というものが改めて感じられている部分もございます。

 いずれにいたしましても、現状市内には警鐘楼は多く存在しております。警鐘楼についてもう一度管理に関する問題点を整理し、管理方法について真剣に考えていかなければならないのではないでしょうか。

 次に、消防組織法と今後の方針についてお尋ねいたします。消防組織法第8条では、市町村の消防に要する費用は当該市町村がこれを負担しなければならないと規定しております。消防器具庫等、警鐘楼の自治会への譲渡は消防組織法に沿った対応ではないと私は以前から考えております。警鐘楼については先ほど質問のとおり、安全確保のため市が管理すべきと考えるところでありますし、消防器具庫については消防車両や消防器具は市の所有物であります。これを保管する設備については市が管理するのは当然のことと考えます。消防組織法について見解はどうか、お尋ねいたします。

 また、これまで問題提起をさまざまさせていただきながら質問させていただきましたが、消防器具庫等、警鐘楼は市が管理すべきと考えますが、見解はどうか、お尋ねいたします。

○議長(小林隆利君) 越消防部長。

          〔消防部長 越 浩司君登壇〕

◎消防部長(越浩司君) 議員ご指摘のとおり、消防組織法第8条では、市町村の消防に要する費用負担は当該市町村にあると規定されております。さらに、同法第6条では、市町村は当該市町村の区域における消防を十分に果たす責任を有するとして、市町村が果たすべき消防責任についても規定されております。市町村が負担すべき消防の費用につきましては、基本的には消防庁が告示しました消防力の整備指針に示されております消防の責任を十分に果たすために必要な施設及び人員に係る費用と考えておりますが、実務上は地域の実情に即した消防体制の整備に要する費用であると認識しております。

 当市の実情に即した適切な消防体制の指標は、以前からその一つとして、消防団員の要員動員力や消防ポンプなどの機械力に代表される消防団の消防力を基本としております。こうしたことから、消防ポンプなどの機械力以外の設備であります警鐘楼や消防器具庫等は、地域の消防力を増強する設備でありますが、必ずしも消防力の中核をなすものではないと捉えており、法には触れていないと考えております。また、それらにかかる費用についても受益者の負担によるものであると考えております。

 警鐘楼、消防器具庫等は市が管理すべきではというご質問でございますが、警鐘楼、消防器具庫等のような地域における消防力の増強分の管理につきましても、先ほどご説明申し上げました費用面と同様と考えております。

 しかしながら、現在は市内で消防団が保有する機械力、消防施設の整備などの地域の消防力やそれらの維持管理の費用負担の方法に地域間で差異があることは認識しておりますので、今後も市内一律の対応としていく方針に変更はございませんが、ご提起いただきました事項につきまして研究してまいりたいと考えております。

 なお、10月の台風19号の災害時には長野市で消防団員が警鐘楼の半鐘を打鐘し、多くの方が避難行動したという奏功事例があり、警鐘楼の有用性が確認されたところと考えております。施設の存続等の方向性につきましては、自治会の意向調査を完了しておりますけれども、改めて自治会の意向を確認するなど、再検討、見直しの必要を感じているところでございます。

 以上でございます。

○議長(小林隆利君) 佐藤論征議員の質問が終了しました。

令和元年9月定例会一般質問

○議長(小林隆利君) 次に、質問第4号、市政について、佐藤論征議員の質問を許します。佐藤論征議員。

          〔10番 佐藤 論征君登壇〕

◆10番(佐藤論征君) それでは、議長より許可を頂戴いたしましたので、通告のとおり平成30年度決算、今後の財政運営、簡易水道統合事業、この3点について質問してまいります。

 まず初めに、平成30年度決算について質問を進めてまいります。平成30年3月25日に上田市長選挙が執行されたことによりまして、平成30年度当初予算は骨格予算として可決成立し、その後土屋市長が市長に就任され、補正予算で政策的予算が計上された予算であります。骨格予算としてスタートした予算ではありますが、土屋市長のもとで初めて執行された予算の決算認定が今定例会の議案として上程されております。

 そこで、土屋市長のもとで初めて執行された平成30年度決算についてお尋ねいたします。まず、総括的な観点から決算の特徴と歳入歳出について質問させていただきます。

 1点目として、一本算定による影響は当然のことながら、人口減少の影響により、上田市のみならず地方自治体の歳入状況は顕著に厳しさを増してきております。また、税源移譲、地方創生などにより地方自治体の歳入環境は時代とともに大きく変わりつつある状況にあります。

 そこで、1点目として、歳入の当初見込み額に対する決算はどうであったか。

 2点目として、平成30年度一般会計、特別会計の歳出の特徴はどうか。

 3点目として、平成30年度決算から見る今年度以降の歳入歳出をどのように見込んでいるか。

 以上3点お尋ねいたします。

○議長(小林隆利君) 山口財政部長。

          〔財政部長 山口 武敏君登壇〕

◎財政部長(山口武敏君) 平成30年度決算についてご質問を頂戴いたしました。

 初めに、一般会計の歳入の当初見込み額と決算について申し上げます。当初予算編成時には市税や譲与税、交付税などを合わせた一般財源の総額を438億円余と見込んでおりましたが、決算では7億7,000万円余の増額となっております。主な要因は、市税で7億円余の増となったこと、こちらでございまして、そのうち景気の回復基調による納税義務者数の増加と、給与所得の伸びにより個人市民税、法人市民税で合わせて4億3,000万円余の増となったことが大きな要因でございます。普通交付税におきましては、当初見込みの135億5,000万円余を2,000万円余下回り、臨時財政対策債では、当初24億2,000万円余に対して、決算では600万円余の減となり、いずれも若干当初見込みを割り込んでおりますけれども、おおむね当初の歳入見込みに近い結果、こうなったところでございます。

 次に、歳出の特徴について申し上げます。まず、一般会計におきましては、公債費の増や市庁舎整備の開始、神川複合施設建設等に伴う増要因はあったものの、小中学校や公民館等の教育施設の整備が一段落したこともあり、高額の寄附金を積み立てた影響を除いた実質として、一般会計の歳出規模は前年度比1億3,000万円余と微減の決算という状況でございました。

 なお、昨年12月の補正予算に計上いたしました小中学校のエアコン整備事業につきましては、全額繰り越しとなりましたことから、30年度決算の数字からは除かれておるという状況でございます。

 特別会計では、30年度から財政運営の主体が市町村から長野県に移管された国民健康保険事業で決算規模が約26億円縮小されましたけれども、後期高齢者医療事業と介護保険事業では過去最高の決算額となっております。これら医療3会計に対する一般会計からの繰出金の総額も過去最も高い決算額となっております。

 次に、決算を踏まえての今年度以降の歳入歳出の見込みについてお答えいたします。まず、歳入面では、来月1日に予定されております消費税率改定の影響が地方消費税交付金においてございますが、地方消費税交付金は交付されるまでにタイムラグがございまして、今年度は前年並みの決算と想定しております。来年度以降は地方消費税分の改定率であります0.5%分、この伸びが見込まれるところでございます。

 また、市税につきましては、平成30年度並みの収納が見込めるものと考えておりますけれども、普通交付税の合併算定替えの縮減が令和3年度まで続きますことから、一般財源総額全体では大幅な増額は見込めないものと想定をしておりまして、交付税措置のある起債や基金等を活用しながら予算を編成していく状況がしばらく続くものと考えております。

 次に、歳出面では、今後数年間は市庁舎改修・改築事業や丸子、武石地域自治センター整備事業、また第二学校給食センターの改築事業等が本格化するとともに、幼児教育・保育の無償化や社会保障関係経費の増による影響等が見込まれますことから、経常的支出の見直しや施設の統合、民間への移管などを具体化し、歳出削減に向けて調整を図っていく必要があるものと考えております。

 以上でございます。

○議長(小林隆利君) 佐藤論征議員。

          〔10番 佐藤 論征君登壇〕

◆10番(佐藤論征君) まず、決算の特徴と歳入歳出についてご答弁いただきました。

 それでは、次に今回の決算の評価についてお尋ねしてまいります。まず1点目として、地方財政状況調査に基づく普通会計決算の財政状況について、主要財政指標の動向からどのように評価しているか。

 2点目として、市債の動向と基金の活用をどのように評価しているのか。また、今後の市債の計画的な発行と基金の活用に対する考えはどうか。

 3点目として、近年一般会計、特別会計の収入未済額の総額は着実に減少しているところでありますが、平成30年度決算における収納対策の効果をどう評価し、今後の収納対策をどのように考えているか。

 以上3点お尋ねいたします。

○議長(小林隆利君) 山口財政部長。

          〔財政部長 山口 武敏君登壇〕

◎財政部長(山口武敏君) 初めに、主要財政指標の動向をどのように評価しているかというご質問でございます。

 まず、健全化判断比率のうち、実質赤字比率と連結実質赤字比率につきましては、いずれも黒字となりまして、算定はされておりません。

 次に、一般会計等が負担する元利償還金及び他会計の公債費に係る負担金、繰出金の標準財政規模に対する割合であります実質公債費比率につきましては、前年度比0.1ポイントの増となり、5.4%となっております。財政健全化計画の策定が義務づけられる早期健全化基準、この25%は大幅に下回っている状況でございます。

 次に、公営企業や出資法人等を含めて将来負担すべき負債の同じく標準財政規模に対する割合であります将来負担比率につきましては、地方債残高が減少したこと等に伴い、前年度比で9.1ポイントの改善となりまして、26.7%となっております。こちらも早期健全化基準の350%を大幅に下回っております。

 以上の健全化判断比率の値から財政の健全性は維持されているものと判断をしております。なお、4つのいずれの指標につきましても、県内の他市と比較いたしますと、平均値より低い値となっております。

 続きまして、標準的な地方税等の収入見込み額である基準財政収入額を標準的な財政需要に必要な一般財源である基準財政需要額で除した値、財政力指数でありますが、こちらは0.597で、前年度と変わりはございませんでした。

 また、各団体の財政構造の弾力性を示す指標であります経常収支比率は、1.1ポイント増の89.9%となっております。県内19市の平均値は89.5%となっております。今後の見込みとしましては、会計年度任用職員制度の導入等が比率の上昇要因となってくるものと思われます。

 次に、市債の動向と基金の活用についてでございます。普通会計におきます平成30年度末の起債残高は、前年度より28億5,000万円余減って628億9,000万円余となりました。合併時点から比較いたしますと、122億6,000万円余の低減という状況でございます。今後市庁舎改修・改築事業等の普通建設事業が本格化し、来年度以降数年間は起債残高も一時的に増加するものと試算をしておりますけれども、合併特例債の発行残高がこの9月補正後の段階で50億円余となりましたことから、起債が充当できる事業の精査に努め、令和7年度まで発行可能な合併特例債の一層の有効活用を図ってまいりたいと考えております。

 また、起債の充当残に充てる財源の確保策などとして、特定目的基金を設置目的に沿った事業へ積極的に活用することも検討してまいりたいと考えておりまして、この夏に施工完了となりました小中学校のエアコン整備事業におきましても、ふるさと上田応援基金の一部を活用させていただく予定でございます。

 なお、将来の財源確保のために計画的に積み立てを行ってまいりました減債基金や公共施設整備基金につきましては、引き続き財源状況に応じて積み増しの検討は行ってまいりますが、基金の活用が見込まれる事業が多くなる状況を考慮いたしますと、当面は基金残高の減少局面に入るものと見込んでおりまして、将来に向けて過度の負担を残さないよう、先ほど申しました財政指標の推移にも留意しながら計画的な財政運営に努めてまいりたいと考えております。

 次に、収納対策の結果と今後の収納対策についてでございます。平成30年度の一般会計、特別会計の収入未済額額の合計は24億8,900万円余でありまして、29年度と比較いたしますと2億7,500万円余減少いたしました。市税の平成30年度の収納対策といたしまして、新規滞納発生の防止や長期化した滞納繰越額の縮減など6項目の徴収事務方針を定めて取り組んだ結果、市税の収入未済額につきましては、平成30年度末で8億2,500万円余で、平成29年度と比較いたしまして1億4,300万円余減少いたしております。平成18年度の合併後、収入未済額が最も多かった22年度と比較をいたしますと、8年間で14億7,700万円余の減と大幅に改善をしてきております。収納率は合計で95.94%で、29年度と比較しますと0.71ポイントの上昇、また合併後収納率が最も低かった22年度と比較いたしますと6.33ポイント上昇しており、これまで行ってきた収納対策の取り組みが一定の成果としてあらわれたものと考えております。

 一方、県内19市と比較いたしますと、残念ながらまだまだ下位となっている、こんな現状もございます。このため、市税につきましては、今後も引き続き全ての職員が統一した方針のもと徹底した滞納整理を行うとともに、関係課税部局との連携や滞納整理強化月間を設けた取り組みを実施するなど、自主財源の確保に向けて収納対策に取り組んでいく所存でございます。

 また、税外収入も含めました未収金の縮減に向け、引き続き収納推進本部において収納方針や重点対策を定め、全庁挙げて収納対策に取り組むとともに、先進自治体の取り組みを参考にするなど、より効果的な収納対策の検討を進めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

○議長(小林隆利君) 佐藤論征議員。

          〔10番 佐藤 論征君登壇〕

◆10番(佐藤論征君) それでは、次に監査委員からの審査意見についてお尋ねいたします。

 まず1点目として、平成29年度上田市一般会計・特別会計決算及び基金の運用状況審査意見書では、今後も厳しい財政運営が続くことが予想され、その中で安定的、継続的に行政サービスを提供していくためには、これまでの事業を再点検し、市が継続して行う事業、民間等に移管すべき事業、廃止する事業などを明確に打ち出すべき時期が来ていると思われますとの指摘がされておりましたが、これを受け廃止した事業はあるのか、また今後廃止する事業は明確であるのか、事業の再点検と検討状況はどうか。

 2点目として、平成30年度上田市一般会計・特別会計決算及び基金の運用状況審査意見書内の監査委員からの指摘事項に対する財政面での課題や見解はどうか。

 以上2点お尋ねいたします。

○議長(小林隆利君) 中村総務部長。

          〔総務部長 中村 栄孝君登壇〕

◎総務部長(中村栄孝君) 私からは、廃止した事業等について、また事業の再点検と検討状況についてお答えいたします。

 近年廃止した事業でございますが、上田市社会就労センターにつきましては、施設の老朽化や受注の減少によりましてその存続が困難となっていたことから、平成29年度に上田事業所を廃止いたしまして、上田市社会就労センター武石事業所につきましては、障害者就労支援に特化して昨年度から民間に運営を委譲しております。また、昨年度上田市スポーツ施設整備計画の総量コントロールの考え方に基づいてスポーツ施設の集約化を図るため、城下ちびっこプールを廃止いたしました。社会就労センターの廃止、民営化は、129ある第三次行財政改革大綱のアクションプログラムの取り組みの一つでありまして、ちびっこプールの集約化は、上田市公共施設マネジメント基本方針に基づく取り組みでございます。ほかにも数多くの事業について現在再点検や民間への移管、統廃合など事務事業の検証や見直しを進めているところでございます。

 その検証や見直しを進める際には、事業や施設のあり方、必要性、民間への移管等について検討して、パブリックコメントなどにより事業関係者や地域の皆様から広くご意見を聞く機会を設け、市民の皆様のご理解を得る必要があるものと考えております。今後につきましても、監査報告書のご指摘を重く受けとめつつ、第三次行財政改革大綱アクションプログラムや上田市公共施設マネジメント基本方針に基づき着実に検討を進めていくことが重要と考えているところでございます。

 私からは以上でございます。

○議長(小林隆利君) 山口財政部長。

          〔財政部長 山口 武敏君登壇〕

◎財政部長(山口武敏君) 私からは、監査委員からの指摘事項に関しまして、財政面での課題や見解についてお答えいたします。

 財政指標に関する分析は先ほど申し上げたとおりでございますが、課題の一つといたしまして、歳入の確保と経常的経費の削減について指摘を受けております。指摘のありました使用料、手数料の収入減につきましては、実施事業等の増減にもよりますので一概には申し上げられませんが、検討すべき課題であると認識をしているところでございます。

 さきの6月議会におきまして、この10月1日からの消費税率の改定に伴います使用料等の改定を行ったところでございますが、今後につきましても、受益者負担の原則を踏まえた適正料金の検討や減免制度の見直しの検討など、第二次上田市総合計画の後期まちづくり計画の期間の中で使用料改定に向けた指針を検討、策定するとともに、市民の皆様のご意見を賜りながら適正な料金設定に向けて研究を進めてまいりたいと考えております。また、経常的経費削減の取り組みにつきましては、SDGsの視点やICT及びAIなど先端技術の活用といった視点を検討しながら取り組みを進めてまいりたいと考えております。直面する課題として、2年後に予定をしております新庁舎への移転等につきましては、既存のストックや物品等の有効活用も取り入れながら対応してまいりたいと考えております。

 課題の2点目としまして、第二次上田市総合計画後期まちづくり計画の策定に当たって、拡大を続ける市の事業の整理が必要といった指摘がなされております。事業の廃止や見直しは容易ではございませんが、予算編成作業等を通じて真に必要な事業の選択や終期を設定しての事業開始、また事業の効果と検証を実施することなどを徹底し、監査委員のご指摘に対応してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

○議長(小林隆利君) 佐藤論征議員。

          〔10番 佐藤 論征君登壇〕

◆10番(佐藤論征君) それでは、次に平成30年度決算結果の反映についてお尋ねいたします。

 先ほどと重複いたしますが、土屋市長のもとで初めて執行された決算認定について、今回の決算が土屋市長のもとで今後の施策、予算編成によりよい形で生かされていかなければならないところであります。そこで、平成30年度決算についての最後の質問として、市長にお尋ねいたします。市長は、平成30年度決算を今後の施策と予算編成にどのように生かしていくのか、お尋ねいたします。

○議長(小林隆利君) 土屋市長。

          〔市長 土屋 陽一君登壇〕

◎市長(土屋陽一君) 平成30年度決算を踏まえての今後の施策展開と予算編成に臨むに当たっての決算の結果を今後の施策にどのように生かしていくかというご質問をいただきました。

 新年度の予算編成につきましては、来月中旬から編成作業をスタートいたしますが、今年度、令和元年度の予算編成の際にも申し上げましたが、まずは第二次総合計画の着実な推進を目指したいと考えております。また、今年度の重点目標を踏まえつつ、実施計画事業、人口減少対策へのさまざまな取り組み、公共施設建設等従来からの継続事業につきましても引き続き推進をしてまいります。また、上田地域広域連合の資源循環型施設の早期整備に向けて、誠心誠意市民の皆様のご理解をいただくことを最優先として取り組んでまいります。

 市民にとって真に必要な事業か、時代に合った事業か、さらに見直しが必要な改善点は何かといった視点を持ち、監査委員からの指摘も踏まえ、既存事業のさらなる改革、改善、そして上田再構築に取り組んでまいります。その際市民の皆様の願いや思いを私なりに総合的に検討しながら、企業や市民団体、地域の皆様のお力もおかりして、産学官民一体となったオール上田で事業展開を進められるよう取り組みを進めてまいりたいと考えております。

 地域づくりは人づくりと申します。人と人とのつながりを大切にし、関係する市民の皆様が連携し、協働して取り組む事業につきましても一歩前へ進めてまいりたいと考えております。新年度の予算編成に当たっては、上田市発展のために限りある財源を今必要な事業へ効果的、効率的に配分するとともに、健全な財政運営を念頭に取り組んでまいる所存でありますので、よろしくお願いいたします。

○議長(小林隆利君) 佐藤論征議員。

          〔10番 佐藤 論征君登壇〕

◆10番(佐藤論征君) 市長から平成30年度決算結果を踏まえて、資源循環型施設建設の早期整備にまで触れてご答弁いただきました。新年度につきましては、土屋市長の任期折り返しの年となります。資源循環型施設については、市民の皆様から実効性を求められる年になってくるのではないかなと感じております。来年度予算編成についてはぜひそのような観点を持って当たっていただきたいと期待するところでございます。

 次に、今後の財政運営について質問いたします。財政運営については1点のみお尋ねいたします。経済財政運営と改革の基本方針2019、いわゆる骨太の方針2019が本年6月21日に経済財政諮問会議での答申を経て閣議決定されました。本年6月市議会定例会市長提案説明においても、閣議決定前でありましたが、市としてもこれらの動向を注視していくとのことでありましたが、実際に閣議決定された一般財源の総額目安を含む内容を踏まえ、今後上田市の財政運営への影響をどのように考えるか、お尋ねいたします。

○議長(小林隆利君) 山口財政部長。

          〔財政部長 山口 武敏君登壇〕

◎財政部長(山口武敏君) 今後の財政運営のご質問を頂戴いたしました。

 経済財政運営と改革の基本方針2019、いわゆる骨太の方針2019でございますけれども、こちらは内閣府に設置されております経済財政政策に関する重要事項を調査、審議をする諮問機関、経済財政諮問会議の答申を受けて6月に閣議決定されたものであります。内容としましては、地方交付税を初め地方財政に関する政策も含んだものとなっております。このため、地方財政にとって重要な意味を有する方針だという認識をしております。

 この経済財政諮問会議でありますけれども、首相を議長としまして、民間有識者4名以上を含む10人以内の議員から構成されております。通常は8月の国の予算編成作業の開始に先立ってこの会議が開催されまして、経済成長率などのデータを検討した後、骨太の方針を答申しておると、こんなスケジュールとなっております。

 政府はこの答申を受けまして正式に閣議決定をし、翌年度の予算の全体像を明らかにした上で各省庁からの概算要求が開始される、こんな仕組みになっております。現在は来年度予算の概算要求が締め切られ、6年連続で100兆円を超えるという状況で、特に社会保障費の増等に伴いまして、総額では過去最大の105兆円規模の要求になるという見通しが報道されております。

 令和2年度につきましては、この骨太の方針2018で定められました3年間の基盤強化期間というのがございまして、この中間年度に当たりますことから、基本的には国の予算編成や財政再建に向けた枠組みには大きな変化はないと考えております。また、地方財政につきましても、地方の歳出水準について、国の一般歳出の取り組みと基調を合わせつつ、地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源の総額について、2018年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保するという、いわゆる地方一般財源総額同水準ルールと呼ばれておりますけれども、これが骨太の方針2019でも確認をされたところでございます。

 また、骨太の方針2019では、ソサエティ5.0の実現に向けて踏み込んでいる点が特徴となっております。人口減少が続く中で持続可能な社会の構築を目指すため、仮想と現実の空間を高度に融合させたシステムにより経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心社会をこのAI、ICTを駆使して実現を図っていくとされております。

 ご質問の今後の上田市における財政運営への影響についてでございますけれども、議員のお話にありました令和3年度までは地方財政計画における一般財源の総額が確保される見込みとなっております。このことにより、今後2年間は大きく一般財源が減少することはないものと考えております。

 しかしながら、令和4年度以降の方針については現時点では示されておらないという状況がございまして、安定的な地方一般財源の確保については、国、県の動向を注視するとともに、全国市長会等を通じて働きかけも行ってまいりたいと、このように考えております。

 また、骨太の方針2019では広域的に相互に連携する事業やスマートシティの推進など、地域課題の解決に効果的な事業に積極的に取り組む地方自治体に対する地方財政措置の拡充について検討すると、こういう記載もございまして、効果的な財源を研究しながらこれまでどおり健全な行財政運営ができるように考慮してまいりたいと、このように考えております。

 以上でございます。

○議長(小林隆利君) 佐藤論征議員。

          〔10番 佐藤 論征君登壇〕

◆10番(佐藤論征君) それぞれご答弁いただきました。

 それでは、最後の質問に移らせていただきます。最後に、簡易水道統合事業についてお尋ねいたします。簡易水道統合事業については、平成26年度から事業に着手し、平成26年度の事業立ち上げ時には事業期間を6年、本年度末での完成を予定しておりました。水源の水が直接給水される地域はもとより、市民の皆さんは一日も早い給水を期待していたところでありますが、国からの財源措置により事業進捗が左右される事業であることは理解しているところであります。平成30年度6月市議会定例会の市長施政方針において、市長より水運用計画に基づいた簡易水道統合について2020年度完了を目指して取り組むとのことでありました。

 そこで、1点目として、簡易水道統合事業について、現在の進捗状況はどうか。また、各地区への給水予定時期はどうか。

 2点目として、完了時期が当初よりおくれていることにより、国からの歳入にどのような影響があると想定しているのか、また市の負担はふえてしまうのか、お尋ねいたします。

○議長(小林隆利君) 柏木上下水道局長。

          〔上下水道局長 柏木 明彦君登壇〕

◎上下水道局長(柏木明彦君) 真田地域の簡易水道統合事業について何点かご質問いただきました。

 まず、現在の進捗状況でございますが、真田簡易水道統合整備事業につきましては、真田地域の脆弱な水源の解消と配水にかかわるトータル的な維持管理費削減を目的に平成26年度より着手し、平成27年度からは国の交付金事業も活用しながら現在事業を進めております。

 事業実施に当たり必要とされる用地等につきましても、地元の皆様のご理解とご協力をいただきながら進めており、昨年度末の段階で管路工事については全長約15キロメートルのうち12.5キロメートルの布設工事が終了するなど、事業全体の進捗率は事業費ベースで7割程度となっております。

 残りの工事としましては、まず管路の関連では、2.5キロメートルの管路布設と神川及び角間川を横断する水管橋2カ所の設置工事がございます。また、施設の関連では、つちや水源部分の取水施設と配水池1カ所、減圧槽2カ所等の設置工事があり、今年度から来年度にかけて施工を予定しております。

 次に、各地区への給水開始時期でございますが、平成29年度には既設の管路を一部利用する形で上流域に当たる大日向地区の約100世帯については給水を既に開始しております。下流域に当たる真田町長地区、本原地区の約2,100世帯への給水については、先ほどの残工事が全て完了する必要があるため、現在のところ令和2年度末を見込んでおります。

 また、今回の計画ではつちや水源による真田地域各地への給水のほかに、滝の入水源を活用し、上田地域の一部である神科配水池へも送水する計画でおりますが、国の交付金対象となる事業はあくまでも簡易水道を統合する真田地域分のみが対象であり、上田地域への送水に必要な工事は全て単独事業となります。現在は真田地域での交付金事業を優先的に実施しておりまして、上田地域へ送水するための工事につきましては、真田地域への給水開始後の令和3年度から着手するため、上田地域への送水開始は令和6年度ごろを予定しております。

 続きまして、事業進捗のおくれによる国からの歳入額及び市負担額への影響はどうかとのご質問でございますが、本事業は国の交付金を活用する補助事業として整備を進めておりますが、交付金事業の対象となる期間は平成27年度からの5年間であり、今年度が補助事業上の最終年度となります。昨年までの4年間の国からの交付金は、市の要望額に対し割り当てが約7割程度であったことから、工事の進捗はおくれておりましたが、今年度国への要望について、過去4年間での不足分も含め残工事全てを予算要望し、満額の交付決定をいただいております。これにより、平成27年度から開始した真田簡易水道統合整備事業にかかわる国からの交付金については補助対象となる工事は全額が認められたことになりますので、事業の進捗のおくれはあったものの、それによる市の負担増はないものと考えております。

 一方で、補助の最終年度となる今年度の事業費は前年度と比較しても2倍近い約8億5,000万円となっております。このため、今年度中の完了が難しい現場もあり、工事完成は来年度末となる見込みであります。また、真田地域完了後は引き続き滝の入水源を活用した上田地域への送水工事について着手してまいりたいと考えております。

 上下水道局としましては、引き続き安心、安全でおいしい水の安定供給に向け努めてまいりますので、ご理解をお願いいたします。

 以上でございます。

○議長(小林隆利君) 佐藤論征議員の質問が終了しました。

令和元年6月定例会一般質問

○議長(小林隆利君) 次に、質問第11号、市政について、佐藤論征議員の質問を許します。佐藤論征議員。

          〔10番 佐藤 論征君登壇〕

◆10番(佐藤論征君) それでは、議長の許可をいただきましたので、通告いたしましたとおり、副題として、1点目として、工業関係を中心に産業振興について、2点目として、政策研究センターについて、3点目として、教育委員会移転後の上田駅前ビルパレオの利用について質問してまいります。

 それでは、1点目の産業振興について質問を進めてまいります。まず初めに、工業団地造成について質問いたします。平成29年6月の全員協議会において箱畳第二期工業団地造成計画について説明がなされ、ちょうど2年が経過いたしました。当時の説明においては事業の工程を最短2年としており、最短工期の時期を迎えたところでありますが、今定例会初日の箱畳第二期工業団地造成事業の委託先である上田市土地開発公社の令和元年度事業計画及び予算書の中で、令和元年度事業計画において箱畳第二期工業団地造成事業として3億3,314万円もの本年度予定額が計上されたところであります。

 国内の経済情勢については、初日の市長提案説明にもあったように、内閣府が先月24日に発表した5月の月例経済報告では、景気の総括判断が2カ月ぶりに下方修正されるとともに、月例経済報告に先立って発表された3月の景気動向指数においても基準判断が景気後退の可能性が高いことを示す悪化に引き下げられ、今後の日本経済の先行きは楽観視できない状況でもあります。

 私も製造業に携わっており、県内のお取引先も80社を超えておりますが、これまで好調に推移してきた状況が急激に変化しているように実感しているところであります。景気動向は先行き不透明ではありますが、需要のある状況下で工業団地の売却がなされることは言うまでもなく重要なことであります。

 そこで、まず1点目として、箱畳第二期工業団地造成事業におけるこれまでの進捗状況はどうか。また、造成地の購入に関する状況はどうか。

 2点目として、事業が計画された平成29年当時は工業団地等のニーズは増加傾向にあるとしており、今後も増加の傾向が続くとしておりましたが、先ほど申し上げたとおり、景気の不安感が感じられる中、現在の工業団地等のニーズをどのように捉えているか。

 3点目として、造成に当たっての基本的考え方として、経済状況によって企業の活動方針は常に変化するものであり、造成に当たっては売れ残り等の将来的リスクを勘案しつつ、情勢を見ながら段階的に進めていく必要があるとした上で、第2弾では民有地の買収を視野に入れ、企業の要望に応じた小から中規模のオーダーメード型の造成あるいは段階的な大規模造成を検討しておりましたが、今後上田市として工業用地の造成等についてどのような方針で取り組んでいくのか。

 以上3点お尋ねいたします。

○議長(小林隆利君) 大矢商工観光部長。

          〔商工観光部長 大矢 義博君登壇〕

◎商工観光部長(大矢義博君) 工業団地造成について幾つか質問いただきました。

 まず、箱畳第二期工業団地の造成事業の進捗状況でございますが、平成29年度に実施いたしました測量調査をもとに区域面積を5.8ヘクタール、平地面積を3ヘクタールとして県の開発許可申請を行い、昨年の10月24日付で開発許可を受け、現在一部の土砂搬出作業を行っております。

 次に、用地買収につきましては、開発区域内の地権者の皆様に既に同意をいただき、おおむね売買契約を完了しておりますが、一部相続関係の処理が必要となった地権者の方々の手続を進めているところでございます。全ての用地買収手続が終了したところで本格的な造成工事に着手してまいりたいと考えており、一日も早い完成ができるよう鋭意取り組んでまいりますので、よろしくお願いいたします。

 次に、造成地の売却に関する状況でございますが、当該工業団地の造成計画につきましては、昨年6月から商工団体を初め金融機関、県の産業立地・経営支援課、東京事務所、名古屋事務所等を通じて市内外の企業に周知したほか、直接企業を訪問して造成計画と市の助成制度等の説明を行い、売り込みを図ってきたところでございます。これまで企業や金融機関等から多くの問い合わせをいただき、現地案内等を行ってきた中で、これまでに市内の企業1社から正式な購入の意思表明をいただいておりまして、引き続き協議を進めてまいります。

 続きまして、工業団地のニーズはどうかというご質問でございます。市に寄せられる県外企業の県内への工場等立地希望情報や市内企業の問い合わせにつきましては、平成28年度が23件、平成29年度が29件ございました。平成30年度は22件と前年に比べ減少したものの、本年度は既に6件の問い合わせをいただいており、昨年度並みの問い合わせがあるものと考えております。企業の設備投資は経済状況によって左右されるものでありますが、今後につきましても一定のニーズは常にあるものと考えております。

 次に、今後の工業用地の造成の取り組み方針についてでございます。箱畳第二期工業団地造成を第1弾として、当市の企業誘致、留置に対する前向きな姿勢を示したことにより問い合わせも多くいただいており、次の段階へとつながる呼び水になったと考えております。一方、経済動向や企業の経営方針は、議員ご指摘のとおり絶えず変化するものでありますので、新たな工業団地の造成につきましては、引き続き情勢を見きわめながら検討してまいります。

 また、これまで寄せられた情報といたしましては、インターチェンジ周辺やインターチェンジへのアクセスが良好である土地を求める声が多くございますので、そうした点を考慮した適地の選定を視野に入れながら取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

○議長(小林隆利君) 佐藤論征議員。

          〔10番 佐藤 論征君登壇〕

◆10番(佐藤論征君) それぞれ状況等をご答弁いただきまして、おおむね理解いたしましたが、1点だけ再質問させていただきます。ちょっと具体的なお話がなかったもので再質問させていただきますが、市内1社からの購入の動きというようなお話がございましたけれども、購入に向けての交渉を進める中で、おおむねどの時期、どのぐらいの時期に完成するということで先方にお話をされているのかということを1点お聞きしたいと思います。

 次に、上田市の特色ある産業振興についてお尋ねいたします。飯田市を中心とした南信州地域などでは、航空機関連などにターゲットを絞り産業振興を図っております。上田市ではなかなかターゲットとなる産業が明確でないように感じております。また、自動車産業が燃料エンジンから電気自動車に大幅にかじを切り始め、部品点数も燃料エンジンの一般乗用車では3万点以上と言われているのに比べ、電気自動車はその半分以下とも言われております。産業構造が近い将来大幅に変化していくものと考えられます。このような状況下において、ターゲットを明確にし、産業振興を図っていくことが重要と考えます。ターゲットを明確にした産業振興を図り、工場誘致等を行うべきと考えますが、見解はどうか。

 また、上田市は首都圏からアクセスもよいなど立地的な条件がよい地域でありますが、立地条件などだけを売りとしただけの産業振興、工場誘致では脆弱であり、上田市が創業先として選ばれるための仕組みづくりが重要と考えます。そこで、創業先として選ばれるための有効な施策をどのように考えているか、お尋ねいたします。

○議長(小林隆利君) 大矢商工観光部長。

          〔商工観光部長 大矢 義博君登壇〕

◎商工観光部長(大矢義博君) まず、先ほど再質問いただいた件についてご答弁申し上げます。この工業団地造成事業につきましては、造成から始まり、最後の売却まで含めて32年度までの債務負担行為を打たせていただいておりますので、その間までに売却が進められればというふうな予定で進めております。

 続きまして、上田市の産業振興について、ターゲットを明確にした産業振興と工業誘致をというご質問でございます。南信州地域につきましては、精密加工技術の集積地であることや、日本の航空機産業の中心地である名古屋市に隣接するメリットを生かし、南信州・飯田産業センター内に拠点を設け、企業、自治体とが連携し、地域内での一貫生産体制による航空宇宙産業の振興に取り組んでいるとお聞きしております。

 一方、当市のものづくり産業の状況を見ますと、地域経済分析システム「RESAS」の平成28年統計データによりますと、電気機械器具製造業、輸送用機械器具製造業、生産用機械器具製造業、食料品製造業の4業種で製造品出荷額の75.4%を占めており、東信州広域連携で次世代産業の創出を目指し取り組んでおります9市町村エリアにおいてもこの傾向は4業種が主要なものとなっております。

 こうした中、今後のAI、IoTの進展に伴い産業構造が大きくさま変わりすることが予想されますので、製造業で培った技術を生かしながら、今後成長が期待される分野での挑戦を後押ししていくことが必要となってまいります。

 このため、東信州9市町村が連携いたしまして、エリア内に集積する技術や地域特性を生かした次世代産業の創出を目指す取り組みを推進しているところでございまして、昨年5月に目指すべき方向性を示す東信州次世代イノベーションプランを策定いたしました。このプランは、東信州エリアの基幹産業である製造業を中心に、観光、医療、農業といった異なる産業の融合を推進するとともに、AI、IoT等の最先端技術の活用による次世代産業の創出を目指すもので、モビリティー、ウエルネス、アグリビジネスの3つの分野を重点的に取り組んでいくこととしております。

 分野の設定につきましては、「RESAS」によるデータ分析に加え、エリア内の企業、団体等270社のヒアリングをもとにしておりまして、一つに絞らず、地域の幾つかの強みに焦点を当てていることがこの地域の取り組みの特徴と考えております。現在ウエルネス分野とアグリビジネス分野において2つの開発プロジェクトに取り組む中で、県外企業の参画も視野に入っておりまして、こうしたプロジェクトへの参画を通じて企業誘致につながることも期待するところであります。

 続きまして、創業先に選ばれるための有効な施策についてでございます。企業誘致につきましては、地元の雇用創出や税収確保の面から、また企業間取引の促進や移住、定住にもつながる重要な施策でございまして、市といたしましても積極的に推進していく必要があると考えております。この地域は首都圏からのアクセスのよさのほかにも、災害の少なさ、晴天率の高さ、また従業員の皆様にとって住みやすい都市であるということなどの好条件が整っております。さらに、大学等が集積していることに加え、産学連携や東信州広域連携といった先進的な取り組みを進めている地域でもありますので、こうした上田市、そして地域が持つ卓越性を積極的にPRしながら企業誘致に取り組むことが重要であると考えます。

 また、産業団地造成に代表される大規模工場等の誘致のみならず、首都圏等のIT企業やワークライフバランスの取り組みや多様な働き方を推進する企業等の誘致も重要と考えており、新たに創設するサテライトオフィス開設事業補助金などの活用を図りながら、企業進出の足がかりとなる取り組みも進めてまいりたいと考えております。

 一方で、企業進出のインセンティブとなる施策の充実も必要と考えておりまして、昨年度は地域未来投資促進法に基づく設備投資に対し固定資産税の軽減制度を創設いたしました。また、近年製造業以外の業種から多くの産業用地の問い合わせをいただいていることを踏まえ、工場等用地取得事業及び工場等設置事業について、今年度から助成対象業種の拡大と補助率、限度額の引き上げを行ったところでございます。特に工場等用地取得事業におきましては、新たに民有地の取得に対する助成制度を設けることで進出企業に対して選択の幅を持たせる施策といたしました。こうした施策をフルに生かしながらPRに努め、選ばれる都市となるよう積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

○議長(小林隆利君) 佐藤論征議員。

          〔10番 佐藤 論征君登壇〕

◆10番(佐藤論征君) それぞれご答弁いただきました。

 工業団地についてでございますけれども、なかなか造成に時間がかかる中で、景気状況に応じて対応していかなければならない、非常に難しい課題だと思います。このところ市内の中小の製造工場ではリーマンショックと同じくらい急激に受注量が減ったとお聞きする工場もございます。景気動向これまで以上に敏感に捉えていただいて、取り組みを進めていただきたいと思います。

 次に、中小企業対策についてお尋ねいたします。ハローワーク上田管内の4月の有効求人倍率は1.44倍と引き続き高い水準で推移する中、地元企業において人材確保が深刻な課題となっていると、市長も地域の雇用情勢について初日の市長提案説明の中で触れられておりましたけれども、上田市を支える中小企業に絞ってお聞きいたします。

 1点目として、上田市は中小企業の雇用状況をどのように把握しているか。

 2点目として、製造業、建設業などさまざまな分野において、中小企業での技術者確保が大手と比較すると非常に困難となっておりますが、技術者確保策は上田市を支える中小企業にとって必要不可欠であります。市として手厚い支援を今後講じるべきと考えますが、見解はどうか。

 以上2点お尋ねいたします。

○議長(小林隆利君) 大矢商工観光部長。

          〔商工観光部長 大矢 義博君登壇〕

◎商工観光部長(大矢義博君) まず、中小企業の雇用状況についてでございます。市内中小企業を対象とした経営実態調査や事業所訪問におきまして、経営上の課題として人材確保が最も多く挙げられている状況にございます。製造業の皆様からは、技術職の人材確保が大変困難になっているということも重々お聞きしております。また、ハローワーク上田管内における4月の職業別求人、求職者の状況におきましても、専門的、技術的職業の求人に対する求職者数は5割程度にとどまっておりまして、このことからも人材不足が深刻な状況にあると認識しております。

 続きまして、技術者を確保するための支援についてでございます。このような状況に対応するため、市といたしましては、学生を初めとした若者の地元企業への就職促進を目的に、地域内の321事業所から構成される上田職業安定協会とハローワーク等との連携のもと、企業ガイドブックの作成、配布やホームページへの掲載、ラインを活用した各種就職情報の配信を行っております。また、職業意識の醸成、地元産業、企業の理解を目的とした高校生事業所見学会、学卒者が人事担当者と直接話をする企業ガイダンスや面接会を毎年開催しているところでございます。

 UIJターンによる技術者も含めた就職促進につきましては、首都圏等での移住相談会を通じて、高いスキルと専門的な知識を有する移住希望者、こういった方と地元企業とのマッチング支援を行っております。また、首都圏大学と長野県企業との情報交換会、これを東信州次世代産業振興協議会、広域的な取り組みでも開催しておりまして、学生の地元企業への就職促進に努めております。

 こうした取り組みに加え、今後新たに学生と地元企業で働く若手社員の交流会や地元企業のインターンシップ導入に向けた支援を行い、企業の採用力強化を図ってまいりたいと考えております。

 また、今年度初の取り組みといたしまして、市内の職業科を有する地元の高校と企業の担当者による情報交換会を開催してまいります。こうした取り組みを通じ地元企業への人材確保につなげてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

○議長(小林隆利君) 佐藤論征議員。

          〔10番 佐藤 論征君登壇〕

◆10番(佐藤論征君) それぞれご答弁いただきました。

 技術者確保については問題意識を持っていただいているということです。資金繰りの面ではさまざまに対策を講じていただいているところでございますけれども、また人材確保、特に技術者確保については、技術の継承ということもございますので、今後しっかり進めていただきたいと思うところでございます。

 次に、産業振興における政策研究センターの役割についてお尋ねいたします。政策研究センターの業務として、産業振興の研究に関することが業務内容となっておりますが、産業振興の研究に関することを業務内容としたことの狙いと、政策研究センターでは具体的にどのような研究を行い、上田市の産業振興に生かしていくのか、お尋ねいたします。

○議長(小林隆利君) 吉澤上田市政策研究センター長。

          〔上田市政策研究センター長 吉澤 猛君登壇〕

◎上田市政策研究センター長(吉澤猛君) 政策研究センターの業務に産業振興の研究に関することを位置づけた理由と研究内容等についてお答え申し上げます。

 市長公約である上田市再構築プランでは「働く喜びにあふれ、産業がいきいき発展するまちづくり」を掲げており、その中でAIやIoT時代を勝ち抜くための産業振興を図るものとしております。また、現在国が掲げているソサエティ5.0で実現する社会は、ビッグデータをAIが解析し、ロボットなどを通して人間にフィードバックすることで、これまではできなかった新たな価値が産業や社会にもたらされるものであり、上田市におきましても少子高齢化や人口減少を乗り越え、将来にわたって地域活力を維持していくためには、AI等の最先端技術の活用が不可欠な状況と認識しております。

 このことは上田市の産業界にとっても大きなチャンスであると捉えております。なぜなら、上田地域には独自の技術を持つ製造業が集積していることから、AIやIoT等の最先端技術を持つ企業との新たなつながりにより新たなサービスやビジネスが生まれ、生産性向上とともに付加価値向上にもつながることが期待できると考えられるからです。また、工業分野だけではなく、農業、林業、商業、観光など多くの産業分野においても新たな価値が生まれ、地域の稼ぐ力が高まり、さらに上田市への新たな人の流れが生まれる好循環につながることも期待できると考えております。

 このように来るべきソサエティ5.0時代に向けて上田市が勝ち残り、地域活力を維持していくためには、AI等の最先端技術の導入、活用について今まさに市として部局横断的かつスピード感を重視しながら、地域の産業界とも連携して取り組んでいく必要があると考えております。

 以上のような理由から上田市政策研究センターの事務分掌の一つとして産業振興の研究に関することが位置づけられており、今年度の研究テーマの一つには、新技術に関するテーマとして、人口減少社会に対応した最先端技術導入による住民サービス向上と産業振興を選定したところでございます。

 以上でございます。

○議長(小林隆利君) 佐藤論征議員。

          〔10番 佐藤 論征君登壇〕

◆10番(佐藤論征君) 産業振興における政策研究センターの業務についてご答弁いただきました。

 引き続きまして、政策研究センターについて質問してまいります。まず1点目として、3月定例会の壮志会佐藤清正議員の代表質問の答弁に対し市長は、最初に着手すべき課題について、優先順位を決めてテーマを選定し、4月以降速やかに研究に着手できるよう進めるとの答弁がございました。3月定例会においては政策研究センター長が就任前でしたのでここまでの答弁であったかと思いますが、4月に吉澤政策研究センター長が就任され、以後迅速に着手に向けスタートしたことと拝察いたします。

 そこで、政策研究センターが今後最優先に取り組むべき課題は何か、最優先の課題とする根拠についてもあわせてご答弁いただきたいと思います。

 2点目として、3月の私の所属会派新生会尾島代表の代表質問の政策研究センターの役割に関する質問に対し、政策研究センターの役割については、分野横断的な行政課題等について総合的な調査研究、効果的な解決策等の研究を行い、上田市に即した政策の企画立案等を行うもの、よって原則として政策研究センターが主体的に取り組むのは調査研究を行い、提言書となる報告書を提出するところまでとの答弁があり、また政策研究センター長の登用に関する質問に関しては、市長より、市長の公約上田再構築プランを理解いただき、思いを共感していただける方に就任していただく必要があることから、直接市長が人選し、政策アドバイザーにつきましては、新組織の立ち上げに当たり、行政のさまざまな課題に精通した方に就任していただくことが必要である、学識経験を有する方ということで、公募によらず人選したとの答弁もございました。

 大枠の政策研究センターの役割等についてはおおむね理解できましたが、政策研究センター長の意向あるいは政策的提言やこれまでの経験がどのような部分に生かせるのか、まだ見えてきておりません。センター長が市長の公約上田再構築プランを理解した方を選任されたとはいえ、やはりセンター長の政策的な考え方、方向性などは当然のことながら重要になってくるものと考えます。

 そこで、政策研究センター長の意向や政策的提言、あるいは前職等でのこれまでの経験などを生かすことができる体制であるのか、また政策研究センター長がこれまでの経験などをどのように上田市の政策に生かしていくのか。

 以上2点お尋ねいたします。

○議長(小林隆利君) 吉澤上田市政策研究センター長。

          〔上田市政策研究センター長 吉澤 猛君登壇〕

◎上田市政策研究センター長(吉澤猛君) 2点ご質問いただきました。

 まず、政策研究センターが最優先に取り組むべき課題とその根拠についてお答え申し上げます。政策研究センターでは本年度5つの研究テーマを選定し、そのうち2つのテーマを迅速な施策化、事業化を視野に入れた企画立案のための調査研究と位置づけて、調査、研究を開始しております。最優先に取り組むべき課題の1つ目は、新技術に関するテーマである人口減少社会に対応した最先端技術導入による住民サービス向上と産業振興であり、2つ目は、業務、制度改革に関するテーマである持続可能な地域創造のための官民協働施策の立案、展開です。このうち新技術に関するテーマについては、先ほども答弁申し上げましたが、研究に当たりましては、最先端技術導入による地域課題解決や地域内企業の新サービスや製品開発、生産性向上等の産業振興の可能性と、AIやロボティクスを活用したスマート自治体への転換を目指して、最先端技術導入による庁内行政サービスの業務改善の可能性の2つの側面からそれぞれ関係部局と連携し、調査、研究を進めていきたいと考えております。

 また、その中では国のスーパーシティやスマートシティ等の動向等も注視し、情報収集を行うとともに、上田市での実施可能性についても検討していきたいと考えております。

 また、業務、制度改革に関するテーマについては、少子高齢化に伴い新たな住民ニーズが発生している一方、限られた財源、職員数による自治体運営が求められていることから、民間企業や教育機関、地域団体等との連携、協働により新たな打開策を見出すために、官民、官官の人事交流や民間資本活用、官民協働事業などの事例を調査し、上田市の政策課題に対して有効な手法を検討してまいりたいと考えております。

 続きまして、政策研究センター長としての意向や提言、そしてこれまでの経歴とのかかわり、その生かし方等についてお答え申し上げます。3月定例会でも答弁がありましたとおり、政策研究センターの役割は、政策の調査、研究、提言に関すること、また職員の政策形成能力向上に関することですが、それに加えて調査研究を進める上で必要に応じて国や県等の関係機関、また場合によっては民間企業にアプローチし、つながりを構築していくことが想定され、そこで培われたつながり等を庁内の関係部局と共有することも役割の一つになるものと考えております。

 これまでの私の県職員としての経歴については、主に産業労働、観光や地域振興、市町村サポートの分野での勤務が長く、また長野オリンピックの準備、運営も含めますと、37年間の県職員勤務のうち25年間余りは地域や企業の皆様が元気になることのお手伝いをするという仕事を経験させていただきました。また、国への派遣や県の東京事務所での勤務も経験させていただく中で、県職員はもとより各省庁や民間企業の皆様など幅広い分野の皆様とのネットワークを築いてくることができたものと考えております。

 私が政策研究を進める上での基本的な認識、考え方としますと、本格的な人口減少社会を見据えた上で、激変する社会経済情勢の変化に対応していくためには、上田市の持つ強みや特性を十分に生かしながら、市民の皆様、市内の企業、団体の皆様との連携、協働関係を一層深めるとともに、地域外への発信力を高めて上田市内外とのネットワークの強化により外部のエネルギーを積極的に取り込んで地域を活性化していくことが重要ではないかと考えております。

 このたび当センターが選定したいずれの研究テーマに関しても、市役所だけでは解決が難しい課題であり、国や県だけではなく、民間企業の皆様などさまざまな主体が連携することにより解決を目指すものとなっております。私としては、4月の着任以来、市役所職員の皆様だけではなく、国や県、民間企業等の皆様との情報交換についても積極的に行ってきておりますが、今後も足を使って新たなつながりをつくりながら政策研究を精力的に進めていくことにより、自分に課せられた使命をきちんと果たせるよう取り組んでまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 以上でございます。

○議長(小林隆利君) 佐藤論征議員。

          〔10番 佐藤 論征君登壇〕

◆10番(佐藤論征君) 吉澤政策研究センター長にご自身のこれまでの取り組み、そして思いも込めてご答弁いただきました。市民の皆さんも非常に注目する政策研究センターであります。それだけに成果についても市民の皆さんから求められるところであります。今後市民の皆さんの代表として当然ではありますが、成果について注視させていただくとともに、成果と効果を期待申し上げるところでございます。

 それでは、次に教育委員会移転後の上田駅前ビルパレオの利用についてお尋ねしてまいります。庁舎改修、改築に伴い教育委員会は現在の上田駅前ビルパレオから南庁舎1階と2階に配置される計画予定となっております。当然のことながら現在の教育委員会が入る上田駅前ビルパレオはこれに伴い空室となると思われますが、駅前のにぎわい、駅前の交流人口などを考えますと、後利用については急務の課題と考えます。

 そこで、1点目として、新本庁舎完成後、教育委員会は現在の上田駅前ビルパレオから移転する予定でありますが、移転後のスペースの活用方法は決定しているのか。

 2点目として、もし移転後の活用が決定されていないのであれば、駅前のにぎわいを創出するためには早急に活用方法を決定すべきではないか。

 3点目として、以前市外の企業から上田市に事務所を置きたいとの相談が私のところにございました。その際パレオをご紹介いたしましたが、賃借料が都内の物件と大きく変わらず、想定より高かったため、別の物件を借りることになってしまったことがございました。民間の賃借に影響を及ぼさないための賃借料の設定であることは理解いたしますが、賃借物件として利用するようであれば、賃借料の改定なども検討する必要があるようにも思われますが、検討する考えなどはあるか、お尋ねいたします。

○議長(小林隆利君) 藤澤都市建設部長。

          〔都市建設部長 藤澤 純一君登壇〕

◎都市建設部長(藤澤純一君) 教育委員会移転後の上田駅前ビルパレオの利用についてご質問いただきました。

 上田駅前ビルパレオは、上田駅お城口地区第二種市街地再開発事業として、高度な土地利用を図り、駅前広場、市営駐車場、幹線道路等と一体的に整備し、上田地域の玄関口にふさわしい、駅利用者や来訪者の皆様に広くご利用いただける商業、文化、情報の拠点施設として平成15年に竣工いたしました。現在屋上階を除いた6階のうち、1階から3階については従前の土地所有者などが所有し、店舗、事務所等として利用しております。4階から6階については市が所有し、4階に上田情報ライブラリー、5階は平成27年1月から教育委員会事務局が事務所として使用しており、6階につきましては民間事業者等に賃貸しております。

 一方、現在進められている市庁舎改修、改築事業が完了した際には、教育委員会事務局については現在の上田駅前ビルパレオから移転する予定であり、パレオの5階については移転後あくこととなりますが、その後の具体的な活用方法につきましては現時点では決定はしてございません。

 この活用方法につきましては、公共施設としての市の直接利用のほか、現在のパレオ6階同様、民間の事業者等の市以外の者へ事務所としての賃貸が考えられるところでございます。

 いずれにいたしましても、再開発事業の中で建築された建物でございますので、当該事業の趣旨を踏まえまして、教育委員会移転後直ちに有効活用が図れるよう、賃貸料の改定も含めまして、具体的な活用方法について検討を進めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

○議長(小林隆利君) 佐藤論征議員の質問が終了しました。