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平成30年9月定例会一般質問

○議長(小林隆利君) 次に、質問第3号、市政について、佐藤論征議員の質問を許します。佐藤論征議員。

          〔10番 佐藤 論征君登壇〕

◆10番(佐藤論征君) 議長の許可を頂戴いたしましたので、通学路の安全確保についてと平成29年度決算と上田市の財政について通告いたしましたとおり質問を進めてまいります。

 まず初めに、通学路の安全確保について質問いたします。去る6月18日、大阪府北部を震源とする大阪北部地震が発生いたしました。発生時刻が午前7時58分という通学時間帯で、通学中の女児が通学路脇のプールのブロック塀が地震の影響で崩壊し下敷きとなり、とうとい命が失われてしまいました。通学路上、しかもグリーンベルト上、その上学校施設が発端となりこのようなことが起こってしまったことは絶対にあってはならないことであります。

 これを受け今回の9月定例会にさまざまな市内のブロック塀の除去などにかかわる予算が補正予算として計上され、これまで上田市ではブロック塀除去の補助金として、もともとは景観向上を目的とした生け垣設置補助制度を推奨しておりましたが、補助条件等が実態に合わず、安全面の観点から利用するには非常に利用しにくい状況にありました。先ほど私と同じ会派の斉藤達也議員からは、ブロック塀除去の補助制度について質問がなされたところであります。今回の定例会で私も補助制度の創設を提案させていただこうと考えておりましたが、今回補正予算として上程されました。この短期間で迅速な対応がされたことは、危機管理上大変評価できることであります。

 今回の大阪北部地震の発生後、市民の方からご自宅の前に以前いつの間にかグリーンベルトが設置されたが、自宅にはブロック塀があり、子供たちにとって危険ではないか不安であるとのご相談を数件私のところに寄せられました。ご相談いただいた方は、いずれも子供たちのことを心配する思いから私のところへ相談に来られたわけですが、学校などへどう伝えてよいかわからず私のところにいらっしゃったそうです。グリーンベルトは以前PTAの作業などで歩道が設置できない場所などに手作業で塗装を行っておりましたが、手作業での塗装は劣化が著しいことなどの理由から、現在は業者により塗装がされております。私の子供が小学校のころはやはりPTAで塗装作業を行っておりました。その際はグリーンベルトを設置する通学路沿いのお宅に事情を説明した上で設置をしておりました。その効果もあり、グリーンベルトに対する理解、子供たちの通学路の安全確保が地域で顕著に広まりました。今回グリーンベルトの設置時に設置箇所に隣接する住民の皆さんに説明がなされていなかったこと、あるいは周知が徹底していなかったことは非常に残念なことであります。グリーンベルトの設置に当たっては、ただ単に視覚的に安全を確保するだけではなく、周辺住民の理解が深まることとなり、不審者への対応なども含め、子供たちの安全をさらに担保できると考えますし、今回ブロック塀除去補助金を創設するのに当たり、ブロック塀の除去の促進にも寄与するのではないかと考えるところであります。

 そこで、グリーンベルトの設置に当たり、設置場所沿いの住民への周知を現在行っているのか、また設置場所周辺の住民に理解と関心を持っていただくために、市内における統一的な周知などが必要と考えますが、見解はどうか、お尋ねいたします。

○議長(小林隆利君) 翠川都市建設部長。

          〔都市建設部長 翠川 潔君登壇〕

◎都市建設部長(翠川潔君) 通学路の安全確保、グリーンベルトの設置に関するご質問をいただきました。

 路肩のカラー舗装、いわゆるグリーンベルトにつきましては、歩道と車道が区別されていない道路におきまして、路側帯をグリーンに着色し、ドライバーが車道と路側帯を視覚的により明瞭に区分できるようにするもので、車両速度の抑制による歩行者の安全確保と交通事故の防止を目的に設置をしております。グリーンベルトは、歩道設置が困難な箇所における交通安全対策として、通学路を初めとした生活道路を中心に平成19年度から設置を始めておりまして、設置当初は地域の交通安全事業、コロペタ大作戦と申しておりましたが、として地域住民やPTAの皆様などにご協力をいただきながら、市民協働により実施をしてきておりました。しかし、施工後の耐久性の問題もあり、現在は市の発注により業者が施工をしております。

 グリーンベルトの設置につきましては、自治会や学校から多くのご要望をいただく中で、予算の範囲内で順次対応をしておるところでございます。

 また、施工の際の周知につきましては、その都度関係自治会と相談をさせていただきながら行っておりますが、グリーンベルトの設置は道路の掘削などによる一定期間の通行どめを伴う工事とは異なりまして、交通規制もなく、短期間で完了することや、施工範囲が数キロメートルに及ぶ場合もあることから、回覧等による周知を行うかどうかにつきましてはそれぞれの自治会の判断によりさまざまでありまして、必ずしも沿線住民全ての皆様には周知されていない状況でございます。市といたしましては、グリーンベルトに対する市民の皆様のさらなる理解や関心を高めていただくことの必要性は認識をしておりまして、今後工事の実施段階における周知方法につきましては、これまで回覧でお知らせした内容について、施工時期や施工箇所のほか、グリーンベルトの目的や効果等についてもあわせてお知らせをするなど、周知する範囲も含めまして自治会や学校関係者の皆様と相談をさせていただきながら検討してまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

○議長(小林隆利君) 佐藤論征議員。

          〔10番 佐藤 論征君登壇〕

◆10番(佐藤論征君) グリーンベルトは車歩道が分離できない道路に設置し、安全性の向上を図るものであります。一方で、設置することによりまして周辺住民はより通学路として強く意識することとなります。したがって、自身が所有するブロック塀などがグリーンベルト沿いにあることにより不安を抱くことは当然のことであります。グリーンベルトの設置は、自治会、PTAなどからの要請に市が対応していることは十分理解をいたしますが、教育委員会等も含め、設置するに当たり、設置場所、周辺の住民の意識がどのように変化するかということを市は課題として捉える必要があるのではないかと考えるところであります。そういった思いから今回グリーンベルトについてお尋ねをいたしました。

 次の質問に移ります。平成29年度決算と上田市の財政について質問してまいります。平成29年度決算については、決算特別委員会各分科会において審議されますので、概略についてお聞きをしたいと思います。まず初めに、平成29年度の歳入の状況と今後の見通しについてお尋ねをいたします。

 1点目として、平成29年度当初予算に対する決算の状況はどうか。また、傾向と特徴はどうか。

 2点目として、平成29年度決算を踏まえた今後の歳入見込みはどうか。

 以上2点をお尋ねいたします。

○議長(小林隆利君) 山口財政部長。

          〔財政部長 山口 武敏君登壇〕

◎財政部長(山口武敏君) 平成29年度決算と上田市の財政についてのご質問でございます。

 初めに、歳入に関してでございますが、一般会計全体で当初予算と決算との比較を申し上げますと、当初予算662億4,820万円に対し、決算では歳入総額673億2,881万円余、当初予算との比較で10億8,061万円余の増となっております。当初予算の編成過程では歳入の約3分の2を占める一般財源について、地域の景気動向や総務省が策定する地方財政計画、また前年度の決算見込み等から通年での収入見込みを算定し、歳出予算額から特定財源を差し引いた所要一般財源の調整を行っております。当初予算を編成する上では、補正予算で必要となる一般財源を留保する必要があることや、歳入予算に対して収入が不足するいわゆる歳入欠陥といった事態を避けるため、確実に収入が見込める金額の範囲で予算を計上しており、その結果不足する一般財源については財政調整基金や減債基金から繰り入れて予算を編成しております。

 合併以降当初予算はこういった手法で一般財源を確保しながら予算編成を行っておりますが、結果的には当初予算計上額よりも収入額が超過をして基金を取り崩さなくても済む、こういった状況が続いてまいりました。平成29年度におきましても、当初予算で財政調整基金と減債基金の合計で15億円の繰り入れを計上しておりましたが、市税等の一般財源が想定よりも伸びたことにより全額繰り戻しをすることができました。

 個別に29年度当初予算と決算との比較を申し上げますと、市税では、給与所得の増加等により個人市民税が3億2,000万円余の増となったほか、企業業績の回復により法人市民税が2億7,000万円余の増、固定資産税におきましても、新増築家屋や償却資産が増加したことにより2億1,000万円余の増と、市税全体で8億8,000万円余の増となっております。

 市税以外でも地方交付税では、基準財政需要額が増加したこと等により普通交付税が3億5,000万円余の増、個人消費の伸びを反映して地方消費税交付金が1億8,000万円余の増と、景気回復の影響を反映して多くの項目で予算と比べますと増額の決算となっております。

 一方、特定財源では、耐震化への対応として実施しました小中学校の改築事業の多くが終了したこと等に伴い普通建設事業費が大幅減となったことから、その財源となっております国庫支出金、また市債が減となっております。特に市債の発行額につきましては、43億5,000万円余という決算額でありまして、合併後2番目に少ない額という状況でございます。

 続いて、平成29年度決算を踏まえた今後の歳入見込みでございますが、政府が発表しております景気の現状や地域の経済動向を踏まえますと、当面は市税等の一般財源は堅調に推移するものと見込んでおります。7月下旬に決定された平成30年度普通交付税大綱による本年度の当市の普通交付税額は135億465万円余、臨時財政対策債発行可能額は24億2,329万円余となり、普通交付税は29年度の決算額と比べますと1億4,810万円余、1.1%の減、臨時財政対策債も4,342万円余、1.8%の減となっております。30年度当初予算計上額と比較をいたしますと、普通交付税が4億465万円余の増、臨時財政対策債が2,329万円余の増の決定額となっており、この上回り分は補正予算の所要一般財源として活用してまいります。

 一方、今年度の市税の調定額を見ますと、個人市民税、法人市民税とも前年度の同時期を上回っており、平成29年度と同様に景気の上向き傾向が続いていることによるものと判断をしております。

 次に、今後の見込みでございますが、市税につきましては、このように短期的には一定の伸びは見込めますものの、普通交付税の合併算定替えの段階的な縮減が平成33年度まで続くことなどから、一般財源の全体としましては大幅な増額は見込めないものと見込んでおりまして、基金等を活用しながら予算を編成していく状況、こういった状況がしばらく続くものと考えております。

 以上でございます。

○議長(小林隆利君) 佐藤論征議員。

          〔10番 佐藤 論征君登壇〕

◆10番(佐藤論征君) ただいま歳入についてご答弁いただきましたので、次に平成29年度の歳出の状況と今後の見込みについてお尋ねをいたします。

 1点目として、平成29年度当初予算に対する決算の状況はどうか。また、どのような評価をしているか。

 2点目として、医療、福祉関係の歳出額は年々増加し、今後も少子高齢化、人口減少社会の中でさらなる増額が見込まれますが、上田市における傾向と特徴はどうか。また、今後どのような見通しを持って財政運営に当たるのか。

 以上2点お尋ねをいたします。

○議長(小林隆利君) 山口財政部長。

          〔財政部長 山口 武敏君登壇〕

◎財政部長(山口武敏君) 歳出についてご質問を頂戴いたしました。

 初めに、一般会計全体で29年度当初予算と決算額との比較を申し上げますと、当初予算662億4,820万円に対しまして、決算では歳出総額652億7,374万円余、当初予算額と比較しまして9億7,445万円余の減となっております。予算額と決算額との差額の主な要因でありますけれども、工事請負費等で入札により予算額から減額となることや、住民の皆様への補助金や給付等が決算においては不用額が生じること、また市債の借り入れ金利が想定よりも低利に抑えられたことなどがございます。また、天候の影響や関係者との交渉に時間を要するなどの不測の事態によりまして、平成29年度中に工事等が完了せずに事業の予算を平成30年度に繰り越して実施しなければならなくなった、こういった要因もございます。当初予算編成段階で市民の皆様方から寄せられる多くの要望により多く応えるためには、経費を的確に見積もり、予算配分をすることが非常に重要となりますので、今後も予算査定におきましては、金額、内容の精査に一層努めてまいりたいと考えております。

 いずれにいたしましても、平成29年度決算におきましては、実質収支で17億8,913万円余の黒字、こういった内容で決算できましたことから、健全財政を維持できたものと、このような評価をしております。

 続きまして、医療、福祉関係の歳出額の傾向と特徴、また今後の見通しでございます。一般会計におきましては、障害者自立支援法に基づく自立支援給付費が年々増加をいたしておりまして、平成29年度決算におきましても平成28年度と比較して、金額にして1億9,000万円余、率にして5.9%の増となっております。障害者自立支援制度が通年実施となりました平成19年度と比較をいたしますと、22億5,000万円余、約2.9倍の大幅な増となっております。

 また、お尋ねの国民健康保険事業特別会計、後期高齢者医療事業特別会計、介護保険事業特別会計のいわゆる医療3会計の歳出決算額でございますけれども、3会計の合計で平成29年度は28年度と比較いたしまして6億1,000万円余、1.8%の増となっております。直近の5年間の推移を見ましても、高齢化の進行に伴う保険給付費の増加や制度の改正等によりまして年々増加をいたしております。平成24年度の決算と比較をいたしますと、38億9,000万円余、12.5%の大幅な増という状況でございます。これら特別会計の保険給付費等の増加に伴いまして、国の基準に基づく一般会計からの繰出金も増加をしておりまして、この5年間で6億円余、18.6%の増、こういった状況でございます。今後も自立支援給付費や保険給付費等の増加は避けられないものと考えておりまして、ルール化をされております国、県からの補助、負担金が確実に確保されるよう国の動向を注視してまいります。

 また、これらの給付費等の増加に伴う一般財源の負担の増加、これが市全体の財政に与える影響も年々大きくなるものと見込んでおります。この負担増につきましては、国の制度に対する地方負担額として全額が地方財政計画、これに計上されるべきものであるということから、地方の安定的な財政運営に必要な一般財源総額が確保されるよう、市長会等を通じて国に要望をしてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

○議長(小林隆利君) 佐藤論征議員。

          〔10番 佐藤 論征君登壇〕

◆10番(佐藤論征君) ここまで歳入と歳出についてお答えをいただきました。

 次の質問に移ります。1市2町1村の合併以降、上田市の財政は合併特例債を有効活用した効果も大きく、着実に健全化が進められてまいりました。この間、東日本大震災を受け小中学校の耐震化も図るなど、大きな歳出に対しても着実に対応してまいりました。今後は庁舎改修、改築、公共施設の改修、改築などを初めとするさまざまな大規模な歳出を少子高齢化、人口減少社会の中で着実に進めていかなければなりません。

 そこで、平成29年度の財政指標と今後の財政指標についてお尋ねをいたします。財政指標については資料として平成29年度一般会計、特別会計、企業会計決算の概要の中に付されておりますが、財政力指数、経常収支比率、実質公債費比率、公債費負担比率、将来負担比率、起債残高について詳細をお尋ねいたします。

 まず1点目として、平成29年度の財政指標の特徴と評価はどうか。また、今後の財政指標の見込みについてはどうか。

 2点目として、平成29年度末における基金の状況はどうか。また、平成29年度末における基金状況から今後の基金の方向性をどのように考えるか。

 以上、財政指標に関し2点お尋ねいたします。

○議長(小林隆利君) 山口財政部長。

          〔財政部長 山口 武敏君登壇〕

◎財政部長(山口武敏君) 平成29年度の財政指標に関するご質問でございます。

 まず、財政力指数は、各団体の財政力を示す指標として一般的に用いられております。毎年7月に決定します普通交付税の算定結果から導かれるものでございます。具体的には、標準的な地方税の収入見込み額である基準財政収入額を標準的な財政需要に必要な一般財源である基準財政需要額で除した値の3カ年の平均値でございます。いわば標準的な行政経費を税収等でどの程度賄えるかといった指標でございます。1に近く、あるいは1を超えるほど財源に余裕があり、単年度の財政力指数が1を超えますと、普通交付税の不交付団体であることを意味します。平成29年度は基準財政収入額185億4,695万円余を基準財政需要額312億1,225万円余で除した単年度数値で0.594となり、平成27年度から29年度までの3カ年の平均では0.597で、平成28年度から0.001ポイントの低下という、横ばいの状況でございます。

 基準財政収入額は景気の回復を受けて市税や地方消費税交付金が増加した、このような状況を反映して増額となった一方、基準財政需要額におきましても、合併市町村の財政需要を反映する市町村の姿の変化に対応した交付税算定、これが拡大して増額となったことによって、結果としましては財政力指数は横ばいとなった、こういったものと分析をしております。

 この市町村の姿の変化に対応した交付税算定額は、合併市町村が合併前には想定しなかった財政需要、これを交付税算定に反映する趣旨で導入されたものでございまして、上田市といたしましても国に対しこういった算定を働きかけてきた経過がございますので、平成29年度の算定におきましても基準財政需要額に適切に反映されたものと一定の評価をしておるところでございます。

 合併後の財政力指数の推移を見ますと、平成22年度の0.660をピークにしまして、平成24年度に0.582まで低下をいたしましたが、平成25年度から上昇に転じておりまして、直近の3年間は、先ほど申しましたように、ほぼ横ばいの状況、こういった状況が続いております。これは、骨太の方針2015で示された地方の一般財源総額について、平成27年度の水準を平成28年度から平成30年度まで維持するとされた、いわゆる一般財源同水準ルールがきちんと守られた結果であると、このように考えております。

 本年6月に閣議決定された骨太の方針2018でも同様に、地方の一般財源総額について平成30年度の水準を31年度から33年度まで維持するとされまして、一般財源同水準ルールが継続となりました。今後3年間はおおむね同水準の財政力指数が維持されるものと考えております。

 続きまして、経常収支比率、公債費負担比率、実質公債費比率、将来負担比率につきましては、各年度の決算を受けて算出をされるものでありまして、平成29年度決算における状況を順次申し上げます。経常収支比率でございますが、各団体の財政構造の弾力性を示す指標で、経常的な経費に充当した一般財源が経常的に収入される一般財源に占める割合であらわされ、低いほど弾力性があることを示します。29年度は前年度と比較して分子となります経常的経費充当一般財源が増加したものの、分母であります経常一般財源の増加がそれを上回り、0.3ポイントの減、88.8%となっております。未確定の速報値ではありますが、県内19市の平均値は89.5%となっておりまして、一定の弾力性が確保されているものと考えております。

 次に、公債費負担比率ですが、公債費に充当した一般財源が一般財源収入額に占める割合であらわしたもので、経常収支比率と同様に、低いほど財政運営の弾力性が確保できていることを示します。平成29年度は分子である公債費が増加したことに加え、分母である一般財源収入額が減少しましたため、0.2ポイント増の16.2%となっております。こちらも速報値となりますが、県内19市の平均は15.4%となっており、現時点では弾力性に大きな問題はないものと判断をいたしております。

 次に、財政健全化判断比率の一つである実質公債費比率でございますが、団体の借入金返済額の大きさを財政規模に対する割合であらわしたもので、市債の元利償還金に公営企業や一部事務組合等が発行した地方債の元利償還金に対する一般会計からの負担金や補助金等を加えた額を団体ごとの標準的な一般財源の規模をあらわす標準財政規模で除した値の3カ年の平均でございます。平成29年度は市債の元利償還金の増加等により前年度から0.6ポイント増の5.3%となりましたが、財政健全化計画の策定が義務づけられる早期健全化基準の25%を依然として大幅に下回っている状況でございます。

 もう一つの財政健全化判断比率であります将来負担比率でございますが、借入金など現在抱えている負債の大きさを財政規模に対する割合であらわしたストック指標でございまして、地方債現在高に債務負担行為に基づく支出予定額等を加えた額を標準財政規模で除した値でございます。平成29年度は地方債現在高の減少等により前年度から6.4ポイント減の35.8%となりました。早期健全化基準の350%をこちらも大幅に下回っており、実質公債費比率も含めまして財政の健全性が維持されている、こういった状況と判断をしております。

 今後の見込みでございますが、いずれの指標も地方債の発行額やその元利償還金の額に大きく左右されますことから、現在進めております市庁舎改修・改築事業で発行する見込みの地方債の影響で一時的に数値が悪化することが予想されます。このため、将来に大きな負担を残すことがないよう、これらの財政指標の推移にも留意しながら、計画的な財政運営に努めてまいります。

 財政指標の最後に、普通会計における平成29年度末の起債残高でございます。小中学校の耐震化に係る改修、改築事業や、交流文化芸術センター整備といった普通建設事業の実施に伴って発行されます合併特例債や緊急防災・減債事業債などの起債額に応じてこの起債現在高は増減をしてまいります。特に最近は臨時財政対策債の残高が増加をしてきておりまして、平成29年度末の地方債残高に占めますこの臨財債の割合は45.5%、額にして299億円余まで増加をしてきております。29年度の起債残高は前年度と比べ26億円余の減少となりまして、657億5,774万円余となり、合併以降最小の値となっておりますが、今後庁舎整備事業等普通建設事業の増加が見込まれますことから、現時点では起債残高も一時的に増加をするものと試算をしております。

 次に、基金の状況でございますが、平成29年度では平成30年度の市民債の一括償還に備え減債基金に1億円、ふるさと寄附金を財源としてふるさと上田応援基金に5,000万円余、公共施設の耐震化事業分として公共施設整備基金に2億円を積み立てるなど、将来の財源確保のために計画的な積み立てを行いました。一方、地域の振興に資する事業に充当するため、地域振興事業基金から1億3,000万円余を取り崩すなど、基金の設置目的に沿って活用を図ったところでございます。その結果、29年度末の一般会計の基金残高は、28年度と比較して1億3,000万円余増の200億2,000万円余となり、特別会計まで含めますと8億3,000万円余増額の218億6,000万円余という状況でございます。

 基金につきましては、昨年度国の経済財政諮問会議で有識者議員から地方自治体の基金残高の増加を問題視する趣旨の発言がなされ、総務省が全自治体の基金の積み立て状況について調査し、結果を公表した経過がございます。上田市でも合併から平成29年度までに108億円余の基金を積み増してきておりますが、先ほど申し上げましたように、将来の財政需要を見込む中で行財政改革等で生み出した財源を使い、目的を持って積み立てているものでありまして、経済財政諮問会議においての地方財政計画の歳出が過大であり、地方財政に余裕があるかのような指摘は的を射ていないものかと考えておるところであります。

 今後の方向性でございますが、市庁舎改修・改築事業が今年度の南庁舎の耐震化事業を皮切りに本格実施を迎えまして、基本計画では総事業費約74億円と見積もっております。その多くに充当率90%の市町村役場緊急保全事業債、これを活用する予定でおります。また、起債の対象とならない什器類の購入額も多額になるものと見込んでおり、これら起債対象外の経費や、先ほどの起債の充当残に充てる一般財源の確保、これが財政運営上の大きな課題となってまいります。このため、23年度から積み立ててまいりました公共施設整備基金のうちの公共施設耐震化分、これは平成29年度末残高が23億円となっておりますけれども、この基金から必要額を取り崩し市庁舎改修・改築事業に充てる方向で財源を検討しております。

 また、合併後の新市の一体感の醸成に活用してまいりました合併特例債も発行限度額までの残りが少なくなっており、今後はより充当率の低い起債への切りかえを進めていく必要がございます。このため、起債の充当残に充てる財源の確保策として特定目的基金を設置目的に沿った事業へ積極的に活用することも検討してまいりたいと考えております。

 また、30年度におきましては、交流文化施設建設のために25年度に発行しました市民債、この一括償還を迎えますが、この財源として減債基金から4億円を取り崩す予定となっております。

 今後につきましては、将来を見据えた基金への積み立ては継続してまいりますが、これまで申し上げましたように、基金の活用が見込める事業が多くなる状況を考慮しますと、当面基金残高は減少していくものと見込んでおります。

 以上でございます。

○議長(小林隆利君) 佐藤論征議員。

          〔10番 佐藤 論征君登壇〕

◆10番(佐藤論征君) 次に、会計年度における主要施策の成果報告書についてお尋ねをいたします。

 会計年度における主要な施策の成果を説明する書類、上田市においては会計年度決算に係る主要施策の成果等報告書として議会に会計年度ごとに提出されておりますが、これはご存じのとおり、地方自治法第233条において議会に提出が義務づけられている書類であります。しかしながら、一方で内容については規定がなく、各自治体の判断に委ねられているものであります。私は、この会計年度における主要な施策の成果を説明する書類については、議会機能を向上させる上で非常に重要な書類であると考えるだけではなく、市民の皆さんにとっても市の状況を見える化できる有効な書類であると考えております。できる限りこの書類を機能的なものとすることは市民益をも向上させるものであります。私も会派、所属委員会などで実施いたします行政視察の際などはできる限り伺った先で図書室や主要施策の成果報告書を見せていただくようにしておりますが、やはり自治体によってかなり内容に違いがあることを実感しております。

 さらには、公表についてもホームページ上に掲載している自治体、していない自治体があり、公表の考え方についても差があるように感じております。公開については上田市では既に会計年度決算に係る主要施策の成果等報告書をホームページに掲載しており、非常に評価できるところであります。

 そこで、上田市の会計年度決算に係る主要施策の成果等報告書について、現在の様式としている考え方はどうか、お尋ねをいたします。

○議長(小林隆利君) 山口財政部長。

          〔財政部長 山口 武敏君登壇〕

◎財政部長(山口武敏君) 主要施策の成果報告書に関するご質問でございます。

 地方自治法の規定に基づきまして市長が決算を議会の認定に付するに当たりましては、議員ご指摘のとおり、地方自治法第233条第5項の規定によりまして、会計年度における主要な施策の成果を説明する書類、その他政令で定める書類を提出することが義務づけられております。これら決算に関する書類のうち歳入歳出決算書につづられております会計別歳入歳出決算書、歳入歳出決算事項別明細書、実質収支に関する調書、財産に関する調書、これらにつきましては地方自治法施行規則に様式が定められておりますため、全自治体で基本的に共通の様式が用いられているものと承知をしております。

 一方、ご質問の主要な施策の成果を説明する書類につきましては、規則等で様式が定められておらず、各団体が議会での説明がしやすいよう創意工夫して様式を決定しており、記載する内容等は団体ごとに異なっているのが現状でございます。

 上田市では合併後最初の決算となりました平成17年度決算の主要施策等の報告書を作成する段階で、合併前の旧市町村や類似団体の様式を参考に検討を重ね、旧上田市の様式をベースに、よりわかりやすい説明資料とする観点から変更を加えまして、新上田市としての新しい様式を作成し、その後大きな変更をせずに現在に至っております。

 これまで大きな変更がなかった理由といたしましては、作成に係る事務効率や前年度決算との比較のしやすさを重視してきたことがございますが、市議会への説明資料であること、また一般の市民の皆さんへの公表資料であることから、決算内容を知るために必要な情報として、よりわかりやすく掲載できる様式について今後も引き続き研究してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

○議長(小林隆利君) 佐藤論征議員。

          〔10番 佐藤 論征君登壇〕

◆10番(佐藤論征君) 今回市の考え方をお聞きいたしましたが、このことにつきましては議会としても研究を進めていく必要が非常に高いと考えるところであります。

 最後に、今回の質問の総括として市長にお尋ねをいたします。土屋市長が市長に就任され早いもので5カ月が経過いたしました。平成29年度の決算についても当然のことながら前市長時代の予算に対する決算でありますし、本年度の予算についても前市長のもとでの予算編成であります。今回の決算結果を受け、いよいよ土屋市長のもとでの初めての来年度の予算の編成に挑むのに当たり、市長は財政運営の方針をどのように考えているか、お尋ねいたします。財政運営方針については、前回の6月定例会の私の所属会派新生会代表質問において尾島代表より同様の質問がなされておりますが、今回はここまで質問してまいりました平成29年度の決算結果を踏まえ、予算編成に挑む観点で詳細についてご答弁をいただきたいと存じます。

 以上、私の一般質問最後の質問とさせていただきます。

○議長(小林隆利君) 土屋市長。

          〔市長 土屋 陽一君登壇〕

◎市長(土屋陽一君) 平成29年度決算状況については先ほど財政部長が詳細に答弁申し上げたところでございますが、各種指標が示すとおり、平成29年度においても健全財政が維持されているものと考えており、私といたしましても、合併後の堅実な財政運営については一定の評価をいたしているところでございます。そういった評価を念頭に置きまして、来年度の予算編成に臨むことになるわけでございますが、まずもって申し上げておきますのは、第二次上田市総合計画の実現が予算編成の最大の目標であるということであります。第二次上田市総合計画は私が市議会議員時代に市議会といたしましても策定に関与したものでございますし、市の方向性を示すということで最大限に尊重し、その実現に全力を尽くすことが私の責務であると認識し、日々市政経営に当たっております。

 平成31年度当初予算の編成に当たっては、第二次上田市総合計画に掲げました将来都市像の実現に向けたさまざまな施策を打ち出せるよう、上田再構築の視点で庁内議論を重ねてまいります。一方で、平成29年度決算を踏まえますと、今後も一般財源の大幅な増収が見込めるような状況にはないと判断しております。したがいまして、平成30年度予算編成で掲げました予算の重点化、行財政改革の推進の2つは平成31年度予算編成におきましても引き続き取り組むべき大きな柱と考えております。

 平成31年度予算編成方針は、来月予定いたしております予算編成会議に向けて策定することとなっており、詳細についてはこれからの部分も多くございます。第二次上田市総合計画の推進と健全財政の維持の両立が図れるよう、職員一丸となって予算編成に臨んでまいります。

 以上でございます。

○議長(小林隆利君) 佐藤論征議員の質問が終了しました。

菅平高原アリーナ オープン

地元ならびにアスリートからの高い要望により、平成28年度から整備が進められていた地域振興施設『菅平高原アリーナ』が平成30年9月1日(土)にオープンいたしました。2019年ラグビーワールドカップ、2020年オリンピック・パラリンピックなどの合宿にも対応できる施設です。

pdf上田市菅平高原アリーナ