11月24日、12月定例議会初日終了後の全員協議会において、上田市役所の本庁舎・南庁舎耐震補強基本設計の結果について報告がありました。耐震補強工事に36億6900万円工事費がかかることが判明しました。当初24億円を見込みからはるかに上回る結果となりました。耐震化した場合、耐用年数が伸びるものでないことから、今後、耐震補強工事を進めるべきか検討を進め、併せて庁舎の一部改築についても比較検討を行うこととなりました。
11月24日、12月定例議会初日終了後の全員協議会において、上田市役所の本庁舎・南庁舎耐震補強基本設計の結果について報告がありました。耐震補強工事に36億6900万円工事費がかかることが判明しました。当初24億円を見込みからはるかに上回る結果となりました。耐震化した場合、耐用年数が伸びるものでないことから、今後、耐震補強工事を進めるべきか検討を進め、併せて庁舎の一部改築についても比較検討を行うこととなりました。
平成27年12月定例会初日日程終了後、全員協議会において菅平地区地域振興施設整備について説明がなされました。事業費10億円程度の屋内運動場を2019年4月(予定)までに整備される計画です。2019年日本で開催されるラグビーワールドカップキャンプ地誘致など、地域振興施設として建設を計画。
上田市議会平成27年12月定例会が11月24日から開会。12月14日までの21日間の会期。初日市長提案説明が行われ、24件の議案が提出されました。
市長提案
はじめに
本日ここに、平成27年12月市議会定例会を招集いたしましたところ、議員各位におかれましては御多忙の中、御出席を賜りまして誠にありがとうございます。
上田市功労者表彰式
はじめに、先週19日に開催いたしました「平成27年度上田市功労者表彰式」には、御多用中にもかかわらず、議員各位をはじめ自治会、地域協議会の関係者など多くの方々に御列席をいただきました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。長きにわたり地域社会の発展と福祉増進のために率先垂範し献身的な活動を続けられた受賞者の皆様には、今後も豊富な識見と積み重ねてこられた経験を活かされ、引き続き各分野で、また、地域での指導者として御活躍いただくとともに、市政に対しましても、なお一層の御支援をいただきたく存じます。
ラグビーワールドカップ
さて、先ごろ開催されたラグビーワールドカップのイングランド大会では、日本代表チームが、勇敢な闘いぶりで大活躍をいたしました。ラグビー人気も急激に高まっており、次回2019年の日本開催に向け、弾みがついたものと感じております。
上田市といたしましても、地域全体の活性化につながるよう、日本代表はじめ、全国から多くのラグビーチームが合宿に訪れ、日本ラグビーの「聖地」と呼ばれる菅平高原へのキャンプ地誘致を官民一体となって推進してまいります。
大河ドラマ放送に伴う対応
放送開始まであと50日余りとなりました大河ドラマ「真田丸」につきましては、9月初旬に当市でクランクインし、現在はNHK放送センターのスタジオで撮影を行っているとのことです。
真田氏本城跡の撮影現場で行われた取材会には、ドラマ出演者4名が出席され、主人公・真田信繁(幸村)役の堺雅人さんは、「真田氏発祥の地である信州上田で撮影を始められることが非常に嬉しく、良いスタートを切ることができた。このドラマは上田だけではなく、信州が舞台であり、北信、中信、南信の方々にも見てほしい」と語っておられました。ドラマの中で信州上田がどのように登場するのか、作品を目にするのがとても楽しみであり、心待ちにしているところであります。
一方、上田城跡公園の旧市民会館に整備する「信州上田真田丸大河ドラマ館」につきましては、来年1月17日のオープンに向け順調に工事が進んでおります。
大河ドラマ館は、「戦国の聖地・信州上田」をテーマに、信繁公の生きた時代から、信繁公を取り巻く真田家の家族や宿敵家康公、大坂の陣などドラマのストーリーに沿って衣装やセットなどの展示を予定しております。
特徴的なものとして、市内で行われた撮影風景などのメイキング映像の放映や、専用のヘッドセットを装着し、撮影が行われているスタジオの様子を360度ヴァーチャルリアリティ動画で映し出す体験コーナーを設けるなど、大河ドラマの魅力をより一層高めるための趣向を凝らした仕掛けを考えております。
先月10日には、上田城跡公園において、大河ドラマ館開館100日前イベントとして「出陣式」を開催いたしました。ドラマの放送に向け市民の皆様の機運も日々高まっている中、信州真田鉄砲隊や信州上田真田陣太鼓が披露されたほか、出席者全員で「観光おもてなし宣言」を復唱するなど、多くのお客様を「おもてなしの心」を持って笑顔で迎えるため、気持ちを一つにすることができたものと感じております。
また、六文銭と信州上田の文字を組み合わせ、今年3月に制作した当市の新たなロゴマークを活用した商品などは、これまで250アイテムを超える使用申請がありました。「真田丸」のタイトルロゴを利用した商品開発につきましては、8月の説明会以降、市内事業者からは30件を超える申請があったと聞いており、今後、より多くの真田ブランドの開発につながることを期待しております。
合併10周年記念事業
次に、合併10周年記念事業について申し上げます。
市民の皆様とともに合併10周年を祝う記念事業が来年1月からスタートし、平成29年3月まで、市と市民の皆様との連携によるさまざまな事業を展開してまいります。市が主催する特別事業につきましては、市民の皆様からいただいたアイデアなども参考にさせていただいたところであります。
来年1月から3月までの事業として、年明けの1月5日に丸子文化会館セレスホールで開催されるニューイヤー特別コンサート「シューベルト歌曲集『冬の旅』」を皮切りに、「学校給食特別メニュー」の実施、「別冊KURA信州上田」の発行などを予定しております。
また、2月には上小地域の高校生による模擬議会を開催いたします。生徒が実際に市政に関する質問や意見発表をすることで、まちづくりへの参画を促し、市政に参画した喜びを感じられる場とするとともに、選挙権年齢が引き下げられたことに対する啓発と若年層の投票率の向上を図るため、各学校から選出いただきました実行委員の先生方とも協力しながら、開催に向けた準備を整えてまいります。
記念事業の期間中には市民の皆様が主体となって実施していただく市民公募事業や、合併10周年記念の「冠」を付す事業も併せて実施するなど、大勢の市民の皆様の御参加をいただきながら、記念事業を盛り上げてまいりたいと考えております。
中国・寧波市との交流
次に、中華人民共和国・寧波市との交流について申し上げます。
平成7年2月9日の両市の友好交流提携から、今年で20周年の節目の年を迎えました。20周年記念事業として、去る10月26日、寧波市から24名の代表団の皆様を上田にお迎えし、記念式典・祝賀会を開催いたしました。
式典に際し末永い友好の証として、両市ゆかりの画家により描かれた大型の絵画作品の交換を行ったところであり、寧波市から贈られた山水画については、多くの市民の皆様に御覧いただけるよう、現在、市役所1階ロビーに展示しております。
また、12月中旬には、上田市から副市長を団長とする市民訪中団の派遣を予定しており、これまでの市民団体や青少年交流の成果などを踏まえながら、今後も次なる10年を見据えて実りある交流を行い、より一層の友好関係を深めてまいります。
国の動きと来年度予算編成
続いて、直面する課題等について順次申し上げてまいります。
我が国の経済情勢は、10月に内閣府から発表された月例経済報告によりますと、「一部に弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」とされ、景気の先行きについては「緩やかな回復に向かうことが期待される一方、中国をはじめとするアジア新興国等の景気が下振れし、国内の景気が下押しされるリスクがある」とされました。
国の平成28年度一般会計予算の概算要求につきましては、2年連続で100兆円を超え、過去最大の102兆4,000億円余となりました。「経済・財政再生計画」の初年度となる平成28年度は、計画を実現するため、経済成長による税収増と同時に、歳出抑制を着実に進めることが欠かせないとされております。
総務省所管予算の概算要求では、地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源総額について、平成27年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質同水準を確保することとされており、また地方交付税については、総額確保の視点から16兆円が要求されております。
国の来年度予算編成やこれに伴う地方財政計画、また、地方創生関連予算の動向などは、当市の来年度予算編成にも大きな影響を与えることから、引き続き情報収集に努め、注視してまいりたいと考えております。
こうした中、当市におきましては、先月2日に「平成28年度予算編成会議」を開催し、その方針を公表するとともに予算編成作業に着手いたしました。
来年度は、第二次上田市総合計画の初年度となることから、「まちづくりビジョン」で掲げている基本理念に基づいて、10年後の将来あるべき理想の都市像の実現を目指し、着実にスタートするための年度となります。
平成28年度の重点分野といたしましては、「雇用の拡大と地域経済の活性化」、「交流・定住の推進」、「魅力ある地域づくりの推進」、「地域医療の更なる充実、健康・福祉の推進」、「循環型社会の形成」など10項目とし、その実現に向けた事業に重点的に財源配分を行うことといたしました。加えて、先月策定された上田市版総合戦略で掲げる施策についても、新型交付金等を有効活用するなど、創意工夫のうえ地方創生への対応を図ることといたしました。
また、多様化、高度化する行財政需要に的確に対応していくためには、事務事業の選択と集中を行い、財源の効率的・効果的な配分が必要であることから、事業の着実な推進と健全財政の両立に留意しながら、平成28年度予算編成を進めてまいりたいと考えております。
地方創生に対する取組
次に、地方創生に対する取組について申し上げます。
今年度早期の策定を目指してまいりました上田市版「総合戦略」及び「人口ビジョン」につきましては、第二次上田市総合計画との整合を図りながら、先月30日、「上田市まち・ひと・しごと創生総合戦略策定推進本部会議」において決定いたしました。
策定に当たりましては、市内の高校生や学生の皆様を対象とするアンケート調査を実施したほか、「上田市地方創生有識者会議」や「議員懇談会」を開催し、御意見等を反映したところであり、多くの市民の皆様をはじめ議員各位の御協力を賜りましたことに感謝を申し上げます。
総合戦略につきましては、対象期間を平成27年度から平成31年度までの5年間として、国の政策分野に沿った4つの基本目標及び84の具体的な施策を掲げ、基本目標ごとの数値目標及び施策に対応する重要業績評価指標を盛り込んでおります。
基本目標の1つ目には、最も重要な課題と考えております「しごとづくり」の視点から「就業機会の拡大と多様性の創出」として、地域経済を牽引するものづくり産業や農林業の振興を図る施策をはじめ、企業誘致や人材育成などの取組を掲げております。
2つ目には結婚、出産、子育ての視点から「人口の自然減に歯止めをかける」ことを掲げ、民間団体等との連携による結婚支援の取組を進めるとともに、「子育てするなら上田市で」の施策や高等教育まで含めた学びの環境の充実を図ることとし、多くの学生が集まり、地元に就職するといった好循環を生む「学園都市づくり」を謳っております。
3つ目には、ひとの流れをつくる視点から「人口の社会増を伸ばす」ことを、また、4つ目には、人口減少下におけるまちづくりの視点から「安心して暮らし続けられる地域をつくる」ことを掲げて、市民協働や地域内分権の推進、広域都市間連携の促進などに取り組むこととしております。
更に、国の平成26年度補正予算における地方創生先行型交付金の基礎交付分及び上乗せ交付分を活用し、今年度から着手している施策も位置づけたところであり、これまでの施策を拡充する視点や地域の資源、特徴、強みを生かし伸ばす視点を持ちながら、上田市として独創性のある、未来に向けてチャレンジしていく取組を盛り込んでおります。
今後、総合戦略の実行段階におきましては、施策や数値目標等の進捗状況について毎年度、検証や見直しを行ってまいりますが、地方創生の取組は行政のみで進められるものではありません。市民や関係機関の皆様との連携、協働のもと、若者をはじめとするあらゆる世代が住み続けたいと思えるまちづくりに向け、「上田市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を実行してまいります。
長野大学の公立大学法人化に対する取組
次に、長野大学の公立大学法人化に対する取組について申し上げます。
少子化や受験生の大都市圏の大学への進学志向により、地方の私立大学を取り巻く環境が厳しさを増すと予想される中、県内の私立大学でも学生確保に向け、公立大学法人化や学部の新設を進める動きなどが報道されております。
このほど長野県が策定した「人口定着・確かな暮らし実現総合戦略」では、県内大学等の魅力と収容力を高めるための取組に対して支援を行うとしております。
上田市におきましても、地元高校生の進学先を確保するとともに、県外流出をくい止め、大学と地域の活性化を図るため、10月1日付で設置した公立大学法人化準備室において、地域貢献や市民サービスの充実に関する事項、学生納付金の設定など、長野大学の公立大学法人化に向けた具体的な検討を進めております。
大学側でも、地域が求める人材育成の必要性を鑑み、外部委員を含む改革検討委員会を早急に立ち上げるため、検討されているとお聞きしております。今後も大学とともに、受験生が地元で学びたくなる大学を目指し、学園都市づくりの一環として、公立大学法人化に向けた取組を推進してまいります。
健康づくり
次に、健康づくりについて申し上げます。
10年後の超高齢社会を見据え、新たな健康づくりのステージとして、「健康幸せづくりプロジェクト事業」に取り組んでおります。誰もが健康で幸福に過ごすために、もっとも基本的な心と体の健康の保持に向け、さまざまな事業を実施しているところであります。特に、気軽に実践することができ、有酸素運動にもなるウォーキングについては、地域の健康推進委員や公民館、総合型地域スポーツクラブ等の協力も得ながら、地元の皆様が作成したウォーキングマップを活用し、当日のガイドもお願いするなど、創意工夫を加えて事業を進めております。その結果、11月1日現在のウォーキング教室の参加者は延べ約680人と、昨年度実績の224人を大きく上回っております。
また、生活習慣病の予防を図るため、平成20年度の開始から8年目を迎えた特定健康診査につきましては、休日における集団健診を実施したことなどにより、国民健康保険加入者の昨年度の受診者数が初めて1万人を超えました。また、特定保健指導につきましては、指導の強化を図った結果、高血圧症の有所見者の割合が下降傾向を示すなど、徐々に成果が現れているところであります。今年度は、市内の各医療機関で行う個別健康診査に加え、集団健康診査を上田市医師会に請け負っていただき、市と医師会が連携を強化することにより健診受診率、保健指導率の向上を一層図るとともに、糖尿病等生活習慣病の予防に努め、更には全国健康保険協会等の保険者とも連携し、「健幸都市」の実現につなげてまいります。
地域の魅力アップ
次に、地域の魅力アップに向けた取組について申し上げます。
今年は「大坂夏の陣」から400年という節目の年に当たります。これを好機と捉える中、先月から今月にかけて大阪で開催された「天王寺真田幸村博」や「大阪城秋まつり」の催しでは、真田氏ゆかりの郷として信州上田PRブースの出展や市内の太鼓団体が参加するイベントなどを開催し、信州上田の真田信繁公との関係を大いにPRすることができたと実感しております。
一方、長野県発表の平成27年度夏季の観光動向調査によりますと、上田城跡公園と別所温泉の観光客数が前年比で約16パーセント増となりました。大河ドラマ「真田丸」の放送を目前に控える中、9月には観光会館売店をリニューアルオープンし、連日、多くのお客様に御来店いただいております。現在、上田城跡公園の周辺に新たな駐車場を整備しているところであり、全国から訪れる観光客の皆様の受入態勢整備も着々と進めております。
また、先月末から今月上旬にかけて美しい紅葉に彩られた上田城跡公園を会場に開催した「上田城けやき並木紅葉まつり」には、年を重ねるごとに多くの市民や観光客の皆様に訪れていただいており、最近5年間の平均は130台程度でありました観光バスの受入台数も、「真田丸」放送に伴う宣伝効果も相まって今年は230台を超えるなど、大変な賑わいとなりました。
信州上田まつり実行委員会の皆様が中心となったアイデアが企画運営に幅広く活かされる中、「歴史・食・おもてなし」をコンセプトに、上田城跡に相応しい歴史ロマンに溢れた催しが数多く繰り広げられ、上田の魅力を多くの観光客の皆様に伝えることができたものと捉えております。
今後も、市内での魅力あるイベントの拡充を図るとともに、真田氏ゆかりの自治体や近隣市町村との更なる相互連携により広域観光を充実させ、効果的な事業を展開するなど、引き続き観光誘客や地域づくりにつながるよう取り組んでまいります。
都市地域の意欲ある人材を誘致し、地域力の維持及び活性化を図るとともに、定住・定着につなげることを目的とした「地域おこし協力隊」につきましては、今年8月に着任した3名が豊殿、真田及び武石地域において、地域の皆様との積極的な交流を通じて、新たな視点での提案をはじめ、フェイスブックを活用した地域の魅力やイベントの情報発信など、大変精力的に活動しております。
また、今月からは新たに1名が着任し、川西地域で活動を開始いたしました。さらに、12月には、武石地域にもう1名が着任する予定であり、先に着任した3名ともども今後の活躍に期待するところであります。
農業・農村を取り巻く厳しい状況が続く中、先月5日、環太平洋連携協定(TPP)交渉が参加国閣僚会議で大筋合意に至りました。農林水産物2,328品目の約80パーセントに当たる1,885品目で関税を撤廃するものであり、国では協定の発効に備えて「TPP総合対策本部」を設置し、今月中にも「総合的なTPP関連政策大綱(仮称)」を策定するとしております。市といたしましては、今後の国会での議論を注視してまいります。
一方、農業委員会等に関する法律が改正されたことに伴い、今回で最後となる「上田市農業施策に関する建議書」が、今月4日に上田市農業委員会より提出されました。市では、提案いただいた内容を十分に検討し、適切に対応してまいります。
今後、農業委員会の役割は「農地等の利用の最適化の推進」に重点が置かれることとなり、担い手への農地の集積・集約化等、農業の健全な発展に寄与することが期待されるところであります。
文化振興
次に、文化振興に対する取組について申し上げます。
大河ドラマ「真田丸」の放送を来年に控え、大勢の観光客の皆様の来場が予想される史跡上田城跡内の博物館や櫓等の整備につきましては、年内の完了を目指して事業を進めております。博物館等で展示する新たなジオラマやシアタ-映像等の製作、また、上田城郭のかつての姿をバ-チャルな世界でお楽しみいただける、ARを活用した映像コンテンツの製作も含め、来年1月の本稼動を目指してまいります。
更に、市内の小学生を対象に、真田氏や上田城の歴史の理解を深める一助として、「歴史演劇鑑賞事業」を実施いたしました。これは、市内に拠点を置く劇団の方々に依頼し、上田合戦から大坂の陣までの真田氏の活躍を演劇で表現したもので、今年度は6つの小学校で公演を行いました。鑑賞した子どもたちからは感動の声が多く寄せられ、大変に有意義な機会となりました。
一方、文化遺産を観光やまちづくりの地域資源として活用することは、非常に有効なものであり、地域の宝である文化財を多くの方に知っていただき、活用していくことが重要と考えております。
こうした中、今年度、「文化財de文化祭」と銘打ち、8月には重要文化財である「旧常田館製糸場施設」でジャズコンサ-トを、10月には登録文化財である「信州大学繊維学部講堂」にて絹糸を使った楽器「ストリングラフィ」でのコンサ-トを開催いたしました。両会場とも大変に賑わい、観客の皆様には音楽を楽しみながら、文化財への理解を深める機会になったものと捉えております。
今後も文化の薫るまちづくりに向けた取組を積極的に進めてまいります。
サントミューゼ
次に、「サントミューゼ」交流文化芸術センター・市立美術館について申し上げます。
昨年10月2日に開館いたしましたサントミューゼが、この10月に開館1周年を迎えました。
市議会や文化団体の皆様をはじめ、多くの関係する方々の御支援と御協力により、無事1周年を迎えられたことに感謝を申し上げます。
「文化創造元年」であるこの1年間は、コンサートや演劇、市民の皆様の発表の場として広く御利用をいただくとともに、市立美術館の常設展示や特別展覧会など多くのイベントを開催し、市内外から大勢の皆様に御来館をいただきました。
ホールでは開館記念式典も含め、自主開催事業、共催事業として27事業を行い、約3万人の皆様に御来場をいただき、また、市民文化団体の利用やプロモーターへの貸館事業、小・中学校行事などには約14万人の皆様に御利用をいただきました。
一方、市立美術館におきましても開館記念特別展として「山本鼎のすべて」展や「レオナール・フジタ」展など開催し、約11万人の入館者がありました。特に「戦国無双の刀剣展」は約1万7,000人、「藤子・F・不二雄展」は家族連れを中心に、地方都市では稀な4万1,000人を超える方々に楽しんでいただきました。
今後、ホールでは初のオペラ公演を、市立美術館では若手作家育成事業としての特別展覧会など多彩な企画を予定しております。また、来月2日のカフェスペースのオープンにより、更に多くの人が交流し、賑わいを創出する文化芸術の拠点として、市民に愛され、共に歩む施設となるよう、引き続き魅力ある事業を展開してまいります。
学校教育に対する支援
次に、学校教育に対する支援について申し上げます。
さまざまな障がいのある児童・生徒の学習意欲や集中力の向上と、個に応じた支援を一層進めることを目的として、2学期から、小学校と中学校のそれぞれ2校の特別支援学級にタブレットパソコンを導入いたしました。
学校からは、読み書きが苦手な児童・生徒が、タブレットパソコンを用いて学習することで、教科書の内容を理解し、学習プリントにも取り組めるようになったという事例も報告されており、さまざまな効果が期待されるところであります。
今後は特別支援教育への支援や学校における情報化教育の推進を図るため、活用方法についての研究を進めながら、来年度以降、他の小・中学校の特別支援学級へもタブレットパソコンの配備を拡充してまいりたいと考えております。
循環型社会の構築
次に、循環型社会の構築に向けた取組について申し上げます。
上田市及び上田地域広域連合の最重要課題であります資源循環型施設の建設につきましては、今年5月に、中断している意見交換会を再開していただけるよう資源循環型施設建設対策連絡会の代表である幹事に対して申入れを行い、現在、対策連絡会では慎重に対応を協議していただいております。
9月からは、対策連絡会の代表者の皆様と意見交換会の再開に向けた準備会を開催し、これまでの経緯や課題を含め、お互いに論点を整理するなどの調整を行ってまいりました。
また、施設建設に伴う周辺地域の振興案などにつきましては、地域の皆様の御意見や御要望を踏まえ検討する必要がありますことから、できるだけ早期に説明会を開催し、話し合いの場が持てるよう対策連絡会の皆様に御協力をお願いしております。施設の建設につきましては、現在の清浄園用地を候補地とする「新たな提案」以降、多くの皆様から賛否両論さまざまな御意見等をいただいておりますが、市民生活に必要不可欠で、大変重要な施設でありますことから、今後も地域の皆様との合意形成を最優先に、丁寧かつ積極的に説明を行ってまいります。
一方、ごみの減量化・再資源化に向けた新たな施策や制度の充実を図る中で、今年度、上半期の上田市の可燃ごみの処理量は前年同期と比べ392トン、約2.2パーセントの減となり、着実に成果が現れてきているものと捉えております。先日、上田地域広域連合から公表された「第三次ごみ処理広域化計画(素案)」では、循環型社会の構築を目指し、構成市町村が一丸となって更なるごみの減量化を目指すことが盛り込まれております。また、計画している資源循環型施設をよりコンパクトな施設とする方針とともに、平成32年度を目標とする新たな減量化目標値が示されました。当市といたしましても、これらを踏まえ一層のごみの減量化・再資源化に取り組んでまいりますので、御理解と御協力をお願いいたします。
マイナンバー制度
マイナンバー制度につきましては、10月からマイナンバーの通知が始まり、市民の皆様へも順次マイナンバーをお知らせする「通知カード」が届けられております。
いよいよ制度がスタートし、市民の皆様や企業からの問い合わせが増えてきております。市では、「通知カード」や来年1月以降申請者に交付される「個人番号カード」についての問い合わせに対応するため、10月からマイナンバー専用電話を開設いたしました。また、来年1月には市役所東庁舎に専用の個人番号カード交付窓口の設置を予定しております。
来年1月からは、社会保障、税、災害対策における行政手続での利用も始まります。市では、制度の円滑な導入に向け、庁内関係課を中心に連携して取り組んでおり、今定例会には、番号法の規定に基づき、庁内での個人番号の利用等について定めた条例の制定を提案いたしました。
今後も市民の皆様への積極的な広報、周知に努めるとともに、マイナンバー制度の運用開始に向け、市としての準備を進めてまいります。
議案の概要
以上、今回提案いたします案件のほか当面の課題等について、その一端を申し上げました。
今回提案いたします案件は、条例案9件、予算案10件、事件決議案5件の合計24件であります。
まず、条例案につきましては、大河ドラマ「真田丸」の放送開始に合わせて施設整備や展示内容の充実を行っております池波正太郎真田太平記館、上田市立博物館・南北櫓・櫓門及び真田御屋敷歴史館の各施設における観覧料の改定に伴う関係条例の整備など一部改正8件のほか、新設1件の合計9件を提案しております。
次に、平成27年度補正予算の概要について申し上げます。
今回の補正予算は、9月補正予算編成以降の諸事情により必要が生じた新規の事務事業経費、国県補助の内示等に伴う事業費及び財源の調整につきまして関係経費を計上いたしました。一般会計をはじめ、国民健康保険事業特別会計など特別会計4会計、及び産婦人科病院事業会計など企業会計5会計に係る予算計上であります。一般会計の歳出における主なものといたしましては、市民公募事業や上田市高校生議会などの合併10周年記念事業、都市間連携を進めるため、上田市と松本市を結ぶ直行バスの運行を見据えた観光の視点によるバス運行に係る経費、また、自立支援給付費、青年就農給付金など本年度執行見込みによる事業費の調整であります。
最後に、事件決議案につきましては、合計70施設について来年度からの指定管理者を指定するための議案のほか、和解に係る2件の議案、西部公民館の整備事業用地の取得に係る議案など、計5件を提案しております。
和解議案の2件につきましては、平成21年7月に旧上田市産院において、また、平成25年3月に上田市立産婦人科病院において、出産後のお子様がお亡くなりになられた事故につきまして、それぞれ裁判を行ってまいりましたが、この度、御家族との和解が整いましたので、今定例会に関連議案を提案いたしました。この場をお借りし、御家族の皆様に哀悼の意を表しますとともに、今後、更なる医療安全に関する取組を行い、安心してお産ができる病院づくりに努めてまいります。
以上、今回提案いたします条例案、予算案、事件決議案の概要を申し上げました。
各提出案件の内容につきましては、それぞれ担当者から説明いたしますので、よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。
o 議長(下村 栄君)次に、質問第3号、市政について、佐藤論征議員の質問を許します。佐藤論征議員。
〔2番 佐藤 論征君登壇〕
o 2番(佐藤 論征君)今回私からはうえだ発達支援事業についてと中学校朝部活動について、通告のとおり順次質問を進めてまいります。
まず初めに、うえだ発達支援事業についての質問でございます。平成22年6月にひとまちげんき・健康プラザ内に開設いたしました発達相談センターでは、発達障害と診断される子供や、そのほか疑いのある子供、そしてその親に対する相談業務が行われております。子供の発達障害につきましては、一説によりますと、ぜんそくの子供よりも発達障害の子供のほうが多いとも言われており、全国的にも発達障害と診断される子供、発達障害の疑いのある子供が増加傾向にあります。
そのような状況下で、上田市の発達相談センターの相談件数については、開設の平成22年においては506件、開設年の平成22年につきましては6月からの数字でございます。平成23年600件、平成24年1,073件、平成25年954件、昨年平成26年に至っては1,399件と、開設以来最も多い相談件数となっております。
この発達相談センターに関し、私の身近で起きた一例をお話しいたしますと、当時中学生であった子供が、先生や友達とのコミュニケーションに悩み、登校に対しても消極的になったことから、親御さんが子供の発達障害の疑いがあるのではないかと悩み、発達相談センターに相談をいたしました。その際親御さんは自分の子供が発達障害ではないかという心配をするとともに、自分の子供が発達障害ではないかという事実を受け入れなければならないのかと非常に悩んでいらっしゃいました。相談に当たったスタッフの皆さんは、親御さんが涙を流しながら話をしていたとき、同じように涙を流し相談に乗ってくださったそうです。スタッフの皆さんがこのように心の通った、子供に寄り添った相談と支援をしてくださったことから、この子は現在高校生となっておりますが、高校進学をきっかけに立ち直り、学校も休むことなく通い、学業、部活動に一生懸命取り組んでおります。
今回の質問に際し私は他自治体の状況も調査いたしましたが、これだけの優秀なスタッフを有する同様の施設はなく、私はこの発達相談センターは上田市の誇るべき支援施設であり、日本一の先進施設であると確信しております。発達相談センターのこれまでの相談実績の伸び、そして何より発達相談センターの献身的な支援の功績が非常に大きいことから、今後も発達相談センターの相談件数が増加することが見込まれる状況であります。そこで、心配になりますのが今後の発達相談センターの支援と運営がこれまでどおり維持されるかであります。そこで、まず3点お伺いいたします。
1点目として、昨年度相談件数が開設以来過去最高となり、相談内容も多様化していることが推察されますが、状況はどうであったか。
2点目として、相談件数の増加と多様化にどのように今後対応していくのか。
3点目として、相談件数の増加、多様化への対応として、発達相談センターの職員体制の強化が急務であると考えますが、職員増強など職員体制強化の考えはないか。
以上3点をお伺いいたします。
o 議長(下村 栄君)神代健康こども未来部長。
〔健康こども未来部長 神代 芳樹君登壇〕
o 健康こども未来部長(神代 芳樹君)発達支援事業についてご質問を何点か頂戴いたしました。最初に、発達相談センターの状況から答弁させていただきます。
上田市では発達障害を早期に発見し、子供の成長段階に合わせた一貫した支援を行うとともに、保護者への早期支援を行うため、ひとまちげんき・健康プラザ内に発達相談センターを開設しておりますが、相談件数は平成22年度に開設して以来年々増加しておりまして、議員お話しのように、平成26年度には1,399件と、開設時のおよそ3倍近くとなっております。相談の内訳は、小学生の発達障害に係る相談が661件と最も多く、次いで乳幼児が339件、幼稚園、保育園の園児が245件、中学生が118件などとなっております。保護者の中には子育てに困難さを感じていても、核家族化、少子化が進む中、身近に子育てについて相談する相手がいない場合や、どこに相談すればよいかわからないまま保育園や幼稚園に入園し、子供が集団生活をするようになって初めてほかの子供との違いに気づく例も少なくなく、早期発見が困難なものとなっております。また、早期に親が違いに気づいても、子供の障害を親が受け入れられず、医療の受診に結びつかないケースや、中には親も発達障害の傾向が見受けられる場合もあるなど、子供とあわせて保護者に対しても支援が必要なケースもございます。このため相談内容も複雑化してきており、専門的な立場からの早期発見、早期支援により、子供の特性を親や周囲が理解した上で、できる限り早期からの適切な支援が求められております。
次に、相談件数の増加と多様化にどのように対応していくのかというご質問でございます。発達相談センターでは18歳までの子供を対象に、保護者からの相談をメーンに応じておりますが、相談を受けた場合、そのお子さんが実際に発達障害があるかどうか、その見きわめが重要となりますので、臨床発達心理士など専門職による検査、観察、面接を行いまして、子供の発達の現状や問題点を明らかにしてまいります。そして、発達障害の子供の特性に応じて短期、長期目標の設定を初めとした対処方法を立案し、作業療法士、保育士による親子教室など遊びを通した発達支援を行うとともに、専門的な立場から保護者のほか支援者となる幼稚園、保育園、小中学校、高校等、児童生徒にかかわる関係者に対しましても助言、指導、援助等を行っております。相談件数の増加とともに支援も長期にわたる場合が多く、子供の健やかな成長のためには、家庭ばかりでなく、幼稚園、保育園、小中学校、さらには高等学校までと、子供の成長に合わせ関係機関との連携を図ることも欠かせないものとなっております。このため、関係者による連携会議を毎月定期的に開催して情報共有に努めるとともに、保育士、幼稚園教諭などの資質向上に向けた研修や保育園などでの巡回指導、学校での就学相談などを行い、障害を早期に発見し、適切な保育や教育のための支援に努めておりますが、今後も十分な連携のもと、子供の成長段階に応じた切れ目のない支援に努めてまいります。
次に、職員体制の強化の考えについてのご質問でございます。発達相談センターでは発達障害の相談に対して適切に判断、対応できるよう、臨床発達心理士、作業療法士、保健師、保育士等多くの専門職を配置しております。センターの職員体制は、正規職員がセンター長以下4人で、いずれも子育て子育ち支援課の業務を兼務しております。このほか嘱託職員の臨床発達心理士が2名、パート職員の作業療法士、保育士がそれぞれ2名ずつ、合計10人の職員体制でございます。
それぞれの役割でございますが、臨床発達心理士は主に1歳半ごろから青年期の子供を対象に、また作業療法士は主に生後4カ月ごろから学童期を中心に必要に応じて検査を行いながら、運動発達や精神発達等の発達段階を確認し、保健師とともに家族や幼稚園、保育園、小学校などの支援者に対し助言、指導を行います。また、保育士は子供と遊ぶ中での発達段階の評価や発達に心配のある就園前の子供とその親を対象にした親子教室での集団指導などを主に担当しております。
発達相談センターがその期待される役割としての相談業務や支援を円滑、適切に行うためには、それぞれの専門職による役割分担、連携が必要であり、今後さらに増加が見込まれる相談に適切に対応できますよう、これら専門職を確保していくことが職員体制の強化にもつながっていくものと考えております。
以上でございます。
o 議長(下村 栄君)佐藤論征議員。
〔2番 佐藤 論征君登壇〕
o 2番(佐藤 論征君)それぞれご答弁をいただきましたが、やはり業務のほうは非常に複雑化し、長期化しているというお話でございました。職員体制につきましては、専門職を確保しながらということをお答えいただきましたけれども、これらを踏まえまして、先ほどからご答弁にも何遍か出ておりますけれども、非常にこのセンターの中でも重要な重責を担っていらっしゃる臨床発達心理士について3点お聞きいたします。
まず1点目といたしまして、現在上田市においては2名の臨床発達心理士が発達相談センターに在籍しております。臨床発達心理士のお二方は、経験も豊富な上、子供、その親に対して寄り添った支援をすることから、相談される方からの信頼も非常に厚い状況であります。これだけの市民の皆さんへの貢献度が高いお二方ですが、現在嘱託職員であります。勤務時間などの面からも正規職員、専門職として活躍していただく必要が高いと考えますが、臨床発達心理士の正規職員、専門職としての必要性の見解はどうか。
2点目といたしまして、将来にわたりこの発達相談センターを高いレベルで維持するのに当たり、経験豊かな臨床発達心理士お二人の後継者となる臨床発達心理士の育成が必要不可欠である上、経験豊かな臨床発達心理士お二人のもとで実務経験する必要があり、早期に後継者を採用し、育成することが急務であると考えます。
しかしながら、臨床発達心理士につきましては、現行大学院で学ばなければ取得できない上、全国的にも取得者が非常に少なく、上田市においても現在新規採用の募集を行っているところでありますが、採用に至っていない状況であります。また、ほか自治体におきましても人材確保に非常に苦慮している状況であり、地域間の人材確保に向けた競争も非常に激しくなっている状況です。上田市の募集要項を見てみますと、現在嘱託職員としての採用募集であります。新卒者などについてはやはり正規職員としての採用希望が多いことは明らかであり、人材確保の難易度を上げているものと考えます。加えて、周辺自治体では正規職員として募集、採用しているケースもふえており、上田市での人材確保がさらに難しくなっている状況です。また、嘱託職員での募集のため、勤務時間については午前9時から午後4時までとなり、相談件数がふえている状況下において実態に即していないようにも思われます。嘱託職員として採用後、実績を積んだ上で正規職員へ登用する考え方もあるでしょうが、やはりこの状況下では臨床発達心理士の新規採用について、正規職員として募集、採用する必要が非常に高い上、急務であると考えますが、正規職員としての募集、採用する考えはございますでしょうか。
3点目として、人材確保は先ほど申し上げたとおり非常に難題でありますが、お隣の青木村においては、人材確保のため教育長が資格取得者の在籍する大学へみずから出向き、本人に直接勤務をお願いし、住居も村が用意した上人材を確保されたそうです。上田市においても人材確保に向け知恵を絞り取り組む必要が非常に高いと考えますが、臨床発達心理士の人材確保についての今後の方針はどうか、お聞きいたします。
o 議長(下村 栄君)神代健康こども未来部長。
〔健康こども未来部長 神代 芳樹君登壇〕
o 健康こども未来部長(神代 芳樹君)次に、臨床発達心理士についてご質問いただきました。最初に、正規職員としての必要性の見解についてでございます。子供の社会性の発達や精神発達段階を確認し、適切に判断するためには、各種の発達心理検査等により子供の状態を観察することが重要でありまして、その特性に合わせた支援、対処方法の検討においても発達心理の専門知識を有した臨床発達心理士は発達相談センターにおいて大変重要な職務であると認識をしております。今後さらに相談件数の増加が見込まれ、長期にわたって発達障害の子供やその家族を支援していくケースもふえていくと考えられることから、その子供や家族に対して適切かつ継続的に支援が行われるような組織体制とするためには、臨床発達心理士などの専門職の確保は大変重要なことと考えております。
次に、臨床発達心理士を臨時ではなく正規職員として採用する考えについてでございます。年々増加し、また複雑長期化する相談に対応するため、現在も非常勤としてではありますが、臨床心理士、臨床発達心理士について募集を行っております。子供の成長段階に合わせた継続的な支援が行われるような組織体制とするためには、臨床発達心理士を正規職員として募集することも重要であると考えております。大学院を卒業してからでないと資格を取得できないことや、新規で採用しても相談業務などについて一定の経験が必要なことなど課題もございますので、採用方法につきましては、他市の状況なども研究しながら、正規職員の確保につながるよう早急に検討してまいりたいと考えております。
次に、臨床発達心理士の人材確保についての今後の取り組みについてでございます。発達障害について広く認知されてきた現在、臨床心理士や臨床発達心理士は教育、保育、健康増進などさまざまな分野での活躍が期待されておりますが、心理職につく学生はそう多くはないと伺っております。希少な専門職である臨床発達心理士などの人材確保のためには、大学との連携を密にすることも重要と考えておりまして、市といたしましてもこれまでも上田にゆかりのある大学教授に直接お会いして人材確保のお願いをするとともに、信州大学教育学部や上越教育大学などに職員がお伺いし、それぞれの就職担当の方に学生の進路状況をお聞きし、また当市の状況もご説明させていただいたところでございます。臨床心理士、臨床発達心理士として活躍するためには、資格取得後も多くのケースにかかわり、実践を通して学ぶ必要があります。幸い上田市の場合、議員ご指摘のとおり2人のベテラン臨床発達心理士の指導によりさらにレベルアップを図り、その貴重な専門知識を生かしたノウハウを引き継いでいくことが可能であろうかと思います。
いずれにいたしましても、今後発達障害の対応に当たりましては、適切な支援が継続して行える体制が整うことにより、子供たちやその保護者も家庭や学校などで明るく、希望を持って生活を送ることができますので、関係機関との連携も含めた支援方法、技術を引き継いでいくことができますよう、臨床発達心理士など専門職の確保についても鋭意取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
o 議長(下村 栄君)佐藤論征議員。
〔2番 佐藤 論征君登壇〕
o 2番(佐藤 論征君)臨床発達心理士につきましては、卒業後の取得ですとか経験などが必要ということで、非常にやはり人材確保は難しいとのことでございます。そうは申しましても、一日も早い人材確保が重要であります。また、臨床発達心理士はもちろんですが、発達相談センターの人材確保、人材育成は今後上田市にとりまして大変大きな課題になることは明らかであります。私も今後この日本一の発達相談センターの人材確保と人材育成に注視していきたいと考えているところでございます。
次に、発達障害に対する学校現場での取り組みについてお聞きいたします。まず、取り組みの状況について2点お聞きいたします。先ほど私の身近で起きた事例をご紹介いたしましたが、この子が発達障害の疑いがあるかもしれないと指摘を受けたのは学校の担任の先生からでした。先生も何ら悪気がなかったのでしょうが、不用意におたくのお子さんは発達障害があると思いますと担任の先生が言ったことにより、本人以上に親御さんが悩まれ、精神的にも非常に追い込まれた状態でありました。結果的には発達相談センターのスタッフの皆さんの支援とご努力により、よい方向へ向かいましたが、当時は見るにたえない状況でありました。発達障害の取り扱いについては、学校あるいは教職員のちょっとした言動、行動が子供や保護者に大きな影響を与え、場合によっては悪い方向へ向いてしまう可能性が非常に高いことは明らかであります。
そこで、1点目として、発達障害の疑いのある児童生徒への対応について、現状どのように対応することとしているか。
2点目として、対応について市内各学校や教職員同士で統一が図られているか、お聞きいたします。
o 議長(下村 栄君)小林教育長。
〔教育長 小林 一雄君登壇〕
o 教育長(小林 一雄君)発達障害及びその疑いのある児童生徒についてどのような対応がされているかというご質問でございます。発達障害及びその疑いのある児童生徒に対する学校現場での対応は、全小中学校に配置されている特別支援教育コーディネーターが中心になって行われております。このコーディネーターが校長、教頭、関係職員で組織される校内委員会を企画、運営しまして、児童生徒個々に応じた支援体制を整えているということでございます。今ご質問にございましたように、保護者にかかわるのは担任が直接かかわる場合が多いため、児童生徒やその保護者に担任の言動が与える影響というようなことは十分大きいということを配慮しながら、専門機関での診断や支援が必要な場合には、学校での様子をお伝えし、また家庭での様子をお聞きし、必要に応じて特別支援教育コーディネーターを加え、医療機関や発達相談センターなどを紹介し、その後も連携を図りながら児童生徒を支援していくと、こんな形になるのだというふうでございます。
次に、市内各学校や教職員同士で統一が図られているかどうかということでございますが、対応の統一についてのご質問でございますが、さきに申し上げました各校の特別支援コーディネーターが県教育委員会が主催する研修会や上小地区に設置された連携会へ参加しておりますので、その内容を持ち帰りまして、全教職員に対する校内研修会を開催して、情報の共有とともに指導の統一を各学校の中で図っている、こういうところでございます。児童生徒への個々の具体的な対応となりますと、とてもデリケートな問題でありますことから、校内の支援体制のみならず、今申し上げましたように、発達相談センターなどの外部機関との連携のとり方も含め、校内研修の内容の充実を図っているということでございます。
o 議長(下村 栄君)佐藤論征議員。
〔2番 佐藤 論征君登壇〕
o 2番(佐藤 論征君)それぞれご答弁をいただきました。各学校教職員の中でやはり正しい対応につきまして共有、統一されていることが非常に大切ではないかなと感じるところです。これらの状況を踏まえまして、次の質問に移らさせていただきます。
私は身近な経験から、学校の先生の中でも発達障害に対する見解、理解が必ずしも高いわけではないように感じております。これは、現場の先生を何も責めているのではなく、現場の先生についても学ぶ場が少なかったり、機会がないことが問題ではないかと考えております。発達相談センターでは年に何回か講演会や研修会を行い、もちろん学校へも都度案内を出されているとお聞きしておりますが、学校からの参加は支援学級の先生などが参加されるのにとどまり、現場の先生の参加がないのが現状であります。学校現場の先生に対する発達障害の研修など、児童生徒にかかわる現場の先生の発達障害への見識向上の取り組みが非常に重要であり、必要でありますが、今後の取り組みの考えについてお聞きいたします。
o 議長(下村 栄君)小林教育長。
〔教育長 小林 一雄君登壇〕
o 教育長(小林 一雄君)学校現場の教員を対象とする研修の実施など、発達障害に対する見識向上のための今後の取り組みについての考えということでございます。特別支援教育コーディネーターや特別支援学級の教員は研修会などに参加する機会も多く、比較的理解が深まっていると考えておりますけれども、議員ご指摘のとおり、この問題については新しいことも多く出てまいります。そういう意味で、全ての教職員が学ぶ機会というものが必ずしも多くないと、こんなふうに認識しているところでございます。特別支援教育コーディネーターによる校内研修会の充実は先ほど申し上げましたが、上田市発達相談センターによる研修会など、身近なところで現状行われている研修にも多くの教職員が参加できるような工夫をぜひしてまいりたいと思っているところでございます。
また、定住自立圏事業として小中学校教職員向けの研修会を教育委員会で実施しておりますが、本年度は「発達障がい児の理解と支援」をテーマに開催いたしました。市内158人の教職員が参加いたしました。参加者の感想では、発達障害について学ぶ機会が少なく、貴重であったという声が寄せられておりました。今後も継続してこのような研修について実施してまいりたいと考えております。
o 議長(下村 栄君)佐藤論征議員。
〔2番 佐藤 論征君登壇〕
o 2番(佐藤 論征君)見識は向上しつつあるとのご答弁をいただきましたけれども、まだまだいま一層の向上が必要ではないかなと考えるところであります。発達障害に対する対応につきましては、ご答弁にございましたが、非常にシビアな問題であり、現場の先生方の対応も非常に難しいところであります。毎日子供たちと長い時間接する現場の先生が見識を向上され、発達相談センターの皆さんなどと問題を共有することが非常に大切であります。今後の取り組みにつきまして注視してまいりたいと考えるところであります。
次に、中学校の朝部活動について質問してまいります。昨年6月の定例会一般質問におきまして、私は中学校における朝の部活動について質問いたしました。私の質問に対し、県の指針に従いながら、学校ごとに学校長の判断で決定してくださいと各学校へお願いしたとの趣旨の答弁をいただきました。このことによりまして、学校現場では各学校のそれぞれの学校長の判断の違いにより、朝の自主練習までも部活動の一環とする学校があり、学校内で全く自主練習ができなくなってしまった学校がございます。個人練習をしたい子供たちは学校近くの空き地で個人練習を行うなど異常な事態となっております。自主練習、個人練習の場を奪うことは私は学校現場にあってはならないことだと考えております。信州型コミュニティスクールを推奨する中、市民の皆さんから見ますと、学校を地域から遠ざける行為と捉えられても仕方がございません。そこで、教育長に2点お伺いいたします。
1点目として、県から指針を受け、教育委員会は各学校、各学校長へ判断を委ねたことにより、自主練習の機会を奪い、結果的に自主練習をしたい学校を学校から追い出すかのような状況となり、地域からの信頼も脅かす事態に陥っておりますが、この事態に対する見解はどうか。
2点目といたしまして、今後部活動を一生懸命やりたい生徒、自主練習、個人練習をしたい生徒に対してどのように応えていくか、お聞きいたします。
ちょうど昨日真田地域で分館対抗の球技大会が行われまして、大勢の中学生も参加しておりました。そのときに知っている子供たちに非常に会ったわけですが、本日困っている子供たちに関することを一般質問で質問すると伝えましたところ、何人かの子供が今回の議会中継を録画しておくと言っておりました。子供たち非常に期待大きいところでございます。部活動に一生懸命に取り組む生徒に向けご答弁をいただきたいと思います。
o 議長(下村 栄君)小林教育長。
〔教育長 小林 一雄君登壇〕
o 教育長(小林 一雄君)中学校の朝部活動についての考え方についてのご質問でございます。中学校の運動部の部活動につきまして上田市教育委員会としましては、中学生の望ましい生活のあり方を考えることが重要であるという観点から、長野県教育委員会が示した長野県中学生期のスポーツ活動指針に沿って、地域ごとの事情を考慮し、中学校ごとに具体的なルールづくりをすることといたしまして、昨年の4月から実施しているところでございます。各学校の方針が統一されていないというご指摘でございますが、ただいまご説明しましたように、具体的なルールは地域の事情、例えば通学手段や通学時間、スキーなど季節が限定される種目への対応などを勘案いたしまして、細かい時間設定や部活動のない日をいつにするかなどは個々の学校の判断にすることとしたということでありまして、全ての中学校で県の指針に沿った方針で部活動が実施されているという状況でございます。
今年度の各中学校の朝の部活動について申し上げますと、校舎改築など練習環境が制限され、放課後だけでは活動できない学校を除きまして、朝の部活動は原則行わないこととなっています。ただし、全ての中学校で、特にこの2学期が始まった9月以降、日が短くなって下校時間が早まり、放課後だけでは練習時間が確保できない場合には朝の部活動を認めております。ただし、その場合でも登校時間が極端に早くならないよう開始時間を設定するなど、実態に即したルールづくりをしているということでございます。また、昨年度の反省から、今年度は学校間によってばらつきが見られた1学期の中体連の大会前の朝部活につきましては、上小の校長会で大会2週間前は朝の部活動を認めるという申し合わせをし、取り組んでいる状況でございます。それ以外の朝の部活動は、自主練習であるということであっても全ての中学校で活動を認めておりません。朝の部活動は心身の成長過程にある中学生期において、ウオーミングアップやクーリングダウンの時間が十分にとれない、朝食から昼食までの時間があき過ぎるといった問題も指摘されていることから、中学生の一日のライフスタイルを考えるとき、放課後にまとめて時間がとれる時期はその時間で効果的、効率的な活動となるようにすることが適切であると、こういうぐあいに考えております。また、自主練習ということでありましても、学校教育の一環として行われる部活動は常に安全が確保された状態で行われる必要がありまして、教員不在の状態での生徒だけの活動を学校が認めるということは、生徒の安全を確保する上でも困難であると考えています。
部活動に対する考えはさまざまであることは承知しておりますが、今回の運動部活動の見直しとなった背景には、長時間にわたる部活動により中学生の生活がバランスを欠いたものになっていること、また部活動に熱心に取り組む生徒がいる一方で、部活動への負担感から部活動への加入率が低下し、体力や運動能力の面からも課題が指摘されたということがございます。このような課題について、成長期にある中学生が一日の限られた時間の中で運動、栄養、睡眠のバランスのとれた生活習慣を身につけるために部活動にどう取り組むのがいいか、さまざまな角度から検証し、その方向を示したのが県の指針でございまして、上田市教育委員会としてもこれを尊重し、各学校が部活動を行っていくことが重要であると、こんなふうに考えています。部活動は最終的に学校が責任を持って行うものでありますが、部活動の方針については、今後各学校において生徒や保護者の皆様にこのような趣旨をよくご理解いただくよう丁寧な説明に努めるよう努力してまいりたいと、こんなふうに考えているところでございます。
o 議長(下村 栄君)佐藤論征議員。
〔2番 佐藤 論征君登壇〕
o 2番(佐藤 論征君)ご答弁をいただきましたけれども、先ほど安全確保というお話がございましたけれども、実際に学校現場において学校のフェンスの外、一歩外では子供たちが自主練習をしているという姿がございます。学校の外ならけがをしてもいいということで市民の皆様にはとられかねません。学校の外でやっているこの事態がもう異常であります。どうかもう少し知恵をお絞りいただきたいと思うところでございます。
また、「子育てするなら上田市で」を掲げる上田市にとって、部活動に一生懸命取り組みたい生徒の気持ちに応えることができないのは非常に私は問題であると考えますし、また健幸都市を目指す上田市にとりましても、中学校の心身の発達、発育についても逆行しているものと考えております。県の指針は過度な練習などによるスポーツ障害などを防ぐ目的の指針であり、単なる部活動の自粛ではありません。まずは生徒の気持ちを第一に考えていただくようにお願いしたいところでございます。
次に、私の昨年6月定例会の質問に対し、中学校朝部活動について、学校ごとの実態調査を行い、実態調査の内容を見て今後また改めて検討していきたいとの答弁もなされました。そこで、2点お聞きいたします。
1点目に、これまでの実態調査はどのような調査が行われ、結果はどうであったか。
2点目に、実態調査の結果をどのように今後生かしていくか、お聞きいたします。
o 議長(下村 栄君)小林教育長。
〔教育長 小林 一雄君登壇〕
o 教育長(小林 一雄君)実態調査としてどのような調査が行われたのかというご質問でございますが、部活動の実態調査について、昨年度でございますけれども、部活動の見直しに伴う変化についての実態調査を上小地区8中学校でその生活の変化について中学校2年生、3年生を対象に調査を行ったところでございます。調査の内容につきましては、就寝時間に変化があったか、起床時間に変化があったか、家庭での学習時間に変化があったか、朝食を食べているかという4つの点についてでございます。
この調査の結果について簡単にご説明申し上げますと、就寝時間につきましては、余り変わらないという生徒の割合が7割近くを占めたということでございますが、起床時間は約半数の生徒が30分から1時間ほど遅くなったという回答でございました。それから、家庭での学習時間は、余り変わらないとした生徒が65%ほどでございましたが、約30%の生徒が学習時間が長くなったと回答しております。長くなったとする生徒にどれくらい長くなったかを聞いた質問には、これも30分から1時間ほどとする回答が多かったという結果になっております。朝食については、もともと毎日食べていた生徒が85%ほどいたわけでございますが、朝の部活動がなくなってからは90%を超える生徒が朝食をとるようになったという結果になっております。この実態調査からは、朝部活がなくなったことで朝の時間にゆとりが生まれ、睡眠時間や学習時間、それから朝食をとることができるようになった生徒が増加しているということがうかがえるわけでございます。
また、各中学校の部活動の活動方針については、長野県教育委員会が県内全ての中学に対し調査を行っておりますので、重ねて上田市で調査を行うということはしておりませんけれども、各中学校の調査表の内容を把握することでどのような活動方針となっているか、その都度確認をしております。このほか、学校ごとに生活状況調査なども行っておりますが、先ほども申し上げましたように、中学生のバランスのとれた生活のあり方を大切にすることが主眼に部活動の見直しを行ってきたということであります。学校にはこのルールがなし崩しにならないようにお願いしたいということと、生徒の指導に当たっては、部活動が減って生活がだらだらとしたものになることがないよう、家庭学習の出し方を工夫したり、子供たちがみずからの力で生活を律する力を身につけられるよう指導していただきますよう今後とも学校とともに努めてまいりたいと思います。
o 議長(下村 栄君)佐藤論征議員の質問が終了しました。
平成27年9月定例会一般質問が9月7日(月)から9日(水)の3日間の予定で実施されます。予定時間と質問に内容は掲載の通りです。
平成27年8月31日上田市議会9月定例会初日の本会議休憩中に環境建設委員会が開会。道整備交付金 丸子小牧線トンネル工事請負変更契約の締結について審査がおこなわれました。先月開通した生田トンネルの上田側において、トンネル接続道路を改良していたところ、当初軟岩と予測していた工事箇所が工事を進めた結果、礫(れき)混じり(砂混じり)土質であったため、擁壁の厚みを1.1mで予定していたものを最大1.9mに変更することにより、契約金額を16,837,200円増額し契約金額を1,413,984,300円と変更する必要があり緊急を要することから初日に審査された。丘陵地あるうえ、脆弱な地質で、河川も近いことから安全性が心配であるが、今回の擁壁の厚みで適正な安全は確保されるかと質疑いたしました。担当課より、基準に則り適正な工事を施すことにより安全は確保されるとの応答がありました。審査の結果、可決するべきものと決定し、その後の本会議においても可決されました。
上田市議会9月定例会が8月31日に開会。9月30日までの31日間の日程。平成26年度一般会計決算、本年度一般会計補正予算(8億8千万円追加)など30議案が提出されました。来年度から10年間のまちづくり指針となる第2次上田市総合計画についても提出されました。初日市長提案説明が行われ、内容については以下の通りです。
本日ここに、平成27年9月市議会定例会を招集いたしましたところ、議員各位におかれましては御多忙の中、御出席を賜りまして誠にありがとうございます。さて、この夏、上田西高等学校が第97回全国高等学校野球選手権大会に、2年ぶり2回目の出場を果たしました。激戦の末、県大会を勝ち抜いた勢いそのままに、甲子園においても堂々とした戦いぶりで見事に初勝利を飾り、上田市民に勇気と元気、そして大きな感動を与えてくれました。応援には、上田市はもとより、姉妹都市である兵庫県豊岡市や和歌山県九度山町からも多くの皆様に駆け付けていただきました。また、同校は、軟式野球部も北信越代表として2年連続で全国大会へ出場し、惜しくも決勝進出は逃しましたが、ベスト4に輝きました。選手たちの健闘を称えるとともに、支えとなった御家族や関係者の皆様に御慰労を申し上げます。また、こうした若い世代の活躍が上田市の活性化や更なる発展のきっかけとなることを期待するものであります。
続いて、大河ドラマ「真田丸」放送に伴う市の対応について申し上げます。去る7月10日、これまでに発表されていた主人公を演じる堺雅人さんのほか、21名の大河ドラマ出演者が発表されました。30年前にNHK大型時代劇「真田太平記」で真田幸村を演じた草刈正雄さんが真田昌幸役に、また、市内で撮影を行った映画「晴天の霹靂(へきれき)」に出演された大泉洋さんが真田信幸役となるなど、当市にゆかりのある方々の出演が決まり、ドラマへの期待がより一層高まってきております。こうした中、同月には私自らNHK放送センターを訪問し、ドラマ制作に携わるスタッフの皆様と面会いたしました。上田市内での撮影の実施、来年1月開館の大河ドラマ館オープニングイベントをはじめ、「上田真田まつり」など各種イベントへの出演者の招聘をお願いするとともに、NHKと当市が連携して、さまざまなイベントを実施していくことなどを懇談させていただいたところであり、上田市内でもロケが予定されているとお聞きしております。また、これまで大河ドラマの「ご当地」となった地域では、ドラマのタイトルロゴを利用した商品が数多く開発・販売されております。そのため、8月20日、市内はもとより東御市、長和町、青木村などの事業者に、NHKエンタープライズによる「タイトルロゴの商用利用説明会」を開催したところ、150社を超える参加があり、申請から使用許諾までのガイドラインについて説明を受けました。「真田丸」放送への雰囲気が盛り上がりを見せる中、タイトルロゴが積極的に利用されることを期待しております。
続いて、防災対策と被災者支援について申し上げます。一昨日、予定しておりました「上田市防災訓練」は、当日の朝、上田市に大雨警報が発表されたことにより、各会場での訓練はすべて中止し、非常伝達訓練やシェイクアウト訓練など、可能な範囲で実施いたしました。今後も、いつ起こるとも知れない大規模災害に備え、市民の皆様や防災関係機関と連携して地域防災力の向上に取り組んでまいります。一方、東日本大震災の被災者支援に対する取組につきましては、市民主体の実行委員会や関係団体、市民有志の皆様と協力・連携しながら、地域イベントへのお誘いや避難者同士の交流会の開催など、さまざまな支援活動に取り組んでおります。夏の恒例行事となっている信州上田大花火大会には、昨年を上回る62名の皆様が参加され、また、今月上旬に福島県の小学生や幼児、保護者など32名の皆様を上田市にお迎えし開催された「信州上田リフレッシュ合宿」では、自然の中で伸び伸びと、上田の夏を満喫していただけたものと考えております。避難生活が長期化する中、市民の皆様との連携を図りながら、今後も引き続き、被災地や被災された方々に寄り添った息の長い支援に努めてまいります。
続いて、当面する市政の課題等について順次申し上げてまいります。我が国の経済情勢は、8月に内閣府から発表された月例経済報告によりますと、「景気は、緩やかな回復基調が続いている」との見方を維持しながらも、「このところ改善テンポにばらつきもみられる」との表現を追加しております。また、景気の先行きにつきましては、「緩やかに回復していくことが期待される」との判断を維持する一方で、最近の世界的な株安も念頭に「金融資本市場の変動に留意する必要がある」とも指摘しております。こうした中、国の平成28年度予算編成において、各省庁が予算要求する際のルールとなる概算要求基準が7月末に閣議了解されました。平成28年度は、「経済財政運営と改革の基本方針2015」で示された「経済・財政再生計画」の初年度であり、予算編成に当たっては本格的な歳出改革に取り組み、歳出全般にわたって大胆に重点化することが盛り込まれております。今後、来年度予算編成に向けての動きが本格化してまいりますことから、地方の安定的な財政運営に必要な財源が引き続き確保されるよう、国の動向を注視してまいりたいと考えております。
次に、第二次上田市総合計画の策定について申し上げます。新生上田市が誕生してからの10年間、新市建設計画に基づく基盤づくりを着実に進めるとともに、市政運営の指針となる第一次上田市総合計画のもと、新市の成長・発展に向け、さまざまな取組に挑戦してまいりました。この第一次総合計画の計画期間は今年度をもって終了いたしますことから、昨年9月に、平成28年度から10年間の計画となる第二次上田市総合計画の策定を総合計画審議会に諮問いたしました。以降、審議会の全体会を6回、6つの分野に分かれた部会を延べ44回開催し、精力的に御審議を賜り、去る8月5日に最終答申をいただきました。審議の過程におきましては、市民アンケートやパブリックコメント、若者まちづくり座談会、市民まちづくり懇談会などを通じて、幅広い世代の皆様の参画と意見の反映に努めたところであります。このたび、この最終答申を最大限尊重して「基本構想」及び「前期基本計画」をとりまとめましたので、今定例会に提案いたしました。審議会の委員はじめ多くの市民の皆様のお力添えをいただき計画が策定できましたことに対し、私自身まちづくりに向けた決意を新たにするとともに、この場をお借りして、厚く御礼申し上げます。基本構想としての「まちづくりビジョン」では、10年後の将来都市像に「ひと笑顔あふれ 輝く未来につながる健幸都市」を掲げております。基本理念には「市民力」「地域力」「行政力」を挙げ、市民協働のもと、まちの魅力と総合力を高めることを謳っております。一方、基本計画である「前期まちづくり計画」では、今回、新たに達成度をはかる指標・目標値と、市民・地域・事業者及び行政に期待される主な役割分担を各節に盛り込み、主な施策ごとの目標管理ができるようにいたしました。また、重点プロジェクトには「市民協働推進」「人口減少対策」「健幸づくり」の3つを位置付け、プロジェクトに沿った施策・事業を横断的に推進することといたしました。特に、人口減少対策プロジェクトにおいては、現在策定中の「上田市版人口ビジョン」との整合を図りながら、10年後の平成37年の時点での目標人口を14万6,000人以上と設定いたしました。今後、子育て支援やしごとの創出に向けた産業振興、移住定住促進などの取組を積極的に展開することにより、人口減少への歯止めをかけられるよう努めてまいります。将来都市像のキャッチフレーズ「住んでよし 訪れてよし 子どもすくすく幸せ実感 うえだ」の中に思いを込めましたように、子どもからお年寄りまで、みんな元気で幸せに暮らせるまちを目指し、第二次上田市総合計画に基づくまちづくりを着実に推進してまいりたいと考えておりますので、議員各位をはじめ市民の皆様の御協力をお願いいたします。
次に、地方創生に対する取組について申し上げます。市の地方創生の取組指針となります上田市版「人口ビジョン」及び「総合戦略」につきましては、第二次上田市総合計画と並行して策定を進めてきたところであります。上田市の人口の現状及び将来展望を提示する「人口ビジョン」につきましては、国の人口ビジョンの対象期間を踏まえ、第二次上田市総合計画の目標人口との整合も図りながら、平成72年までの市独自の人口推計を行ってまいりました。また、「総合戦略」につきましては、今月10日に市民代表、産業界、大学、金融機関、労働関係機関、報道機関の方々で構成する「上田市地方創生有識者会議」を設置し、各分野からの提言をいただきながら策定作業を進めております。今後も引き続き、有識者会議を開催し、民間のアイデアを十分にお聞きしながら、独自性ある「総合戦略」の早期策定を目指し取り組んでまいります。
次に、長野大学の公立大学法人化に対する取組について申し上げます。長野大学公立大学法人化検討委員会から6月にいただきました報告書において、公立大学法人化に当たり、長野大学側へ3つの課題が挙げられました。これを受け、市では、大学としての考え方を確認するため、理事長、学長ほか役員との懇談の場を設けるなど、大学との協議を行ってまいりました。この間、議会におかれましても長野大学との懇談を3回実施され、また、今月10日には、市の執行部との懇談会も開催されるなど、積極的に御検討いただきました。懇談会では、財政面での影響や公立大学法人化した後の大学の姿を明確にするべきとの御意見とともに、議会としても検討する時間が必要であるとの御意向もうかがったところであります。私としては、公設民営大学として設立当初からかかわってきた長野大学を将来にわたり存続させることは、行政の責務であり、公立大学法人化によって志願者を増加させることで、今まで以上に意欲的な学生を確保し、経営の安定化と大学の教育研究の質の向上につながることを期待するものであります。また、地域の企業や団体が真に求める人材を育成して社会に送り出すことで、地元への定着や県外出身の学生の定住にもつながることから、こうした人の循環をつくることにより、地域の活性化や地方創生を目指す上田市にとって、公立大学は大きな役割を果たすと考えます。開学から50年の歴史をつなぎ、新たな大学の幕開けともいえる公立大学法人化後の大学像をお示しし、第二次上田市総合計画の最終答申にも謳われた「学園都市づくり」にも寄与する大学となるよう、平成29年4月での公立大学法人化を視野に、鋭意取り組んでまいりたいと考えております。
次に、健康づくりについて申し上げます。10年後の超高齢社会を見据え、市では、今年度から新たな健康づくりのステージとして、「健康幸せづくりプロジェクト事業」に取り組んでおります。誰もが幸福であるためには、心と体の健康が基本であり、健康づくりに対する意識の向上を図りながら市民の皆様に実践していただけるよう、さまざまな工夫を凝らした健康づくり事業を実施しております。6月からスタートした「健康づくりチャレンジポイント制度」は、健康づくりにインセンティブをつけることで関心を高め、楽しく健康づくりに取り組む機会を提供することを目的としており、現在、2,000人以上の市民の皆様に参加いただいております。県内でも先駆的な取組であり、このうち、「上田から大阪までのバーチャルの旅」は、1日で5,000歩を目標に、地図上で上田城から大阪城までを約半年かけて歩くという試みで、日常生活の中にウォーキングを取り入れ、運動の習慣化を図ることを目的としております。また、筋力強化に効果のある「インターバル速歩講座」では、65歳以上の方の参加料を割り引くなどの参加促進策も取り入れたところ、定員の約2倍の申込みがあり、市民の皆様の健康づくりへの意識の高まりを感じているところであります。健康づくりにおいては、運動を習慣化し、継続させることが重要な視点になりますことから、市といたしましては、今後も身近な地域において仲間やグループなどで楽しみながら、長く続けられる健康づくり事業を企画し、さまざまな機会を捉えて市民の皆様の参加促進に努めてまいります。
次に、「サントミューゼ」交流文化芸術センター・市立美術館について申し上げます。大河ドラマ「真田丸」の放送開始が近づく中、大ホールでは「天下分け目の演劇夏の陣!」と銘打ち、大阪の劇団と公募した市民出演者などが協働で制作したサントミューゼ初の大規模制作演劇公演「真田風雲録」を開催いたしました。劇団関係者が長期間滞在し、市民とともに演劇制作を行うことで、市民と芸術家との交流が生まれ、より一層芸術文化を身近に感じていただく良い機会となったものと考えております。一方、市立美術館で開催した特別展「戦国無双の刀剣展」には、若い世代をはじめ大変多くの皆様に御来場いただきました。更に、来年の大河ドラマ特別展「真田丸」に向けまして、現在、貴重な資料の所蔵者の方への出品交渉や文化庁との協議等を鋭意進めているところであります。こうした「真田氏」に関連した事業のほか、仙台フィルハーモニー管弦楽団と提携した演奏会や、小学生を対象とした劇団四季ミュージカル「こころの劇場」、また、上田にも居住されていた人気漫画家、藤子・F・不二雄氏を紹介する特別展の開催など、幅広い年齢層の皆様に御来場いただけるよう、引き続き魅力ある事業を展開することで、サントミューゼを拠点とした文化創造都市の実現を目指してまいります。
次に、循環型社会の構築に向けた取組について申し上げます。現在計画されております資源循環型施設をよりコンパクトな施設とするため、また、循環型社会を構築していくために、ごみの減量化と再資源化は大変重要であります。市ではこれまでも3R(スリーアール)(リデュース、リユース、リサイクル)のさまざまな取組を進めてまいりましたが、この度、「信州うえだごみ減量大作戦 わけて!へらして!いかそう! ~あなたのひと手間「ごみ」から「資源」に~」というキャッチフレーズを設けました。広報やポスターなどで広くPRし、市民の皆様の関心を高め、更なる御協力をいただけるよう努めるとともに、県の「チャレンジ800ごみ減量推進事業」などとも連携し、平成27年度に上田市の可燃ごみを3万3,712トンまで減らすという目標の達成を目指してまいります。また、7月から申請受付を再開した「ごみ減量化機器購入費補助制度」につきましては、予想をはるかに上回る申込みをいただきましたことから、今定例会におきまして、再度、補助金の大幅な増額補正を計上いたしました。申請件数の大幅な増加は、生ごみの減量化・再資源化推進に対する機運の大きな高まりと捉えております。今後も引き続き、ごみの減量化・再資源化に全市を挙げて取り組んでまいりますので、改めて市民及び事業者の皆様の御理解と御協力をお願いいたします。なお、資源循環型施設の建設につきましては、去る5月26日に資源循環型施設建設対策連絡会の役員の皆様との「意見交換会」の再開について申入れを行っておりますが、現在、対策連絡会では慎重に検討を進めている状況であります。資源循環型施設の建設には何よりも話し合いが重要です。しかし、新しい施設の稼働までには、環境アセスメントや設計、建設等で7年程度の長い期間を要しますことから、残された時間は限られておりますので、是非とも意見交換会を早期に再開させていただき、地域の皆様との合意形成に努めてまいりたいと考えております。
次に、再生可能エネルギーの利活用について申し上げます。全国有数の日射量を誇る地域特性を活かした太陽光発電の導入推進につきましては、市が所有する塩川地籍の遊休地を民間事業者に貸し付けるメガソーラー事業に取り組んでおり、7月に起工式が執り行われ、来年1月の発電開始に向けた工事が進められております。一方、周辺環境に配慮し、秩序ある開発を促す必要があることから、規制の範囲や基準を見直し、現開発条例を補完する形で、太陽光発電設備の設置に関する指導要綱を今年10月1日から施行することといたしました。また、保育園や小・中学校などの屋根を貸し付ける市有施設屋根等貸付事業では、神科第一保育園の発電開始に合わせて、7月に「神科おひさま発電所お披露目式」が開催され、設備設置者による太陽光発電についての説明も行われました。園内には時間ごとに発電量が表示されるモニターが設置され、園児の環境教育にも役立つものと期待しております。太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーの利活用につきましては、地球温暖化防止や産業の活性化につながるものであり、今後も安全性に配慮した一定のルールのもと、再生可能エネルギーの普及に努めてまいります。
次に、地域の魅力アップに向けた取組について申し上げます。今年も実行委員会の皆様の運営のもと開催した「第44回上田わっしょい」には136連、約1万人の皆様に御参加をいただき、大変な熱気に包まれました。また、「第28回信州上田大花火大会」は例年にも増して地元企業の多大な協賛をいただき、盛大に実施することができました。今後も、まつりのテーマである「市民総参加、総和楽」の実現に向けた取組を充実させてまいります。更に、今年6月に誘客促進と真田氏を活かしたまちづくりを推進するため新たに設立された「長野県真田丸広域連携プロジェクト」の事業展開の一環として、長野市などと連携した周遊パンフレットや観光プロモーション映像の製作など、広域的な観光振興にも努めてまいります。一方、都市地域の意欲ある人材を誘致し、地域力の維持及び活性化を図るとともに、定住・定着につなげることを目的に今年度から導入した「地域おこし協力隊」につきましては、5名の採用を予定しており、このほど、まず3名が着任し、今月から豊殿、真田、武石の各地域で活動を開始いたしました。着任式では、それぞれの上田市に寄せる想いや活動への意気込みが語られ、新たな視点での地域資源の発掘や地域の特性を活かした元気の創造など、今後の活躍に大いに期待しております。なお、残る2名については現在募集を行っているところであります。また、菅平高原滞在中は、上田染谷丘高等学校の国際教養科の生徒との市内観光や、日本のラグビー強豪校との親善試合を行うなど、上田市や菅平高原の魅力を肌で感じていただけたものと考えております。私自らセント・ポールズ校の皆様に菅平高原のPRをさせていただいたほか、「上田市にラグビーワールドカップ2019キャンプ地を誘致する会」と連携し、歓迎レセプションを行うなど、この機会を積極的に活用してキャンプ地誘致に向けた取組を行ったところであります。更に、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックにつきましても、キャンプ候補地として登録するために、ラグビー競技や陸上競技等の各協会による技術要件の確認作業等を進めているところであり、今後もラグビーワールドカップと併せてキャンプ地誘致を目指し、鋭意取り組んでまいります。
さて、マイナンバー制度につきましては、いよいよ10月から「個人番号」が通知され、来年1月から社会保障、税、災害対策における行政手続で利用が始まります。上田市でも市民の皆様への周知を積極的に行うとともに、制度の円滑な導入に向け、庁内関係課を中心に連携して取り組んでいるところです。この7月に市内5か所で開催いたしました住民説明会では、DVDの映像等も使いながら、制度の基本的な内容を中心に説明させていただきました。各会場とも、多くの御質問をいただき、マイナンバー制度に対する関心の高まりがうかがわれました。主な質疑応答につきましては、これまでに寄せられた御質問と併せて、今後「広報うえだ」や市のホームページ等に掲載し、お知らせしてまいります。また、非常勤職員を含むすべての職員を対象とした研修会を13回開催し、合計で1,400人を超える職員が出席いたしました。研修会では、制度の概要や注意すべき点などを説明し、職員として必要な知識が習得できるよう努めたところです。今後も出前講座などさまざまな機会を捉えて市民や事業者の皆様への周知・広報に努めるとともに、マイナンバー制度の運用開始に向けて、万全を尽くせるよう、市として準備を進めてまいります。
最後に、日本年金機構に端を発し、6月に当市も攻撃を受けたことが発覚した「標的型サイバー攻撃」につきましては、被害の全容を把握する調査を行うとともに、復旧対策に取り組んでまいりました。調査の結果、標的型メールに添付されたファイルを開いたことでパソコンがウィルスに感染し、外部への不正通信に利用されていたことが判明いたしました。最終的に7台のパソコンでウィルス感染が確認されましたが、市民生活に影響を及ぼす情報漏洩の事実は認められませんでした。現在、総務省の検討チームでは行政機関の安全なネットワーク環境の構築に向け、当市の職員も参加して検討が行われております。今回の上田市の対策をモデルケースとしていただきたいとの国からの要請もあり、市として全面的に協力してまいります。今後、ここでの検討結果を踏まえ、より強固なセキュリティ対策を施したネットワーク環境を再構築し、市民の財産である情報の堅実な保護に努めてまいります。
以上、今回提案いたします案件のほか当面の課題等について、その一端を申し上げました。今回提案いたします案件は、条例案6件、決算認定15件、予算案3件及び事件決議案6件の合計30件であります。まず、条例案につきましては、工場立地法等で定める工場敷地内の緑地面積率等を国が定める基準の範囲内で緩和する「上田市工場立地法準則条例」の新設1件のほか、特別職報酬等審議会を常設化し、審議事項に行政委員会の委員等の報酬を加えることに伴って所要の改正を行う「上田市特別職報酬等審議会条例」など一部改正5件の合計6件を提案いたしました。
次に、平成26年度一般会計、特別会計及び企業会計の決算につき、このほど監査委員の審査が終了いたしましたので、決算審査意見書をはじめ関係書類を添えて提案いたします。一般会計につきましては、歳入決算額751億4,064万円余、歳出決算額727億6,430万円余で、繰越明許費としてお願いいたしました市道新設改良事業等29事業の繰越財源3億9,858万円余を除いた実質収支は19億7,776万円余の黒字決算となりました。前年度と比較し増額の決算となったところであり、主に小・中学校の改築事業や保育所の建設事業等が増額要因となっております。また、歳入においては、消費税の引上げにより地方消費税交付金が前年度比で21.1パーセント、3億4,000万円余が増加したこと、景気の回復基調による市民税などの増加により市税全体で前年度比2.7パーセント、5億6,000万円余が増加したことなどが主な要因となっております。
次に、特別会計につきましては、土地取得事業特別会計をはじめ9会計あり、総額では、歳入決算額335億9,333万円余、歳出決算額330億8,889万円余、実質収支は合計で5億444万円余の黒字決算となっております。一般会計及び特別会計につきまして、1つの会計で歳入歳出同額のほか、各会計とも黒字で決算できましたことは、議員の皆様をはじめ、関係各位の御理解、御協力によるものと感謝申し上げます。また、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」により、上田市健全化判断比率を今定例会に報告いたしましたので、その概要について申し上げます。国が示す4つの財政指標のうち、「実質赤字比率」、「連結実質赤字比率」につきましては、いずれも「黒字」となっており算定されておりません。また、「実質公債費比率」につきましては、前年度と比較して、2.1ポイント減の4.9パーセント、「将来負担比率」につきましては、前年度と比較して、11.6ポイント減の47.3パーセントと算定されました。今後もこれらの指標に留意しながら、健全財政の維持に努めてまいります。
次に、平成27年度補正予算の概要について申し上げます。今回の補正予算は一般会計のほか、2つの企業会計に係る予算計上であり、このうち、一般会計補正予算第2号につきましては、8億8,091万円余の増額補正を行い、予算現額は726億3,302万円余となっております。主な予算の内容としては、市民生活に密着した生活関連道水路等整備事業を実施する経費の追加計上や先般設立された「長野県真田丸広域連携プロジェクト」に基づき、長野市と連携した事業を展開する経費の計上、また、豪雨災害による農林業の被害への対応に係る経費の計上など、6月補正予算編成後の諸事情により予算化の必要が生じた新規・充実の事務事業等の予算計上を行うものであります。
最後に、事件決議案につきましては、先ほど申し上げた第二次上田市総合計画「基本構想」及び「前期基本計画」に係る議案のほか、第三中学校の改築事業に伴う建築主体工事請負契約に係る議案など、計6件の提案であります。
以上、今回提案いたしました条例案、決算認定、予算案及び事件決議案の概要を申し上げました。各提出案件の内容につきましては、それぞれ担当者から説明いたしますので、よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。